このブログを御覧の皆様にも、子供の頃に読んだマンガで、未だに記憶の片隅に残って離れない「懐かしマンガ」はいくつかあるのではないでしょうか?
私にもそうした作品は色々あるのですが、その中には
(1)大人になってから再度読む機会を得た作品
(2)子供時代には一部しか読まなかった(あるいは読めなかった)が、成人してからストーリーの全貌を知った作品
がいくつかあります。
子供の頃は、興味のあるマンガを全て買う、あるいは買ってもらうことはほぼ不可能です。
本屋さんで立ち読みしたり、友達や親戚に読ませてもらったりして興味を持っても、その続きを読むことのないまま大人になってしまい、作品の存在自体を忘れてしまうことが多々あります。
また、理容室や病院で散髪や診察の順番を待つ間に、待合室のマンガ雑誌で読んだ作品も、結構気になりました。
しかし、理容室や病院に毎週通うわけではありません。
次に行った時に同じ雑誌を見ても、ストーリーが進んでいて展開が分からないことが多いのです。
また、同じ雑誌、例えば少年ジャンプが必ず置いてあるとも限りません。
他の人が読んでいたり、別の雑誌(例えばサンデー、マガジンなど)に換わっていたりもします。
そうして忘れ去られたはずのマンガに、大人になってから再び巡り会うという体験を、何回もしてきました。
これから、そうした作品をいくつかご紹介したいと思います。
それでは、懐かしマンガタイムトラベルの始まりです。
従姉から借りたマンガ雑誌に、その作品が・・・。
第1回の作品は、山岸涼子先生の「汐の声」です。
山岸先生と言えば、少女マンガ界の巨匠であり、聖徳太子が主人公の「日出処の天子」などで有名な方です。
しかし、山岸先生には怪奇・ホラー系の作品も多く、怖さのレベルも非常に高いです。
個人的には、楳図かずお先生や、つのだじろう先生に匹敵する怪奇マンガ家だと思います。
この作品を初めて読んだのは、小学5年生か6年生の冬だったと記憶しています。
家族で母方の実家に泊まりに行った際、従姉妹のお姉さんからマンガ雑誌を貸してもらいました。
男なので普段は少女マンガを読む機会はなかったのですが、とりあえず読み始めました。
その雑誌に、「汐の声」が掲載されていました。
この作品は前・後編に分けて掲載されており、私が当時読んだのは後編のみでした。
しかし、ページの端に前編のあらすじが書かれており、後編からでも話にはスッと入って行けました。
インチキ霊感少女が、心霊番組のロケに・・・。
主人公のサワは、17歳の高校生で、いわゆる少女タレントです。
そして、霊感少女という触れ込みで売り出しています。
しかし、霊感があるというのはほぼハッタリで、サワ本人もそれを自覚しています。
両親はステージママとステージパパです。
勝手に霊感少女として宣伝し、サワの稼ぎを当てにしているため、ボロを出さないように仕事をこなしていました。
そんなサワに、テレビの仕事の依頼が来ました。
ある地方の、以前は銀行の副頭取が住んでいた大きな屋敷に、幽霊が出るという噂があり、
そこを霊能者3人が訪れて検証するという番組です(今でも夏にはこんな番組、やってますよね~。)。
霊能者の一人としてサワが抜擢されたのです。
サワは、何日も家を離れてロケをすることに気乗りがしません。
しかし、両親は大喜びでサワを激励します。
サワは渋々その仕事を引き受けました・・・。
ロケ先の屋敷で、怪現象が続出・・・。
ロケに参加するディレクター等のスタッフ、共演する二人の霊能者(高齢の男性と女性)も初対面で、人見知りのサワは緊張します。
また、共演の女性霊能者はサワを快く思っておらず、敵意剥きだしの態度です。
スタッフ達も、心の中ではサワをインチキ霊能者だと思っており、サワはそれを痛いくらいに感じます。
そんなサワですが、屋敷に来てから、不可思議な現象を立て続けに体験してしまいます。
周囲の大人達は、錯覚あるいは思い込みだと決めつけます。
サワ自身も両親の元を離れ慣れない環境にいるので、神経過敏になっているのだと自分に言い聞かせます。
しかし、サワの近くでは無気味な現象がさらに続き・・・。
雑誌では、この辺りから後編となっていたはずです。
ページをめくって読み進むにつれて、
「あっ、このマンガ、めちゃくちゃ怖いヤツや・・・。」
と怖さが増していきましたが、引き込まれる感じで最後まで読みました。
ラストシーンがあまりにも怖すぎて、その日の夜はなかなか寝付けませんでした。
目を閉じると、ラスト数ページの絵が頭に浮かんでしまうのでした。
三十代半ばで、その作品と再会!
しばらくすると、作品のことは思い出さなくなり、「汐の声」というタイトルも忘れてしまいましたが、山岸涼子先生の名前は覚えていました。
中学生になって、クラスの女子生徒の間で山岸先生のマンガが流行りました。
単行本を見せてもらった時、「あの怖いマンガの人や!」とビックリしました。
月日は流れ、三十台半ばになった頃、山岸先生の作品集が文庫本で発売され、購入しました。
タイトルは「わたしの人形は良い人形」です・・・。
興味をお持ちの方は、次のブログもお読み頂けるとありがたいです。
今回は、前回に引き続き山岸涼子先生の作品をご紹介します。タイトルは、「わたしの人形は良い人形」です。「タイトルからして、既に充分怖いよ!」というツッコミを入れたくなります・・・。角川書店(現:[…]
この表題作「わたしの人形は良い人形」も、山岸先生の名作の一つです。
これも以前から知っていたのですが、読む機会がないままでした。
購入し、さっそく読みはじめると、何話目かに「汐の声」という作品がありました。
「どこかで聞いたようなタイトルだな。」
と思いながら読んでいくと・・・。
まさしく、子供の頃に読んだあのマンガでした!
夜寝られなくなるほど怖かった、あのラストも、当然ですが同じでした。
最後に・・・。
山岸先生の絵は、正統派の素晴らしい画風なのですが、それゆえに怖さが強調され、読者に恐怖を与えてきます。
最近、潮出版社から発売されている「山岸涼子スペシャルセレクション」を
Amazonにて数冊購入しましたが、その中のセレクションⅡに、「汐の声」が表題作として収録されている刊もあります\(^○^)/。
巻末のデータによると、「汐の声」は
プチコミック(小学館)1982年11月~12月号
に掲載されていました。
私が読んだのは12月号で、小学6年生の冬だったようです。
いかがだったでしょうか?
興味をお持ちになられた方は、ぜひ読んでみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
こちらも興味がありましたら、是非お読みください。
このブログでは、山岸凉子先生のマンガを二作品紹介してきました。「汐の声」[sitecard subtitle=関連記事 url=https://kumafumo.com/nostalgic target=][…]