このブログでは、不動産に関する記事を時々書いています。
昨今話題の
「事故物件」
ネタも2〜3本あります。
「事故物件」という言葉は、今や普通に通じるメジャーな言葉です。一戸建てやマンション・アパートの中で、自殺あるいは他殺、もしくは孤独死という、「普通ではない」死に方で人が亡くなった不動産を指します。唯一無二の事故物件表示サイト[…]
このブログでは、いくつか「事故物件」に関する記事を書いてきました。自殺・他殺・孤独死などが起こった不動産は、その物件を買おう又は借りようと思っていた人からも敬遠されがちです。よって、土地や建物自体に欠陥すなわち「瑕疵」がある[…]
私自身は、事故物件に住んだことがありません。
しかし、現在住んでいる賃貸マンションの近所には、事故物件がいくつかあります。
有名な事故物件情報サイト
「大島てる」
で、自分の住む地域に事故物件が多いと知る人は、結構多いです。
こんにちは。husband(@kumafumoblog)です。「大島てる」というWebサイトをご存知の方は多いと思います。不動産の中でも、そこで殺人・自殺・孤独死などが起こった「事故物件」を表示するサイトです。4~5[…]
引越しを検討、ネットに出ていたある物件が・・・。
私が2年ほど前に経験した出来事は、事故物件絡みでした。
その頃、嫁と二人で引越しを考えたことがありました。
まず、インターネットの不動産サイトで情報を集め、希望条件に合う地域を絞り込んでいきました。
そうしているうちに、ある物件が我々の目に留まりました。
ある分譲マンションの一室なのですが、オーナーが第三者に賃貸している物件です。
2LDKで、築年数も10年未満。
オートロックや光回線など、今どきの設備は大体揃っています。
そして、地下鉄の駅から徒歩3分ほどの好立地。
相場と照らし合わせると、本来なら家賃は月10万円を軽く超えそうです。
ところが、その物件の家賃は
月8万円・・・。
『釣り物件』の可能性?
我々夫婦は、安さに驚くと同時に
「もしかして、何かいわく付きの物件では・・・?」
との疑いを持ちました。
二人とも事故物件についての知識はあったので、そういう連想をしたのです。
残念ながら、Webサイトでは詳細は表示されていませんでした。
「お問い合わせや内見などのご希望については、メールにてお願いいたします。」
とのことでした。
我々は
「ひょっとして『釣り物件』かな?」
と思いました。
「釣り物件」とは、条件が良くて既に客が付いた物件や、そもそも存在しない物件などをエサとして表示し、つられて来た客には
「ついさっき、別の方に決まりました・・・。」
などと言って別の物件を紹介する手口です。
しかし、半分興味本位で、一度話を聞きに行こうということになりました。
仲介業者の事務所を訪問。説明を聞いていると・・・。
メールを送り、次の週のある日、不動産仲介業者の事務所に行くことが決まりました。
嫁と二人で事務所を訪ねると、さほど広くはありませんでしたが、ゴチャゴチャしておらず開放感のある、キレイな所でした。
担当の若い男性社員が応対してくれ、早速件の物件の資料を見せてもらうことに。
資料を見ながら説明を聞いていましたが、基本データは当然ながらWebサイトと同じでした。
家賃も、月8万円となっていました。
しかし、資料の途中に
「定期借家物件」
と書いてあるのが気になりました。
大家に電話した社員の表情が・・・。
担当の男性社員もそこに気付いて、
「あれ?どういうことだろう?」
と呟いています。
私が
「これって、一定期間しか借りられないということですか?」
と尋ねると、男性社員は
「そういうことです。でも何が理由か、手元の資料では分かりません。大家さんに話を聞いてみます。」
と、その場でオーナーに電話をしてくれました。
我々夫婦は、その様子を黙って見ていました。
電話で話しているうちに、男性社員の表情が段々と曇っていくのが分かりました・・・。
衝撃の事実が発覚!
5分ほどして電話が終わると、男性社員は渋い表情で話し始めました。
「実は、この物件を借りて住んでいた人が、自殺されたらしいんです・・・。」
これには、我々夫婦もびっくりしました。
本物の事故物件だったのです・・・。
「元は、ご夫婦とお子さんの三人家族だったんです。ところが、ご夫婦が離婚されました。奥さんはお子さんを連れて出て行ったので、その後は男性一人で住んでいたそうです。」
嫌な流れになってきた・・・。
「しばらくして、男性は家の中で首吊り自殺しました。」
やっぱり・・・。
「近所付き合いがなくて、仕事も辞めていました。なので、発見されるまでに2〜3ヶ月かかったそうです。」
部屋の中は、大変なことになっていたはず・・・。
「大家さんによると、特殊清掃とかで色々大変だったみたいです。」
でしょうね・・・。
「事故物件になると、次に借りる人にはその事を告知しないといけません。でもそうすると、借り手も見つかりにくいし、家賃もかなり下げないといけません。」
オーナーさんには災難ですよね・・・。
「そこで半年間だけ、相場より安い家賃で誰かに貸すことにしたそうです。その後は、自殺のことも入居希望者に言わなくて済みますし、家賃も相場通りに戻せるから・・・とのことでした。」
面談テーブル越しに、何とも言えない気まずい空気が流れました。
結局、どこにも内見に行かず終わった・・・。
男性社員は
「すいませんでした。他によく似たお部屋の資料を、いくつかお持ちしますね。」
と言って事務スペースに戻りました。
5分ほどして、別の物件の資料を持って来ました。
先ほどの事故物件については、一言も触れませんでした。
嫁も私も、説明を聞いてしまった後では、
「さっきの部屋、内見させてもらえますか?」
と言う勇気もありませんでした・・・。
別の物件の資料を5軒分ほど見て、その日はお開きとなりました。
男性社員も気まずかったのでしょう。
無理に他の物件を勧めてくることはなく、内覧に行こうとも誘いませんでした。
最後に・・・。
仲介業者の事務所は、件の事故物件から徒歩2分ほどの場所でした。
我々は帰りに、件の部屋のありそうなマンションを探してみました。
しかし、正確な住所やマンション名までは教えてもらっていませんでした。
そのため、どこのマンションかは特定できませんでした。
家に帰ってから「大島てる」を調べてみましたが、マンションの所在地らしき辺りの地図には、事故物件を表す
炎のマーク
が一つも表示されていませんでした。
「大島てる」も全ての事故物件を把握しているわけではないので、そういう例もあるのでしょう。
結局、その後引越しの話は立ち消えとなりました。
現在も同じ所に住んでいます。
「家賃がやけに安い家には、やはりそれなりの理由がある。」
という真実を、身をもって知ったのでした・・・。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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