テレビや映画で時代劇を観ていると、
「切腹」
のシーンが出て来ることがあります。
武士が名誉のため、自ら腹を刃物で刺してかっさばく、自害の方法です。
自分だったら
「絶対できない!」
と断言できます。
現代の日本では絶対に行われることのない(行ってはいけない)、武士特有の「儀式」です。
さて、この「切腹」を英語で表現すると、一体どうなるでしょうか?
実は日本語でも通用する?
実は、日本語をローマ字表記した
「harakiri」(ハラキリ)
がある程度通用します。
もちろん、英語圏の国で昔「切腹」が行われたことなどありません。
「(政治家・官僚、企業のトップなどが)自殺行為を行う」
という意味で、新聞やテレビなどで使われます。
ここでの「自殺行為」とは、「明らかに自らの不利になること」といった感じです。
「political harakiri」(政治的な自殺行為)
という具合です。
本当の『切腹』を忠実に表現すると?
では、江戸時代までの日本で武士が行っていた「切腹」を、忠実に表現するとどうなるでしょうか?
最も適しているのは
「(ritual)suicide by disembowelment」
という表現でしょう。
「ritual」[rítʃuəl(米国英語), ˈrɪtʃu:ʌl(英国英語)]は
「儀式、典礼」(名詞)、「儀式の、儀礼の」(形容詞)
と日本語訳されます。
武士が敵に捕まったり、罰を受けて死罪になるという恥(disgrace)を避けるため、自ら命を絶つことは、ある意味「儀礼」のような意味合いもあったので、「ritual」は適しています。
「suicide」[súːəsὰɪd(米国英語), s(j)úːɪd(英国英語)]は
「自殺(すること)」(名詞)
となります。
「disembowelment」[dìsimbɑ’uəlmənt]は、非常にマイナーな言葉です。
研究社 新英和中辞典によると
「[主に英国で用いられる](動物などの)内臓を抜き出す」
という意味です。
確かに切腹すれば内臓がはみ出るので、当たっていると言えます・・・。
動詞形の「切腹する」は、
「commit ritual suicide by disembowelment」
と commit [kəmít]((罪などを)犯す)を用います。
最後に・・・。
日本人はとかく自分たちのことを「侍」と呼びたがります。
「侍ジャパン」
「サムライブルー」
などです。
しかし、「切腹」という恐ろしい風習だけは、絶対に復活させて欲しくないものです・・・。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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