このブログでは、1970〜1980年代の
「懐かしマンガ」
の記事を、多数書いています。
怪奇・ホラーマンガのネタも多く、その中で日野日出志先生の
「ウロコのない魚」
このブログでは、1970~1980年代の懐かしマンガに関する記事を、10本以上書いています。その中でも「怪奇・心霊・トラウマ」系マンガの記事が多いです。楳図かずお先生、つのだじろう先生、山岸涼子先生などの怪奇[…]
「水の中」
このブログでは、懐かしマンガ、特に怪奇マンガに関する記事を時々書いています。以前、日野日出志先生の「ウロコのない魚」を紹介しました。 [sitecard subtitle=関連記事 url=[…]
をご紹介しました。
『ぼくらの先生』という短編がトラウマに!
日野日出志先生は、ホラーマンガ界の鬼才です。
1970〜1980年代に、
「蔵六の奇病」
「地獄の子守唄」
「毒虫小僧」
など、タイトルからして既に怖い、激コワホラー作品を多数発表。
当時小〜中学生だった読者たち(男女問わず)の多くは、
夜眠れない
食事が喉を通らなくなる
というトラウマ体験をしているはずです。
かく言う私も、トラウマに近い体験をしました。
その作品が、今回ご紹介する
「ぼくらの先生」
という短編です。
小4の頃、近所の書店に『ひばり書房』のコーナーが!
確か、私が小学4年生の頃だったと思います。
家の近所、最寄り駅のそばに、今で言うショッピングモールがありました。
そこの1階に
駸々堂書店(2000年に破産)
という書店チェーンの店舗がありました。
店内はかなり広く、マンガのコーナーも充実していました。
私はよくそこで本を買ったり、立ち読みをしていました。
マンガのコーナーの一角に、このブログでも以前取り上げた
怪奇・ホラーマンガ専門出版社「ひばり書房」
のコミックスが、ズラリと並べられていました。
「ひばり書房」・・・。昭和40年代に生まれた人たちには、男女問わず何とも言えない記憶を残した出版社です。Wikipediaによると、1947年8月に、東京都文京区小石川で創業されました。1980年代に新宿区早稲田町に移転しま[…]
私は当時既に
「ひばり書房のマンガはメチャクチャ怖い!」
ということは知っていました。
そして、
「日野日出志のマンガを読むと、怪物が夢に出て来る。」
といった話も、学校で聞いていました。
しかし、ある日駸々堂へ行った際、怖い物見たさの気持ちが勝ってしまいました。
ひばり書房の棚から、日野先生の本を一冊取り出しました。
表紙のタイトルが
「ぼくらの先生」
でした・・・。
最初は全く怖くなかったのだが・・・。
いくつかの作品がまとめられており、最初の作品が「ぼくらの先生」だったと思います。
「これなら、そんなに怖くなさそうだな・・・。」
そう判断した私は、ページをめくりました。
主人公は、小学校の男性教師。
身体が大きく力持ちですが、性格は優しく温和。
額の真ん中に大きなホクロがあり、生徒たちからは
「大仏先生」
と呼ばれ慕われています。
授業は面白く、休み時間には生徒と一緒に遊んでくれます。
また、自宅には小鳥やネズミ、うさぎ、リスなど、様々な動物を多数飼っています。
生徒たちからねだられ、一部をクラスでの飼育用に寄付してくれます。
油断していたら、衝撃のシーンが・・・。
この辺りまで読んでも、怖いシーンは全く出て来ません。
私は
「あれ、おかしいな?怖いマンガのはずなのに・・・。」
と、肩透かしを食らった気分でした。
次のシーンでは、一人の男子生徒が朝一番に登校して来ます。
大仏先生が、学校に小鳥やリスを持って来てくれるのが楽しみだったのです。
そして教室の扉を開けると、男子生徒は
「あっ!」
と驚きました。
大仏先生が、口の中に小鳥をほおばっていたのです・・・。
生徒の姿に驚いた大仏先生は、尻もちをついてひっくり返り、そのはずみに小鳥を飲み込んでしまいます。
先生はむせ返りながら
「小鳥にエサをやっていたら、口の中に飛び込んできたんだよ。驚かすから、はずみで小鳥を飲み込んじゃったよ・・・。」
と照れ笑い。
生徒も、
「驚かせちゃってごめんなさい。」
と、ホッとした様子。
心の中に、警報が鳴った!
ここで、当時の私の心の中に
「これより先を読んではいけない!」
という、警報のようなものが鳴り響きました。
私はその警報に従うように、本を閉じて棚に戻しました。
ただそれ以降も、この「ぼくらの先生」の小鳥をほおばるシーンは、私の記憶の中でトラウマのように残り続けました。
その後、「ぼくらの先生」を再び読む機会はありませんでした。
令和の世に、電子書籍で再会!
それから40 年ほどの時が流れた、2021年(令和3年)。
Amazonの電子書籍定額サービス
「Kindle Unlimited」
で色々検索していると、
「幻色の孤島」
というタイトルの、日野先生の作品集を見つけました。
ダウンロードして読んでみることにしました。
すると、何と1作目が「ぼくらの先生」でした・・・。
今度は途中で止めることなく、最後まで読み切りました。
最後に・・・。
ネタバレ防止のため、詳しい内容は書かずに終わります。
本作では、「画的に」怖い、気持ち悪いシーンはほぼ出て来ません。
しかし、ラストに至るまでの話の展開が、「精神的に」メチャクチャ怖いです。
そしてラストシーンを読み終わると、身の毛がよだつほどの恐怖が押し寄せて来ます。
小学生の頃にもし最後まで読んでいたら、違った形のトラウマを引きずっていたでしょう。
私の心の中の警報は、正しかったのです・・・。
「ぼくらの先生」は、1972年(昭和47年)の
「別冊少年チャンピオン」(秋田書店刊)
に掲載されたそうです。
別冊の読み切り作品にこんな強烈な作品を混ぜて来るとは、さすが少年チャンピオンです・・・。
興味をお持ちの方には、是非御一読いただきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。