「ハゲタカファンド」という言葉は、
真山仁さんの大ヒット小説「ハゲタカ」
で、一般の日本人にも知られるようになりました。
いわゆる「ヘッジファンド」の中でも、
企業買収を専門とするファンド
を指します。
経営が悪化し倒産の瀬戸際にある、または破綻した企業を買収、もしくは大株主となり、経営を上向かせて再生しようとします。
企業価値が上昇したら、売却して莫大な利益を手にするのが基本手法です。
「ハゲタカ」と聞くと、鷹イコールhawk(ホーク)と連想する人が多いと思います。
プロ野球の福岡ソフトバンクホークスのマスコットキャラクターは鷹です。
『鷹のファンド』と直訳しても通じない!
しかし、「hawk fund」と訳しても、全く通じません。
「ハゲタカ」=ハゲワシ、コンドルと読み替えると、
vulture という単語があります。
これを使い、
vulture fund
とするのが正解です。
研究社 新英和中辞典によると、
vulture には、(弱い者を食い物にする)強欲な人間という意味があります。
不良資産に投資して安値で買い、高値で転売するという(利ざやを稼ぐ)手法が、
獲物が弱って死ぬのを空から見て待っているという、ハゲタカの姿
を連想させます。
また、会社の他の株主や従業員などの利益を考慮せず、自分たちの利益の確保のみを考えるファンドも多いため、「ハゲタカ」という、あまり有り難くない名称が付けられてしまいました。
悪徳ファンドばかりとは限らない!
しかし、自分たちだけではなく、他のstakeholder(利害関係人)たちにも有益な形で企業価値を高めようとするファンドも存在します。
そうしたファンドは、「ハゲタカファンド」とはみなされません。
案件によっては、企業活動にプラスになる場合もあります。
そうしたファンドは、
turnaround fund (再建ファンド、事業(企業)再生ファンド)
とも呼ばれます。
turnaround は、「(劇的な)改善、好転」を意味します。
vulture fund が行う投資の一つに、distressed(ディストレスド)投資があります。
困窮している企業(国家の場合もあります)の弱みに付け込み、利益を得る手法です。
例えば、その企業(国)への債権を安値で買い取り、その債権の返済を迫ります。
返済がなされなければ、預金口座や保有不動産など、相手の資産を差し押さえたり訴訟を起こすなどして、身ぐるみ剥がしてでも取り立てるのです。
最後に・・・。
2020年の2月頃に、ソフトバンクグループの株式を大量取得していたことが判明し、話題になった
アメリカの投資会社エリオット・マネジメント
は、このdistressed 投資で有名です。
新型コロナウイルス禍により、経営体力の弱っている日本企業は多いはずですが、ハゲタカファンドがまたも跳梁跋扈するような事態には、なって欲しくないものです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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