皆様、試験に出ない英語手帳へようこそ。
この手帳では、大学入試や、英検・TOEICなどの資格試験によく出る英単語、英熟語が
一切紹介されません。
日常生活やビジネスにおいても、まず聞いたり話したりしないであろう、そんな言葉だけを紹介していきます。
記念すべき第1回の言葉は、
「Jim Crow」です。
男性の名前?こんな名前の俳優やミュージシャン、いたかな?
実は、公の場では使ってはいけない言葉!
残念ながら、特定の人物の名前ではありません。
「黒人」を意味する、蔑称です。
昔は、黒人を「crow(カラス)」と呼ぶことがありました。
1835年に、白人コメディアンのThomas Dartmouth Rice が、Jim Crowという架空のキャラクターを創り、顔を黒く塗って、アフリカ系アメリカ人特有の話し方や、伝統的な歌・踊りを舞台で真似してみせました。
これが人気を呼び、ここからJim Crow = 黒人という固定観念が形作られました。
Jim Crowには、「黒人差別」という意味もあります。しかし、この意味で用いる場合、
「Jim Crowism」の方が一般的です。
形容詞(限定用法)として用いることもあります。
(例) Jim Crow laws (黒人差別法)
a Jim Crow car (黒人専用車)
1960年代まで、アメリカでは人種差別が合法化されていた!
アメリカでは、19世紀半ばに南北戦争が終結した後、黒人奴隷制度は廃止されました。しかし、黒人分離政策により、あらゆる公共施設で白人用と黒人用が分離されました。
1896年の最高裁判決では、「隔離は差別ではない。」(!!)と判断され、分離政策は合法となってしまいました(そんな馬鹿な・・・)。
その後、1960年代に「公民権運動」(Civil Rights Movement)が全米で繰り広げられました。
多くの犠牲を払いながらも、黒人の権利拡大はある程度実現されました。
しかし、皆様もご存知のとおり、本当の意味での差別根絶は全く実現されていません。21世紀の2020年になってもなお、人種差別はアメリカ社会の根底にある病巣です。
今年6月に、黒人男性が警察官に取り押さえられる際、首を押さえ付けられ窒息死した事件をきっかけに、
「Black Lives Matter.(黒人の命も大切だ。)」をスローガンとする、人種差別に対する抗議デモが全米各地で行われました。
しかし、現職の大統領があらゆる形の差別的発言を垂れ流す、「差別大国アメリカ」で、こうした怒りの波はいつまで続くでしょうか。
最後に・・・。
ちなみに、人種差別問題を語る上での基本単語としては、
Discrimination(差別)、Segregation(分離、隔離)、
Racist(人種差別主義者)、Human Rights(人権)などがあります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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