腹の探り合い、だまし合い、債権回収はいかさまポーカー!

お金や法律などの話(夫)

そう遠くない将来、日本を含む世界中の国で、AI(人工知能)が人間の仕事を奪っていくという話は、2020年現在では最早都市伝説のレベルではなく、「いつ」実現するかというスケジュールのレベルにまで具体化しています。

AIが進出する業種も、限定された業種ではなく、ほぼあらゆる業種となりそうです。

金融業界は、AI進化の影響をモロに被る業界であり、近未来の地殻変動に全力で備えなければなりません。

債権回収の世界にも、AIは広まっていくのか?

しかし、ふと考えてみると

「債権回収の世界って、AIによってどう変わるんだろう?」

という疑問が湧いてきます。

確かに債権管理の手間はかなり楽になり、効率的な事務は可能になるでしょう。

督促方針についても、AIによって個々の債務者ごとに最適な方法や段取りが提示され、回収担当者はそれをそのまま実行していくだけ、ということになり得ます。

しかし、債権回収すなわち借金の取り立ては、人間同士の直接交渉抜きには成り立ちません。

そして、AIお得意の「論理」、「効率」といった正論だけでは通用しないものです。

債務者たちの言動は、論理からは掛け離れていく!

債務者や連帯保証人の思考及び行動は、数学や物理のような論理からは掛け離れたものになることが多いです。

そもそも論理的なら、「借りた」→「返す」、「返せない」→「すいません」のようになるはずですが、そうは上手く行きません。

「返せないのは自分のせいじゃない。不景気な世間が悪い。」

「他にも、返せない奴がたくさんいるんだろ?」

「債務者が首吊って死んでから、保証人の俺の所に請求しに来い!」

などなど、AIには(そして人間にも)理解不能の答えが返ってきます。

債務者たちとの返済交渉は、さながらポーカーゲームのよう!

債権者としては、当然少しでも早く、少しでも多く返済させようと、債務者たちとの返済交渉の中で何とか糸口を見つけようとします。

反対に債務者や連帯保証人は、何とか返済しないでおこう、あるいは少ない額で妥協させようと、こちらの出方をうかがってきます。

お互いに腹の探り合いをし、自分の手札と相手の捨て札を基に次の一手を考えます。

トランプゲームの一種、ポーカーの勝負のような雰囲気になってきます。

債務者たちの側では、実は生活に余裕があったり、不動産などの資産を所有していたりという事実は、当然ながら進んで表に出したがりません。

むしろ、反対の苦しい生活状況にあると、偽情報を出してきます。

そういう時の債務者たちは、アカデミー賞レベルの演技で債権者を丸め込もうとするのです。

回収担当者も、ゲームに慣れると駆け引きが上手くなる!

回収担当者も、新人の頃はそうした演技や話術についだまされがちですが、場数を踏んでいくと

「この話のパターン、こうなってくるな。」

「このパターンで来たら、あの返し方で行けるな。」

など、展開を先読みできるようになってきます。

また、相手の「ペテン、インチキ」、すなわち話の矛盾を見抜けるようになってきます。

「生活困窮のため、現状では1円も返済できない。」と泣きを入れてくる相手の矛盾や嘘を指摘し、逃げ道を次々塞いでいくことも度々あり、たとえ少額でも毎月返済の約束を引き出せた時は、ささやかな達成感を得られます。

債務から逃れるため、債務者たちは様々な手を使ってくる!

しかし、追い詰められた債務者や連帯保証人の中には、なおも抵抗を試みる人間も多くいます。

不動産を黙って配偶者や子供に贈与したり、誰かよく分からない別の債権者に抵当権を付けさせたり、はっきり言って「いかさま」と言うべき債務逃れ・資産隠しを行う人間もいます。

あるいは、弁護士や司法書士の名前で「受任通知」(債務整理の依頼を受けたので、督促を一旦ストップせよという通知)を送らせたまま、全く破産や個人再生などの申立手続をせず、債権者の追求(請求)をかわそうとする、「知能犯」的な人間もいます。

昔と違い、反社会的組織の助けを借りたり(競売妨害など)、センセイたち(地方議会の議員が多い)の威光を利用したりすることが、少なくともおおっぴらには出来なくなっており、その分債権者が予測できないような行動に出る債務者たちが時々いて、困ることがあります。

金が絡めば、人間何でもするのだと思わされます。

AIは、いかさまポーカーでも勝利を収められるか?

前述したとおり、相手方との返済交渉はポーカーのようなものであり、不正も堂々とまかり通ってしまう「いかさまポーカー」です。

ルールに則ったポーカーのゲームなら、ゲームごとに運不運の要素はあっても、トータルの結果では、AIが人間に楽々勝ってしまうでしょう。

しかし、相手のプレーヤーが勝つためには平気でズルをする場合、AIはそれを見破り、最適な手札の選択をできるでしょうか。

安定した回収成績を積み上げられるでしょうか。

最後に・・・。

個人的には、あと10年くらいは人間の回収担当者が主体的に考え、AIのデータを利用しながら行動するスタイルが続くと考えています。

しかし、あと20~30年後には、駆け引きとズル賢さを備えたAIが動かすサイボーグ(映画「ターミネーター」に出てくるアーノルド・シュワルツェネッガーのような)が、債務者たちと直接対峙し、債務の返済を迫るようになっているかもしれません・・・。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。