「Achilles’ tendon」・・・?読み方も分からない・・・。
「tendon」・・・?もしかして、新しく発表される天丼のこと?
残念ながら違います・・・。
カンの鋭い人なら、「Achilles’」の文字からシューズメーカーの「アキレス」を思い出すかもしれません。
その通り!「Achilles’」は「アキレスの」という意味です。
発音は[əkíliːz(米), ʌˈkɪli:z(英)](アキリーズ)。
「tendon」は[téndən(米), ˈtendʌn(英)](カタカナであえて表現するなら[テンダン])と発音し、「腱(かかと)」という意味です。
「Achilles’ tendon」は、「アキレス腱」を意味します。
アキレス腱については、ここで詳しく説明する必要もありませんが、足にあるふくらはぎの腓腹筋やヒラメ筋と、踵(かかと)の骨にある踵骨隆起を接続させる腱です。
スポーツなどでアキレス腱を断裂してしまうと、メチャクチャ痛いそうです。
日本語でよく「優れた人間の致命的な弱点」という意味で、この「アキレス腱」を使います。
例えば
「現在人気の知事にとって、昨年から噂されているあの疑惑はアキレス腱になりかねない。」
のように用います。
ところで、なぜ人の弱点を「アキレス腱」と言うのでしょうか?
それは、ギリシア神話の英雄アキレス(ギリシア語ではアキレウス)に由来します。
アキレスはトロイア戦争で大活躍し、無敵と謳われていました。
また、俊足でも有名でした。
生まれた時に母親により、冥府の川ステュクスの水に全身を浸され、不死の身体になった・・・はずでした。
ところが、母親がアキレスを川の水に浸す際に掴んでいた踵だけは、水に浸かりませんでした。
ギリシア神話に出て来る都市イーリオス(イリオン、トロイア、トロイなどとも呼ばれる。「トロイの木馬」で有名)との戦いで、イーリオスの王子パリス(Paris)に弓で踵を撃ち抜かれて、命を落としました。
ここから、英語では「Achilles’ heel」(アキレスの踵)が日本語の「アキレス腱」と同じく、
「(特に強い人、権力者などの)弱点、急所」
として使われます。
日本語に「弁慶の泣き所」という、よく似た意味の言葉がありますが、昔の英雄を使っている所はそっくりです。
よって、「人の弱点」という意味で「Achilles’ tendon」は使わないようにしてください。
その場合は「Achilles’ heel」です。
また、日常生活でも「Achilles’ tendon」を断裂しないように、運動などの前にはしっかりストレッチを行ってください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。