ここ1年ほど、マスコミで盛んに使われている言葉に
「Z世代」
があります。
「ゆとり世代」
「さとり世代」
に続く、今の若者の特徴を表す言葉というべきでしょうか。
それにしても、よくまあ色々と新しい言葉をこしらえるものです。
『Z世代』の特徴は理解不能?
「Z世代」の特徴は、次のようなものだそうです。
「映画を90〜120分、じっと観ているのが苦痛」
「DVDの映画やドラマは、倍速や早送りで観る」
「ネットのネタバレ記事を先に読み、あらすじを知ってから映画などを観たり、マンガなどを読む」
「LINEの文章が短い(返事だと、1〜2文字の場合もあり、もはや文章ではなく電報のよう)」
「とにかく早く結論を知りたがる」
など・・・。
上記のいくつか(人によっては全部?)は、おそらく私のような50歳以上の世代には
「理解不能」
でしょう。
映画一本を最後まで観られない、DVDを早送りで観る、ネタバレを嫌がらないという点については、私としては
「それだったら、映画とかドラマ、マンガは観たり読んだりしなくていいんじゃないか?」
とツッコミたくなります。
『Z世代』は、常に時間の節約をめざす?
一方、結論をすぐに求めたり、LINE入力に時間をかけないという点は、個人的には理解できます(私は該当しませんが)。
令和の若者は、どことなく
「常に時間を節約したがる」
「せわしない」
という印象を受けます。
一から順番に説明を受けるのがまどろっこしく、
「さっさと結論(または答え)を教えてくれよ!」
と思いがちなのでしょう。
また、中高年がLINEで長文を書き、句読点や記号・絵文字を多用するのを
「おじさん構文」
としてバカにしているとか。
これも
「要点だけ簡潔に書けばいいのに、長々と余計なこと書いて・・・。」
という、時間を節約したいという意識の表れでしょう。
『ゆとり教育』からの反動が影響している?
では、なぜ「Z世代」はそんなにも時間を節約しようとするのでしょうか?
私は社会学者でも、若者文化研究家でもありません。
ですが、こう考えます。
「Z世代の若者は、『ゆとり教育』からの反動をマトモに食らい、『新・詰め込み教育』への急速な適応を求められてきた」
からです。
10 年くらい前までは、
「π(パイ)は3.14だけど、3で計算してもいいよ。」
などと言われていました。
ところが、その後一気に方向転換。
小学校の途中から、英語が導入されました。
高校では「情報」という科目が出現。
さらに今後、「プログラミング」が小学校で必修科目に。
学習量も、一気に増加しました。
激変する学校環境に適応するため・・・。
「Z世代」の若者は、小学校辺りまでは、のんびりできていたはずです。
ところが中学校辺りから、学習量が多くなり、授業のスピードも速くなる・・・。
授業について行くのに必死といった、中学生時代を送った人が多いはずです。
加えて、部活や塾もあります・・・。
学校・部活・塾のサイクルの中で、色々なことをこなすには、無駄な時間を削り取り、時間を効率よく使う能力が求められます。
学校生活の環境が激しく変化する中で、平成末期の中・高校生は、独自の進化を遂げた
「シン・日本人」
というべき存在なのです。
私は1980年代初期の「ガンダム世代」なので、できれば
「ニュータイプ」
と書きたかったところですが・・・。
流行には乗り遅れず、時間も無駄にしないため・・・。
「Z世代」といえど、若者です。
周囲の話題や流行には、乗り遅れたくありません。
しかし、話題の映画・ドラマなどを最初から最後まで、きちんと観るのは時間的に厳しい・・・。
そこで、倍速・早送りで観ながら、重要なシーンだけ普通に観る、という方法を取るのでしょう。
また、せっかく観たり読んだりした映画・ドラマ、マンガなどが面白くなかったら、
「費やした時間を損してしまった・・・。」
と考えるのでしょう。
そうした失敗を防ぐため、ネタバレサイトなどで事前チェック。
自分の中で、ある種の「保証」を得た作品だけを観たり読んだり・・・。
それなら、まだ納得がいきます。
タイパ(対時間効果)で、『Z世代の特徴』がつながる!
先日、あるラジオ番組で耳にしたのですが、最近では
「コスパ」(コストパフォーマンス=対費用効果)
に加え、「Z世代」には
「タイパ」(タイムパフォーマンス=対時間効果)
も重視されるそうです。
「たこパ」(たこ焼きパーティー)なら知っていますが、「タイパ」という言葉は初めて聞きました・・・。
費やした時間の、最低でも元は取ってやろうという発想です。
この考え方を知ると、今までの
「早送り視聴」
「先にネタバレ確認」
「最短で結論を得たがる」
「LINE入力は最低限で済ませる」
といった、「Z世代の特徴」が全てつながってきます。
勉強や仕事、果ては娯楽に関しても、
「最小限の労力で、最大限の成果」
を追求する思考回路・行動様式が、根本にあるのです。
日本を覆う『成果主義』が『Z世代』を生み出した!
21世紀に入ってから、日本の様々な組織で
「成果主義」
が導入されました。
「どれだけ努力しようとも、成果が出なければ意味がない。」
といった考えが、幅を利かせるようになりました。
そして、上記の「最小限の労力で最大限の成果」という
「効率主義」
も、同時に広まっていきました。
こうした流れと、「脱・ゆとり教育」の流れが融合して生まれたのが、「Z世代」だと言えます。
21世紀の令和ニッポンで生き残るため、
「適者生存」
の法則に則って誕生したのが、「Z世代」の若者です。
最後に・・・。
私は「成果」や「効率」とは縁遠い、パッとしないサラリーマン生活を送ってきました。
しかし、「成果主義社会」、「効率第一社会」の枠組みの中に長期間いた人間です。
よって、日本社会が必然的に生み出した「Z世代」の考えや行動を、安易に批判できる立場にはありません。
私も含む、上の世代がダメにしてきた日本という国を、「Z世代」の合理的感性で立て直して欲しいと、切に願うばかりです・・・。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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