今回は、前回に引き続き山岸涼子先生の作品をご紹介します。
タイトルは、
「わたしの人形は良い人形」
です。
「タイトルからして、既に充分怖いよ!」
というツッコミを入れたくなります・・・。
角川書店(現:KADOKAWA)から発売されていた、「ASUKA」という月刊の少女マンガ雑誌に、1986年3月~5月号まで掲載された作品です。
ラジオの深夜番組で紹介されていた・・・。
実は、この作品は当時知ってはいたのですが、実際に読むことはできず、30台半ばでやっと読むことができました。
なぜこの作品を知ったかと言いますと、あるラジオ番組でこの作品が紹介されていたからです。
1980年代半ば、ラジオ大阪というラジオ局で、毎週土曜日の午後11時~午前1時に、
「浜村淳のサタデイ・バチョン」
という番組が放送されていました。
中学生~高校生を主なリスナー層とした番組でした。
アニメやマンガに映画、飛鳥時代を中心とした歴史などが話題の中心という、今で言う「オタク」的な番組でした。
私は、年齢の面でも趣味の面でも、完全に
「主なリスナー層」に当てはまる人間
でしたので、毎週聴いていました。
関西地方にお住まいの方々以外にとっては、
「ところで、浜村淳って誰?」
との疑問が浮かぶでしょう。
浜村淳さんは、御年85歳。
1974年から大阪の毎日放送(MBS)で、
「ありがとう浜村淳です」
というラジオ番組を毎週月曜日~土曜日の朝8時から担当なさっています。
今年の4月で47年目を迎えましたが、現在も元気にご継続中です。
「関西ラジオ界のゴッドファーザー」
という異名を持ち、映画評論家としても有名な方です。
その浜村さんが、上記の「サタデイ・バチョン」でリスナーからのハガキを読んでおられたのですが、内容が「わたしの人形は良い人形」に関するものでした。
『続きを載せないで!』というハガキが殺到!
上記の「ASUKA」に第1話が掲載された後、編集部に届く読者アンケート(今でも、雑誌の中にハガキが付いてますよね。)の数が、急激に増えたそうです。
そして、多くの読者の感想が、次のような内容だったそうです。
「『わたしの人形は良い人形』は、あまりにも怖すぎます。来月号から、続きは載せないでください。」
番組では、作品の詳しい内容は語られませんでした。
そのため、私としては
「続きを載せるなというアンケートが返ってくるくらい、怖いマンガなんだ・・・。でも読みたいなあ。」
と思いました。
しかし、その後この作品を読むことなく、約20年が過ぎました。
20年の時を経て、読むこととなった!
ある日の仕事帰り、某大型書店のマンガ売り場に立ち寄った私は、マンガ文庫のコーナーで、
「わたしの人形は良い人形」
と題された本を見つけました。
「あのマンガだ!作者も山岸涼子さんだ!」
私はその本(1冊しか置いてませんでした)を手に取ると、レジに直行しました。
家に帰り、さっそく読みはじめました。
事故で亡くなった女の子の、供養のための人形が・・・。
物語は、戦後間もない昭和21年から始まります。
ある町で、6歳の女の子が、不幸な事故が原因で亡くなってしまいます。
事故の間接的な原因を起こした、隣家の女の子の両親は、亡くなった子の供養のためにと、自分たちの娘に買ってやった日本人形を、棺の中に入れてやって欲しいと申し出ました。
亡くなった子の家族はその申し出を受け入れ、人形は棺の中に入れられ、一緒に燃やされた・・・はずでした。
ところが、その人形は棺には入れられませんでした。
高価な人形だったので、もったいないという理由で(なんていう理由だ・・・)、亡くなった子の祖母が箪笥の中に隠していたのです。
人形の祟り?10年間封印されていたが・・・。
その後しばらくして、人形を渡した家の女の子が、上水に落ちて亡くなってしまいました。
最初に亡くなった子の家族は、「あの人形を棺に入れなかったのが理由ではないか?」と不安になります。
そんな時、その家の次女である姿子(しなこ)は、祖母の箪笥の中の日本人形を見つけてしまいます。
しかし祖母に見つかり、人形のことは絶対に口にしてはいけないと、きつく叱られます。
時は流れ、昭和31年。
祖母の四十九日を終えた後、中学3年生になった野本姿子は、押入の中から風呂敷に包まれた箱を見つけます。
中には、日本人形が一体入っていました・・・。
人形の禍いが再び動き出す・・・。
姿子は、子供の頃に祖母の箪笥の中にあった、あの人形であることを思い出しました。
そして、自分の部屋の本棚の上に飾りました。
しばらくして、姿子は修学旅行に出かけました。
姿子が帰ってくる前日の夜、家にいる両親は、異変を感じます。
姿子の部屋に入った両親が見たものは・・・。
そして、修学旅行から帰って来た姿子を待っていたのは・・・?
ここまでで
「既に充分怖いよ!」
と再度言いたくなります。
掲載当時の多くの読者が、2話目の掲載を止めるよう希望したのも、分かる気がします。
最後に・・・。
ストーリーについて書くのは、ここまでにしておきます。
この後も、これでもかというくらい、怖さ満載の展開が続きます。
ぜひ実際に作品を読んで、さらなる怖さを体験していただきたいと思います。
前回の「汐の声」と同じく、潮出版社の「山岸涼子スペシャルセレクションⅠ」に表題作として収録されています。
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興味をお持ちの方は、次のブログもお読み頂けるとありがたいです。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。