皆様は、「許平和のハイソサエティ」というTV番組をご存知でしょうか?
1980年代後半のバブル中期~末期にかけて、5年間ほど、京都のKBS京都というローカル局で放送されていました。
さらに、兵庫県のサンテレビなど、近畿圏の複数のローカル局(旧UHF局)でも放送されていました。30分か45分の番組だったと記憶しています。
「許平和って誰?そもそも、何て読むの?」
とお思いの方々もいらっしゃるでしょう。
許平和(きょ ひらかず)さんは、華僑の名門一族の一員で、現在は台湾籍だそうです。
アメリカで作曲などを学んだ後、音楽業界でキャリアを積み、他の分野でも様々なビジネスに携わったそうです。
日本でのインターネット黎明期から、大阪市を拠点にインターネットTV局を運営。現在はYoutubeにもチャンネルを持ち、音楽から政治経済まで幅広い情報を発信しています。
2020年の現在なら、インターネットで調べれば、上記のような情報を得ることは簡単です。
しかし、1980~1990年代には、そんな便利なものは存在していませんでした。TVを観て出演者に興味を持っても、その人が何者でどんな背景を持った人なのか、調べることは困難でした。TV番組内での説明や字幕、新聞や雑誌の記事が、一般視聴者にとって数少ない情報源でした。
そんな時代に、芸能人や文化人でもなく、全国ネットの番組でも見たことのない謎の人物(すいません・・・)が、ローカル局とはいえTVの画面中で色々な場所へ行ったり、様々な人たちと対談しているのです。
興味を惹かれるのは自然の成り行きです(笑)。
私がこの番組を初めて観たのは、1990年(平成2年)か1991年(平成3年)だったはずです。
水曜日の夜11時頃、風呂上がりに自室でTVをつけ、チャンネルを変えていた私は、サンテレビの画面に釘付けになりました。
他のTV番組では見たことのない男性が、どこかのお洒落なレストランで、オーナーらしき人と談笑していました。
「これは一体、何の番組なんだ?」
と思いながらしばらく観ていました。
すると番組はエンディングを迎え、男性が
「許平和のハイソサエティ、次回をお楽しみに。」
みたいなことを話し、タイトルが出て番組が終わったと記憶しています。
そして1~2週間後、水曜日の夜11時頃にサンテレビにチャンネルを合わせると、許平和さんが、どこかのお洒落な街を、奥さんらしき綺麗な女性と散策していました。
結局、この番組は不定期に5回くらい観たと思います。
観る度に内容がバラバラで、奥さんだけでなく息子さんも出ていた回があったと思います。
私は、「許平和さんは中小企業の社長か何かで、ローカル局によくある、いわゆる買い取り(持ち込み)番組をやっているんだ。」と推測しました。
買い取り(持ち込み)番組とは、TV番組の放送時間枠を個人や法人が買い取り、自分たちが制作した番組を流すという仕組みです。
今でも、地方局では結構そうした番組が放送されています。
全国区のTV番組「月曜から夜更かし」で取り上げられブレイクした、千葉県在住のロックミュージシャンJAGUAR(ジャガー)さんが、地元の千葉テレビの放送時間枠を買い取り、約10年間放送した「ハロー・ジャガー」は、買い取り(持ち込み)番組の代表格と言えます。
人気ラーメン店チェーン「天下一品」の創業者である木村会長が、MC役のタレントと一緒に、様々な分野で奮闘している人たちとトークをする、「てっぺんとったるで!」という番組が、今もKBS京都で放送されています。これも買い取り(持ち込み)番組でしょう。
よくあるのは、素人のオッチャンやオバチャンが、スタジオでカラオケを熱唱するだけの番組です(笑)。そして、スポンサーも地元の工務店や建設会社、不動産業者です。
それにしても、30~45分の番組枠を買い取り(それも複数の局)、自前で番組を制作して放送するとは、並大抵の資金力ではできない事です。
この番組は、伝説のラジオ番組「誠のサイキック青年団」でも、一時話題になりました。パーソナリティーの北野誠さんや竹内義和さんも、リスナーからのハガキに興味津々でした。
あるリスナーからのハガキによると、その人が家の近所を自転車で走っていた時、TVのロケ隊らしき一団を見かけたそうです。近付いてみると、
何と、許平和さんだったそうです!
「許平和のハイソサエティ」のロケだったのでしょう。
その人が
「あっ、許平和や!」
と叫ぶと、許平和さんは笑顔で手を振ってくれたそうです(笑)。
今でこそ、芸能人でなくとも、SNSやブログ、Youtubeなどで自分の意見を自由に発信できます。
特にYoutubeは、小学生がユーチューバーに憧れるほどの人気メディアに成長しています。
その30年以上前に、自前のTV番組で情報発信を行っていた許平和さんは、かなり時代を先取りした人ではないでしょうか。
先取りし過ぎて時代の方が付いて行けず、Youtubeの普及までかなりの時間を要しました・・・。
許平和さんが今でもネットを舞台に活躍なさっているのを知って、懐かしさと年月の経過の速さを感じました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。