皆様は
「民泊」
という言葉を覚えておいででしょうか?
最近はメディアでも、ほぼ取り上げられなくなりました。
旅行者を宿泊させるのは、本来ホテルや旅館など
「プロの事業者」
の役目です。
しかし外国では、普通の一般人も特定の条件下で、所有不動産に有料で旅行者を宿泊させることができます。
そこで日本でも同様の
「規制改革」
が進められ、2018年(平成30年)6月より「民泊新法」が施行されました。
トラブル急増、投資家参戦の『民泊バブル』!
それ以降、日本のあちこちの一軒家やマンションが
「民泊施設」
と化しました。
施設の増加に比例するように、宿泊客のマナーや提供者側の管理体制に関するトラブルも急増。
また、民泊用不動産を借金してまで購入する、にわか不動産投資家も多数出現。
一部のメディアでは
「民泊バブル」
を煽っていました。
コロナ禍によりバブル崩壊、民泊は壊滅状態・・・。
そんなバブルを一気に弾けさせてしまったのが、2020年(令和2年)からの
「コロナ禍」
すなわち新型コロナウイルスの大流行です。
民泊施設が大いに当てにしていた
「外国人観光客」
が、消滅と言っていいほど、急激に減少しました。
上記のように投資目的で民泊を始めた人々は、たちまちローンの返済に行き詰まりました。
不動産を売却しても多額の残債が残り、破産という転落コースを辿った人も多かったようです。
私が2022年(令和4年)途中まで住んでいた、大阪市の中心部でも、近所の民泊施設は全く稼働している気配がありませんでした。
早朝のウォーキングで商店街を歩いていると・・・。
コロナ禍が2年目に突入した、2021年(令和3年)のことです。
当時、嫁と私は週何日か、早朝のウォーキングをしていました。
いくつか決まったコースがありましたが、その一つに近所の商店街がありました。
大阪では有名な商店街ですが、早朝6〜7時台は流石に人もほとんどいません。
ブラブラ歩くには適していました。
ある日、いつもなら折り返すはずの地点で
「もう少し先まで行ってみよう。」
ということになりました。
嫁と話しながら歩いていると、前方左側に何だか変わった感じの建物を発見しました。
大阪の商店街なら、変わった建物など珍しくもありません。
しかしその時は、商店街に似つかわしくない、妙な違和感を感じたのです。
建物にどんどん近付いていくにつれ、
「この建物はやっぱり変だ・・・。」
という印象が強くなりました。
建物の色も構造もおかしかった!
まず、建物の外壁が薄い青色に塗られています。
両隣の建物からは、浮きまくっています。
かと言って、目立つような派手な看板も掛かっていません。
「ここは一体何の店なのか?」
と思いましたが、建物の前の立て看板を見て全てが理解できました。
そこは、民泊施設だったのです。
普通なら、1階全体が受付になっており、建物内の階段やエレベーターで上階の部屋に上がるといった形です。
ところが、その建物の1階は、半分だけがガラス張りの玄関になっています。
内部は小さい受付スペースになっています。
そして残り半分はというと・・・。
少し奥に引っ込み、2階へと上がる階段が上方へ伸びていました・・・。
無理に改築した感じで、階段もかなり急・・・。
イメージとしては、建物の1階部分の半分を、奥の方まで削り取った感じです。そこに階段を無理矢理造り、そこから2階に直接入れるようにしていました。
受付で手続きをして鍵などを受け取ると、一旦外に出てその階段から2階へ上がるのです。
構造上やむを得なかったのか、階段はかなりの急角度でした。
スーツケースやキャリーケースを持って上がるには、明らかに苦労するはずです。
3階か4階まであるようでしたが、中にエレベーターがあるとも思えません。
3〜4階の場合、自分の部屋に辿り着くまでが一仕事です。
違法建築の疑いあり?安全性にも不安が・・・。
この建物は、最初からこんな構造にはなっていなかったはずです。
普通の店舗用建物だったのが、民泊用に改築するため、何とも歪な形にしてしまったのでしょう。
そこで私の頭に、ある疑問が浮かびました。
「この建物って、もしかして違法建築の建物では?」
上記のように、明らかに不自然な形に改築してしまっています。
建築物には、建築基準法などの様々な法令が適用されます。
民泊施設ならば、
耐震強度
火災などの際の安全性
などは確実に担保されているべきです。
商店街アーケード沿いの建物が密集した地域で、狭小かつ強引に改築された建物に、人が宿泊して大丈夫なのでしょうか・・・?
そんな思いを抱きながら、我々夫婦は先へと歩いて行きました。
最後に・・・。
あれから2年近くが経過しました。
外国人の入国制限も大幅緩和され、国内の人の移動(観光、出張など)も活発になってきました。
しかし、一旦完全に火の消えた
「民泊ブーム」
を再燃させるのは、大変困難でしょう。
件のあの建物は、一体どうなっているでしょうか。
その後一度も前を通らなかったので、現状は全く不明です。
今もまだ、繁盛しているかは別として営業を続けているのか?
それとも、建物自体とっくに取り壊され、全く別の店舗がオープンしているのでしょうか・・・。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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このブログでは、時々「債権回収」「不動産」を題材とした記事を書いています。私が債権回収、すなわち「借金取り」の仕事をしていた頃の経験・知識が基となっています。この「債権回収」と「不動産[…]
 
  
 