ネタバレなし:小山ゆう「スプリンター」は、陸上×ビジネスの異色マンガ!

今回ご紹介する作品は、小山ゆう先生の「スプリンター」です。

題名から分かる通り、陸上の短距離走、100m走をテーマにした作品です。
1984年~1987年に週刊少年サンデー(小学館)に連載されました。

 

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主人公は二人、結城光と水沢裕子です。

結城光は、財閥である結城コンツェルンの総帥、結城豪太郎の養子で、同じく養子である兄弟たちと共に、後継者になるための英才教育を受けています。

一方、水沢裕子は、母親と二人暮らしでしたが、母親が亡くなり一人になってしまいます。

母親は死の直前、裕子の父親は結城豪太郎と聞かされており、母親の死を報告に行きます。

裕子に初めて会った豪太郎は、裕子に経済的援助を申し出ますが、裕子は辞退します。

陸上の才能に恵まれた裕子は、特待生として陸上強豪校の高校へ進学することになっており、豪太郎の助けを借りず自分の力で生きていくことを決めたのです。

結城家で、裕子は光と出会います。

光は裕子に興味半分、恋愛半分という感じで、勉強の合間を縫って接近していきます。

裕子は高校の寮に入り、100mランナーとして練習漬けの日々を送りますが、光は構わずやってきます。

ある時は、何とヘリコプターで裕子の部屋のそばまで降りて来ます。
そして、地上からまだかなり高度がある段階で、ヘリコプターから飛び降りるのですが、驚異的な足腰のバネのおかげで、怪我なく着地し、裕子を驚かせます。

裕子は光に少しずつ惹かれていくと同時に、光の俊足と身体能力にも気付いていきます。

しかし、この時点では光は短距離走には関心がなく、豪太郎の後継者となるべく、ビジネスに熱中しています。

「一体いつになったら、光は陸上を始めるんだ?」

そう思いながらコミックスを読んでいた記憶があります。

当時は中学生だったので、毎週「少年サンデー」を買う小遣いの余裕はなく、「スプリンター」はもっぱらコミックスで読んでいました。

しかし、中3になり受験が近付いてくると、マンガを読む時間も減り、「スプリンター」のコミックスも2巻までで買うのを止めてしまいました。

そして、いつものように時は過ぎ去って行きました・・・。

 

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30台半ばのある日、近所のコンビニで小学館の「My First Big」の新刊が売られていました。

「My First Big」は、小学館の雑誌で過去に連載されていた作品を復刻したもので、コンビニ専用の書籍ブランドです(ですので、雑誌扱いだそうです。)。

その中に、小山ゆう先生の代表作の一つである「がんばれ元気」というボクシング漫画がありました。

小学生の頃にコミックスを全巻買って愛読していたので、毎月発売されるとすぐに買い(雑誌扱いなので、売り切れると入手困難でした。)、全10巻を揃えました。

最終の第10巻の巻末に、次月発売作品のお知らせが載っていました。

何とそこには、「スプリンター 第1巻」の紹介が!!!

翌月、第1巻を買いました。

第1巻の終盤までは、昔読んだコミックスの範囲でした。
以降も、裕子は100m走の才能を開花させていくのですが、光はなかなか本格的に走りません・・・。

他の兄弟たちとの確執、そして兄弟たちによるクーデターにより、父の豪太郎が結城コンツェルンを追われるなど、経済マンガのような展開がしばらく続きます。

物語の中盤辺りから、光はようやく本格的に100m走に取り組み始めます。

様々なライバルたちが登場し、物語を彩ります。

 

しかし、ここでは詳細は書きませんが、光のライバルたちは異常なまでに走ることにのめり込んでいき、異様な精神状態に追い込まれていきます。

100m10秒を切り、9秒台で走るようになると、未知の領域というか「神の領域」を体感できるそうで、その領域を目指す余り、日常生活でも「向こうの世界の人(笑)」になってしまうのです。
光も、そうした状態に陥ることがありました。

「これじゃ、100m走の選手はみんな廃人になるのでは・・・?」

そんな感想を抱きましたが、後に他の方々のブログで「スプリンター」の記事を読んだ際、同様の感想をお持ちになった方々が多かったです。

「My First Big」版では第5巻が最終巻となります。

物語のラストには賛否両論あったようですが、個人的には全体的に面白く読めました。陸上がテーマのマンガは珍しいので、初めて読んだ頃から印象も強かったです。

コミックスについては、現在は中古本しか入手できません。
しかし、Amazonの電子書籍Kindleで購入可能です。
興味をお持ちの方は、ぜひ読んでみてください。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。