ヤクザは手形が大好物!手形廃止の流れはどう影響する?

2021年(令和3年)2月19日、経済産業省は5年後の2026年を目処に、現在企業間の商取引で使われている

「約束手形」

の利用を廃止するよう、産業界・金融業界に実現への対応を求める方針を発表しました。

商取引ににおいて、

「現金決済」

ではなく約束手形を取引相手に振り出し、代金を後払いすることは、現在も一般的に行われています。

 

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約束手形は現金化に時間がかかり、不渡りのリスクもある!

しかし、約束手形を現金化するまでには結構期間が長く、中小企業にとっては

「資金繰りの負担が重い」

という難点があります。

また、振り出した側の企業が支払期日に決済できず

「不渡り」

となると、受け取った側の企業も資金繰りに窮し、連鎖倒産しかねないリスクもあります。

また、手形の盗難・紛失や事務の煩雑さといった問題もあります。

発表された方針には、手形などの債権を電子化してネット取引が可能となる

「電子記録債権」

への移行の検討や、

「支払いまでの期間の短縮」

も盛り込まれています。

中小企業にとっては、ありがたい流れになっていくかもしれません。

 

反社、すなわちヤクザにとっては、手形廃止は大問題!?

一方、手形取引が廃止されると大きな影響を受ける世界があります。

それは

「ヤクザ」

今風に言えば

「反社会的勢力(反社)」

です。

「なぜヤクザと手形が関係あるのか?」

とお思いの方がいらっしゃるかもしれません。

しかし、ヤクザが絡む手形関連の犯罪事件は、昔から非常に多かったのです。

約束手形の特殊性や手形取引の商慣習の複雑さは、ヤクザが付け入る隙が満載です。

 

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『取り込み詐欺』に手形が使われる!

皆様は

「取り込み詐欺」

という言葉をご存知でしょうか?

「振り込め詐欺」

のように個人(特に高齢者)を相手にする詐欺ではありません。

企業を標的にする詐欺です。

そうした犯罪に関わる連中は

「パクリ屋」

と呼ばれ、ほとんどがヤクザ関係者です。

実体のない企業を立ち上げ、標的の企業に最初は

「小口の現金取引」

で接近します。

段々取引の規模を大きくしながら相手の信用を勝ち取り、それから手形取引を持ちかけます。

何回か正常に手形取引を続けた後、大口の手形取引の話を出してきます。

相手が手形を受け取り、商品を引き渡すと、パクリ屋は商品と一緒に姿をくらまします。

事務所や倉庫はもぬけの殻で、手形も当然不渡りになります。

売上確保に汲々としている中小企業の弱みを巧妙に突いた手口です。

古典的な手口なのですが、現代でもこの手の詐欺はなくなりません。

 

『手形詐欺』も昔からある詐欺の手口!

「手形詐欺」

も、昔からある詐欺です。

企業が振り出した約束手形を預かった後に、行方をくらます方法です。

この犯罪を行う連中も「パクリ屋」と呼ばれます。

資金繰りに常に四苦八苦している中小企業は多く、金融機関からの融資を受けるのも大変です。

そこで急場をしのぐため、決済の見込みがない(=資金の当てがない)まま約束手形を振り出し、取引相手に渡します。

そうした手形を

「融通手形」

と呼びます。

融通手形を振り出すほど資金繰りに切迫している中小企業に、パクリ屋は巧みに接近していきます。

困っている相手に、少額ではあっても現金を融通してやるなどして、信用を得ていきます。

そして適当なタイミングで高額の約束手形(もちろん融通手形)を振り出させます。

手形を預かったらそのままドロン、行方をくらましてしまいます。

 

たとえパクられた手形でも、支払い義務が生じる!

手形のパクリは、被害者にとっては怖いことです。

詳細説明は省略しますが、一定の手続

「裏書」という言葉をご存知の方は多いでしょう)

を経て

「善意の第三者」(=パクられた手形ということを知らなかった第三者)

に手形が渡ると、手形を振り出した企業は手形の額面金額を、その第三者に支払う義務が生じます。

「そんなの、支払わなければいいだけでは?」

と思われるかもしれません。

しかし、正式に振り出した約束手形を決済しないと、

「不渡り」

となってしまい、企業の信用に大きな傷が付きます。

そして不渡りを二回出すと、

「銀行取引停止」

処分が課され、手形取引ができなくなってしまいます。

中小企業にとっては、「死刑宣告」にも等しいことです。

 

パクられた手形はヤクザの手に渡り、決済を迫られる!

また、パクられた手形はほぼ100%、反社すなわちヤクザ(またはその関係者)の手に渡ります。

パクリ屋自身がヤクザの一員であることがほとんどだからです。

ここでも

「ヤクザから脅されたら、警察に助けを求めればいいのでは?」

「そもそも、手形を盗まれた時点で警察に被害届を出すはずでは?」

という疑問が出るでしょう。

しかし、そう簡単にはいかない事情があります。

手形の決済を迫って来るのは、

「任侠○×組」

のような反社感満開の組織ではありません。

「フロント企業」

「企業舎弟」

と呼ばれる、外見上はカタギを装う企業です。

警察でもそうした企業だと確証を得ていない場合は、単なる「善意の第三者」になり、介入もしにくいのです。

 

手形を取り戻す『サルベージ屋』が現れ、さらなる被害も?

また、手形をパクられたと警察に被害届を出せば、融通手形を振り出していることが表沙汰になる恐れがあります。

そうなると、その企業の信用はガタ落ちとなります。

よって、警察の助けを借りることもしにくいのです。

そこで登場するのが、パクられた手形が誰の手に渡ったかを突き止め、手形を回収する

「サルベージ屋」

です。

ところが、サルベージ屋はヤクザと裏でつながっていることが多いです。

手数料として多額の金銭を要求されたりと、被害企業が二重三重に食い物にされる事例も時々あります。

 

最後に・・・。

5年後の2026年には、予定通りならばヤクザにとって「おいしい」手形取引が廃止されることとなります。

しかし、ヤクザの

「ハイテク・IT化」

は凄まじい勢いで進んでいるそうです。

今後導入される予定の

「電子記録債権」

など新しい制度も研究し尽くし、盲点を突いてくる恐れは十分あり得ます・・・。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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