自宅を含め、不動産を所有なさっている方なら、必ず一度は
「不動産登記簿謄本」
の写しをご覧になられたはずです。
一戸建てなど「土地+建物」の場合、土地と建物の両方が登記されています。
では、分譲マンションのような集合住宅の場合はどうなるでしょうか?
近年は『区分建物』に『敷地権』が付いているのが普通!
普通に考えれば、底地である土地は居住している世帯全てで共同使用していますから、
全世帯分の1ずつの持分共有
ということになります。
ただ、普通の一戸建て住宅と同様に、土地と建物両方の移転登記をするとなると、非常に煩雑になります。
一世帯の所有者が変わるごとに、その都度持分の移転登記を行うことになります。
複数の部屋の所有者が立て続けに変わると、法務局での登記事務も混乱してしまいます。
分譲マンションの一部屋(一世帯)のように、一棟の建物の一部分を単独で所有できる建物は、
「区分建物」
と呼ばれます。
この区分建物の権利移転に伴い、敷地の権利も一緒に移転する建物は
「敷地権付き区分建物」
と呼ばれます。
近年の新築マンションは、ほぼ全てがこのタイプです。
敷地権が付いているかどうかで、登記が異なる!
しかし、築年数の古いマンションは、区分建物に敷地権が付いていない物件も存在します。
この場合、土地の権利は前述した通り、区分建物の所有者全世帯で共有している状態です。
敷地権が付いていない場合、権利証(現在は「登記識別情報」が正式名称)は
区分建物の分1通
敷地の分最低1通(敷地が二つ以上にまたがる場合は、その分全ての数)
が存在します。
一方、敷地権が付いている場合、権利証は
区分建物の分1通
だけです。
敷地権なしの物件の場合、もし建物だけ所有権移転登記を行っても、土地の所有権移転手続を忘れていたら、土地の持分所有権は前の所有者のままになってしまいます。
登記簿謄本の写しを見れば、敷地権付きかすぐ分かる!
登記簿謄本の写し、正式には
「登記事項証明書」
を確認すると、「敷地権付き建物」かそうでないかはすぐ分かります。
表題部の
「専有部分の建物の表示」欄の下に
「敷地権の表示」欄が記載されていれば、
「敷地権付き区分建物」
です。
敷地権がない場合、底地の登記事項証明書の申請に注意!
敷地権の付いていない区分建物につき、土地の登記事項証明書を確認する場合、注意が必要です。
もし何の指定もせず申請すると、土地の持分共有者全員分の情報が記載された登記事項証明書が発行されます。
大規模マンションで古い物件だと、100枚を超える分厚いものになる場合もあります。
特定の所有者に関する部分だけが記載された、分量の少ない登記事項証明書を取得することが可能です。
マンション底地の共有者全員分の情報が記載された登記事項証明書は、通常は必要ありませんが、時に必要となる場合があります。
競売申立を行ったマンションの一室が、敷地権付きではなかった・・・。
10年以上前、有担保債権の回収業務に従事していた頃のことです。
担当していたある案件で、担保不動産の不動産競売を申し立てました。
必要書類は全て準備して、法務部門に回付しました。
無事申立事務をしてもらったのですが、後日法務部門から連絡がありました。
担保物件はマンションの一室、つまり区分建物でしたが、古い物件のため
「敷地権付き区分建物」
ではなかったのです。
担保物件の所有者に関する登記情報のみが記載された、土地の登記事項証明書も取得して添付していました。
ところが、裁判所から法務部門に電話があり、
「競売物件の所有者以外の土地共有者の情報も全て載っている『全部事項証明書』を取得して欲しい。」
と依頼されたとのこと。
当時はそれが必須の書類だったかどうかは、定かではありません(現在は、裁判所のWebサイトでは必要書類として挙げられています)。
しかし裁判所の依頼ですので、断ることはできません。
法務局で証明書を申請、いくら待てども・・・。
2~3日後、私は電車に乗ってある法務局へ行きました。
登記事項証明書の分量が多くなる可能性は分かっていたので、法務局の最寄り駅近くの銀行で、現金2万円を引き出しておきました。
そして、法務局の窓口にて申請をすると、ソファーで待っていました。
窓口の方からは
「少しお時間頂くかと思います。」
と言われていたのですが、なかなか自分の名前が呼ばれないまま20分、30分と時間が過ぎて行きました。
フロアにはテレビが置かれていて、私が行った時間帯にはお昼のワイドショーが始まったばかりでした。
結局、私が名前を呼ばれたのは1時間近く経ってからで、ワイドショーも終わっていました。
私より後に申請した人が5~6人いましたが、全員私より先に書類を受領して帰って行きました。
一定の枚数を超えると、1枚ごとに追加料金が!
窓口の方から「大変お待たせしました。」と渡された全部事項証明書は、想像をはるかに超える分厚さでした。
当時は、1通50枚までは700円くらいだったと思います。
ただ、50枚を超えると、超えた枚数1枚ごとに確か100円の追加料金が発生しました。
さらに50枚超、すなわち100枚超になると、そこから1枚ごとに200円超の追加料金が発生したのでした・・・。
手数料として請求された金額は、約15,000円(!)でした。
ということは、枚数の合計は150枚近くなります・・・。
「お金を引き出しておいて良かった・・・。」
と思った次第です。
最後に・・・。
法務局の窓口には、取得した書類を入れるための封筒が置いてあり、自由に使えます。
しかし、150ページ近い書類が入るはずもありませんでした・・・。
帰社した私は、分厚い書類を法務部門行きの書類キャビネットに入れました。
そして、立替金返還の申請書類を作成すると、約15,000円のレシートと一緒に経理部門へ回付したのでした・・・。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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