spin doctor(スピン・ドクター)という言葉は、時々英米の新聞などに登場します。しかし、ドクターと言っても医者のことではありません。
「研究社 新英和中辞典」によると、
spin doctor:(米俗)政治問題などでコントロールの上手いスポークスマン
という訳です。他には、「報道担当アドバイザー」、「メディア担当アドバイザー」、「政治活動顧問」という訳語もあります。
スポーツが由来の言葉だが、いい意味では使われない!
そもそも、spin(スピン)とは、パブリック・リレーションズ(PR)において、特定の人物や団体に有利になるように、ある事件や事態を偏って描写すること、そうした描写を意味します。
好意的な意味では用いられません。
クリケットで、投球時にボールにスピンをかける(回転を加える)ことがあり、そこから由来する言葉です。
スピンのテクニックとして、
① チェリー・ピッキング(自分の意見を支持する証拠を、恣意的に引用する)
② 間接的な否定
③ 婉曲表現による論点のすり替え
④ 悪いニュースをわざと遅れて公表し、より悪い(もしくは良い)他のニュースに隠れてしまう ようにする
など、様々な手法が挙げられます。
そうしたスピンのテクニックに精通した人間を、spin doctorと呼びます。
これも好意的な言葉ではありません。
優秀な人間たちが、おバカな言い訳をひねり出す・・・。
アメリカやイギリスの政府や政党には、メディアや国民への対応(はっきり言えば情報操作、印象操作)に長けたspin doctorが多数存在します。そして、政府の政策の失敗、政権幹部の醜聞、政治家や官僚の失言などをごまかそうと、日々暗躍(笑)しているのです。
20年以上前に、NHKの英語講座(「やさしいビジネス英語」だったと思います)で、この言葉が紹介されていました。
当時のアメリカ大統領ビル・クリントンが大学時代にマリファナを吸っていたことが、マスコミで報道されました。
その際、ホワイトハウスのコメントは、
「大統領が学生時代、興味本位で2~3回吸ったのは事実である。しかし、軽く吸っただけで、肺には入れていない。」
という内容の、愚にもつかない言い訳でした。
高校生がタバコを吸っているのを見つかり、こんな言い訳をしたら、先生からボコボコにされても仕方がないでしょう。
こうした、ある意味おバカなコメントをひねり出すのも、spin doctor(高学歴の人ばかりです)の重要な仕事なのです。
最後に・・・。
我が国の以前の総理大臣が「桜を見る会」問題の答弁で発した、
「募りはしたが、募集はしていない。」
という珍発言も、spin doctorが編み出したのでしょうか・・・。
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