コスパを考慮すれば、中学・高校での部活は必要ない?

2022年(令和4年)10月初め、テレビや新聞などで、驚くべきニュースが報じられました。

前月9月の下旬、兵庫県姫路市の女子高で、ソフトボール部の顧問を務めていた男性教諭が、1年生部員の顔を平手打ちしました。

それだけなら、

「今でもまだ、そういう体罰ってあるよな・・・。」

で済んでいたかもしれません。

ところが、それでは済まない事態となりました。

女子生徒は、叩かれた衝撃で

顎が外れてしまったのです。

しかも、そのまま治療を受けず、教諭の許しを得るべくその場に残っていました。

しかし、教諭からは

「お前なんかいらん。帰れ!」

と叱責を受け続け、5時間以上教諭のそばに立っていたのです・・・。

 

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失敗と罰のバランスがおかしい!

教諭が激怒した理由は、当日の地区大会にその女子生徒が

ユニフォームを忘れて来た

ことでした。

確かに、大事な試合にユニフォームを忘れてくるのは、重大な失態です。

しかし普通なら、言葉で叱責した後、

ベンチにずっと座らせておく

帰宅させる

などの対応になるはずです。

それなら、教育的指導として妥当です。

ユニフォームを忘れた結果が

顎が外れるほどのビンタをされ、暴言を浴び続ける

というのは、原因と結果のバランスが全く取れていません。

「戦前の軍隊での話か?」

と言いたくなります。

女子生徒は「外傷性開口障害」と診断されました。

精神的ショックから、学校を休んでいるそうです・・・。

そして、男性教諭は学校を懲戒解雇されました・・・。

 

中学・高校での部活は、半ば『強制』!

このニュースを見聞きし、女子生徒は本当に気の毒だと思いました。

それと同時に、

「中学や高校での部活って、どうしても必要なのかな?」

という疑問が湧き上がりました。

ご存知の通り日本では、ほとんど全ての中学校や高校で、何らかの

部活、すなわちクラブ活動

が行われています。

大半が体育系ですが、文化系のクラブも当然あります。

形式上は「任意参加」となっていますが、多くの学校では事実上

「強制参加」

となっています。

「課外活動」

と言いながら、実際は学校の授業の一環と言っていいでしょう。

 

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外国人も、日本の部活にビックリ!

日本人は、なぜここまで「部活」にこだわるのでしょうか?

もちろん他の国でも、学校の課外活動はあります。

しかし、日本ほど「学校生活の一部」になっている国はないでしょう。

10年ほど前、通信社の特派員による、韓国社会に関する本を読みました。

その中で、韓国から海外赴任で日本に来たビジネスマン家族が、日本の学校の部活に驚いたエピソードが描かれていました。

 

外国では、クラブは任意参加!

韓国の中・高校では、日本のようなクラブ活動はないそうです。

スポーツや音楽・芸術に秀でた生徒だけが、選抜されてスポーツクラブや音楽教室などに通い、英才教育を受けるのだとか。

家の近所の学校で、多くの生徒たちがスポーツの練習をしているのを見て、

「この学校は、スポーツのエリート養成校なのか?」

と思ったそうです。

また、スポーツ大国アメリカでも、日本の学校と違いクラブ活動は任意です。

アメリカでは、ブラスバンドなどの音楽関連クラブも盛んですが、これらも任意参加です。

あくまでも「課外」活動であり、強制はされません。

ヨーロッパの国々でも、似たようなものだそうです。

 

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猛練習はエリートのみ!『部活漬け』はなし!

また、外国の学校では、日本でありがちな

「朝練」

などもないようです。

土日も休みなく、毎日練習漬けといった話も聞きません。

やはり「課外活動」の域を出ず、生徒たちも例えば

「サッカー漬け」

「吹奏楽一色」

の学校生活にはなりません。

前述の通り、素質のある生徒だけが、

プロサッカークラブの下部組織

音楽の専門学校

国の管轄する強化プログラム

などに所属し、ひたすら練習に打ち込みます。

 

『全員が猛練習する必要はない』の発想!

先日どこかの雑誌で読んだ記事を、ふと思い出しました。

ブラジルは、言わずと知れたサッカー王国です。

しかし、ブラジルでも練習漬けの日々を過ごすのは、プロクラブの下部組織の入団テストに合格した、才能のある若者だけです。

「練習は、才能のある者がやること。才能のない者には、練習は必要ない。」

といった内容のことを、ブラジルのサッカー関係者が語っていたように記憶しています。

身も蓋もない話ですが、スポーツや芸術の真理を突いた発言ではあります。

 

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日本でも、プロを目指す子は部活をやらない!

日本でも、そういう傾向はあります。

例えば野球では、プロ野球選手を目指す子供は、各地のリトルリーグで早くから練習に打ち込みます。

中学生になると、素質のある生徒は大抵、中学校の野球部には入りません。

シニアリーグ(関西ではボーイズリーグと呼ばれます)

のチームに所属し、硬式ボールで練習します。

そこでも優秀な生徒が、日本全国の野球の名門高校に進学していきます。

音楽の場合でも、将来プロのピアニストやバイオリニストになろうとする生徒は、プロから個人指導で英才教育を受けます。

学校の音楽部には所属しない人が多いはずです。

 

令和の中・高生には、部活はコスパが低い?

令和の中学生や高校生は、

「ゆとり教育」の反動

で、毎日の学習だけでも大変です。

難関校受験、あるいは学校の授業について行くため、塾・予備校に行く生徒も多いです。

それに加えて、部活の負担まで加わってきます。

一日の終わりにはヘトヘトになっているとの話も、時々耳にします。

放課後2〜3時間(あるいはもっと)の練習を、3〜6年間続けても、大多数の生徒はスポーツや芸術で食べていくことはできません。

対費用効果(コストパフォーマンス)、いわゆるコスパの点で言えば、非常に低いと言わざるを得ません。

その時間を、もっと別の事に振り分ける方が、中・高生にとってはより有意義な気がしますが・・・。

 

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過剰な『部活絶対主義』を見直すべき!

私は、部活そのものを否定しているわけではありません。

放課後の息抜きとして、他のクラスの生徒や、上級生・下級生と一緒に楽しくやれるなら、有意義であると思います。

各人の私生活も大事にしながらの、のびのびできる部活なら、むしろ推奨したいところです。

ところが、現実はさにあらず。

やる気もないのに、ほぼ強制的に参加させられる

顧問の教諭による、前時代的な暴力・パワハラ

たかだか1〜2歳上の上級生による、しごき・いじめ

休日・祝日の自由な時間を、全て奪われる

など、昔の軍隊的なことがまかり通っています。

英語では、スポーツをしたり音楽を奏でることを

「play」

という動詞で表現します。

日本の部活は、「play」からは大きくかけ離れています。

 

部活以外でも、人間性は養える!

しかし日本では、

「部活をやると、根性や忍耐力が養える。」

「上下関係を通して、礼儀作法が身につく。」

「部活を通じて、友達の輪が広がった。」

などの理由で、今の形の部活を擁護する意見が多いです。

ですが、それらは部活なしでは絶対に得られない、特別なものでしょうか?

部活に参加しないと、

根性なしで礼儀のなっていない、友達のいないダメ人間

になってしまうのでしょうか?

そもそも根性や忍耐力は、スポーツや音楽などから叩き込まれるものではありません。

礼儀作法は、まず家庭で親が身につけさせ、学校の授業の中で教師が定着させるべきものです。

また、友人を作る場所や機会は、人生の様々な中で見つかります。

 

最後に・・・。

現行の部活のプラス面として、唯一思い浮かぶのは

中・高生のうちに色々な理不尽さに慣れておけば、社会に出てブラック企業に勤めても、我慢できる精神的強さを得られる

ことくらいでしょうか。

学校側も、そうした点を踏まえての親心、教育的配慮から部活を推奨しているのでしょうか・・・。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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