ネタバレなし:山岸凉子「白眼子」は不思議な感動マンガ!

このブログでは、

山岸凉子先生

のマンガを二作品紹介してきました。

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です。

いずれも怪奇マンガで、小〜中学生の頃に読んで心にトラウマを植え付けられた人も多いはずです。

しかし、今回ご紹介する

「白眼子」(はくがんし)

は、怪奇物ではありません。

不思議な話ではありますが、「恐怖」の要素はありません。

そして、読み終わった後に

「感動」

がジワーっと胸の中に湧き上がってくる作品です。

 

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終戦直後の小樽。独りになった少女は・・・。

物語の始まりは、戦後間もない昭和21年、北海道の小樽。

一人の少女が、市場で身内らしき人たちからはぐれ、置き去りになってしまいます。

まだ4〜5歳の少女は、見知らぬ場所をさ迷い、絶望と寒さの中で意識を失います。

少女が目を覚ますと、知らない家の中にいました。

これまた知らない女に厳しく扱われますが、なぜか追い出されはしません。

とりあえずその家で暮らし始めた少女は、少しずつその家の状況を把握していきます。

お手伝いのお婆さんが毎日やって来ること。

時々中年の男が女のもとへやって来るが、次の朝にはいなくなること。

そして、家の広間に着物姿の男性が座っていて、眼が見えないこと・・・。

 

『白眼子』は、不思議な能力で人の運命を告げる!

「光子(みつこ)」

と名付けられた少女は、加代という女が

「白眼子さま」

と呼ぶ男性の仕事を手伝うようになります。

白眼子の仕事は、いわゆる

「運命観相」

で、行方不明の人の消息や、事業の見込みなどを依頼者に告げるというものでした。

盲目の白眼子は、対象者の写真や衣服などを手に取ることで、行方(戦地に行った人の安否)や運気(商売が成功するか否か)を言い当てるのでした。

しかし白眼子には商売っ気が全くなく、法外な謝礼を要求することはしませんでした。

商売や投機に関する相談には、具体的なことは分からないといった立場を取っていました。

「誰々とは一緒に仕事をするべきではない。」

「ここでは冒険するべきではない。」

といった、消極的な忠告しかしませんでした(それがまた当たるのでした)。

加代という女は、実は白眼子の姉でした。

加代が捕まえた旦那(愛人、パトロン)の紹介で、依頼者が次々訪れるようになりました。

しかし、白眼子は自らを宣伝して世間に売り込むことを決してしませんでした。

光子は白眼子と加代を手伝いながら成長し、小学校や中学校へ通うようになりました。

そうした日々の中で、光子は少しずつ白眼子の不思議な力に触れていきます・・・。

 

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白眼子には実在のモデルが!

これ以降の展開は、ネタバレ防止のため説明しないでおきます。

白眼子は、今風に言えば

「超能力者」

「霊能力者」

のような人物です。

視力を失った代わりに、普通の人間が感じない

「何か」

を感じ取ることができるのです。

インターネット上での本作品の解説の一つによると、白眼子には実在のモデルがいて、昔北海道で活躍していたそうです。

北海道出身の山岸先生は、その人物のことをご存知だったのでしょう。

 

あざとさがなく、読後に感動が染み渡る!

もちろん本作品は完全なフィクションです。

そして、ある超能力者が奇跡を起こすといった単純な物語ではありません。

主人公の光子には、この後も様々な出来事や試練が降りかかります。

光子の運命は?

そして、白眼子・加代姉弟との関係は?

それらに関しては、実際に本作品をお読みになりご確認いただきたいと思います。

最初に

「感動がジワーっと湧き上がってくる。」

と書きましたが、本当にそういう表現しかできません。

物語の中では、

「泣かせよう。」

「感動させよう。」

といったあざとい仕掛け・演出は全く感じません。

個人差はあるでしょうが、読んでいて涙が溢れるような描写もありません。

ところがラストまで読み終わると、何だか温かいものが身体中に染み渡ってくるような気持ちになります。

ストーリー展開は割と淡々としています。

しかし、読み進むごとに話の流れが、我々読者の頭の中にスーッと入っていく感じなのです。

それが、上記の読後感につながっていくのだと思います。

 

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最後に・・・。

本作品は、潮出版社の「コミックトムプラス」2000年(平成12年)5月号〜9月号に連載されました。

全部で150ページほどの作品です。

そうした中編作品で、説教めいた感じを全く出さずに、これだけの感動を与えられる山岸先生は、やはりマンガ界の巨匠と呼ぶに相応しい存在です。

本作品は、潮出版社

「山岸凉子スペシャルセレクションI わたしの人形は良い人形」

に収録されています。


 

興味をお持ちの方には、是非一度お読みいただきたいです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。