マンガ界の超大御所
さいとう・たかを先生
をご存知ない方は、極めて少数でしょう。
連載開始から50年を超えた長寿作品
「ゴルゴ13」
は、先生の最大の代表作です。
その他にも、池波正太郎先生の名作時代小説
「鬼平犯科帳」
の劇画版など、数多くのヒット作で知られています。
『サバイバル』は文字通りのサバイバル物語!
今回ご紹介するのは
「サバイバル」
という作品です。
「週刊少年サンデー」(小学館)
に、1976年(昭和51年)から1978年(昭和53年)まで約2年間連載されました。
巨大地震に襲われ、壊滅状態となった日本が舞台となっています。
主人公は幸運にも生き残りましたが、家族と生き別れになってしまいます。
父、母、姉を探し出すために旅をしながら、毎日を必死で生き延びようと奮闘します。
「サバイバル」という題名そのものの話となっています。
平凡な中学生が、荒廃した世界で生きようと闘う!
主人公は、中学生の鈴木サトル。
ある日友人たちと山に出かけ、洞窟の中を探検していた時に地震に遭遇します。
サトルはただ一人助かり、洞窟から脱出します。
しかし、地上は大地震の影響で地形が大きく変化。
陸地だった場所が水没するなど、全く別の世界と化していました。
現代っ子の中学生で、自然やアウトドア生活にもなじみのなかったサトルですが、泣き言を言っている暇はありません。
誰の助けも借りられない極限状態の中、独力で生き残るための闘いが始まりました・・・。
サバイバルの知識・テクニックが満載!
ネタバレ防止のため、物語の詳細は書かないでおきます。
サトルは旅をする中で、様々な人たちと出会います。
そして、幾度となく危険に遭遇します。
その過程で、最初はひ弱な感じだったサトルが、肉体的にも精神的にもたくましくなり、成長していきます。
特筆すべきは、具体的で実践可能なサバイバルの知識・テクニックが満載である点です。
もちろん取材も綿密になされ、専門家のブレーンもいたと思われます。
食糧の調達や狩り、調理の方法なども、少年マンガのレベルを超えています。
他にも、病気や怪我の治療法、住居のこしらえ方など、アウトドア雑誌顔負けのサバイバル術が紹介されます。
「ゴルゴ13」でも、時々ゴルゴが窮地に陥り、様々な工夫で命を保つ様が描かれますが、そうした話を読むと「サバイバル」を思い出します。
初めて読んだのは、散髪屋の少年サンデーでだった!
私が初めて「サバイバル」を読んだのは、おそらく小学校低学年の頃、行きつけの散髪屋だったと思います。
その頃はまだ「少年サンデー」のほとんどのマンガをよく理解できませんでした。
それでも、「サバイバル」はなぜか強く印象に残りました。
最初から最後まで読破したのは、それから20年以上経ってからでした。
リイド社から文庫版(全12〜13巻くらいだったはず)が発売されていたので、全巻買い揃えて読みました。
いくつもの大災害に、『サバイバル』の現実味は増すばかり!
その頃は、1995年(平成7年)1月17日の
阪神・淡路大震災
から10年ほど経過していました。
そのため、読みながらも
「このマンガみたいな事も、荒唐無稽な話じゃないよな・・・。」
と、リアリティーを感じたものでした。
その後数年経った2011年(平成23年)3月11日、
東日本大震災
が発生しました。
さらに、その後も全国各地で地震、大雨による災害がいくつも発生。
我々の防災及び避難生活に関する認識も、大転換を迫られています。
最後に・・・。
令和の今こそ、「サバイバル」は再び注目を浴びるべき作品だと考えます。
現実の社会では、鬼も出て来なければ、超能力や魔法を操る人間も出て来ません。
しかし、災害はいつか必ず起こります。
そうした際の備えとしての
「サバイバル教育」
は、これからの小学校・中学校・高校で、必修科目として教えられるべきです。
そのとっかかりとして、「サバイバル」は文部科学省の推薦図書、もしくは必修図書に指定されるべきです。
マンガ作品として楽しめると同時に、サバイバル知識も身に付きます。
そして、
「危機管理意識」
を育むこともできます。
少なくとも各学校の図書室に、全巻を3セットくらいは置いておくのが望ましいでしょう。
「サバイバル」は、現在でも電子書籍で購読可能です。
お読みでない皆様にも、是非ご一読いただきたい作品です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。