「the Midas touch」・・・?
「touch」って、「触れる」とか絵画の画風「タッチ」ってこと?
あだち充先生の名作「タッチ」なら、よく知ってるけど・・・。
残念・・・。
今回は「双子」も「野球」も無関係です。
「touch」が「触れる(こと)」なのは的を射ていますが・・・。
『the Midas touch』って、実は縁起の良い言葉?
「the Midas touch」とは、研究社 新英和中辞典によると
「何でも金にしてしまう能力」、「投機的事業を有利にする能力」
と訳されます。
より簡潔に表現すると、
「金儲け(利殖)の才能」、「金運が良いこと」
となります。
“Midas”[máidəs | -dæs]は、日本語では「ミダス」と表記されるのが一般的です。
“Midas”はギリシャ神話に登場する王様!
ミダスとは、ギリシャ神話に登場する人物で、プリュギア(Phrygia:古代アナトリア(現トルコ)中西部の王国)の王です。
ギリシャ神話ではぶどう酒(ワイン)の神とされるディオニューソス(ローマ神話ではバックス。日本では英語読みの「バッカス」が一般的)の養父を助けたことで、
「触れる物全てが黄金に変わる」
能力を授かりました。
この物語から、「the Midas touch」は「金を儲ける能力」として用いられるようになりました。
また、スポーツ選手や芸能人で絶頂期にあり、何をしても上手くいく(良い結果を残せる)
「旬の人」
を指すこともあります(新聞・雑誌の記事のタイトルに使われたりします)。
誰もが欲しがる能力のはずだったが・・・。
「うらやましい・・・。自分もそんな能力が欲しい!」
とお思いの方も多いでしょう。
しかし、この神話には悲しいオチがあります。
ミダス王が食べ物や飲み物を手にすると、全て黄金に変わってしまい、食べることも飲むこともできなくなってしまいました。
ついには、愛する娘が父であるミダス王に抱きつくと、娘は黄金の像に変わってしまいました。ミダス王はディオニューソスに、この能力を無効にするように祈りました。
ディオニューソスの忠告通りミダス王が川に入ると、川の水が砂金になり、ミダス王の能力は失われました。
実はこのエピソードには、いくつか異なるバージョンがあるそうです。
私が「the Midas touch」を初めて知ったのは、某予備校の英語の参考書においてでした。
その本の解説では、自分の能力に絶望したミダス王は川に身を投げましたが、川の水が砂金に変わってしまったため、溺れて死ぬこともできなかった・・という、なかなかシュールな話になっていました。
最後に・・・。
世の中には確かに
「何をやっても上手くいく」
運の強い人も存在します。
しかし、その人の「the Midas touch」が一生続くとは限りません。
日本語に
「好事魔多し」
という言葉があるように、得意満面になっている時に限って、とんでもない失敗や不運が起こってしまうものです。
最近のニュースでも、そういった人たちのことが報道されています。
我々平民は、「純金積立」くらいで満足しておくべきでしょうか・・・。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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