今回ご紹介する作品は、つのだじろう先生の「メギドの火」です。
つのだ先生と言えば、「恐怖新聞」や「うしろの百太郎」を始めとする、心霊をテーマとした作品が有名で、マンガ界の巨匠の一人です。
今回の「メギドの火」は、UFOや宇宙人がテーマであり、つのだ作品の中では異彩を放つ作品です。
しかし、上記の「恐怖新聞」において、UFOや宇宙人を扱ったエピソードがあり、つのだ先生がこの分野に関心をお持ちだったことが推測できます。
「恐怖新聞」では書き切れなかったアイデアや構想を、この作品で表現なさったのではないかとも思えます。
「メギドの火」は、1976年に週刊少年サンデー(小学館)で連載開始されました。
風邪で熱を出し、連れて行かれた病院で・・・。
私がこのマンガに出会ったのは、小学校1年生の頃だったと思います。
私は風邪を引いて熱を出し、父親に連れられてある内科医院に行きました。
待合室で、マガジンラックから一冊のマンガ雑誌を手に取りました。
小学1年生で、サンデーやジャンプなどの区別は付かない頃でした。
パラパラとページをめくっているうちに、何だか怖そうな絵柄のマンガを目にしました。
興味を持った私は、1ページずつ読み進みました。
主人公らしき男の人が、怖そうな人たちに捕まり、何かを注射されるという展開でした。病院で読んでいたので、余計に怖く感じました・・・。
そこで、「洗脳バクテリア」という言葉が出てきたのですが、その言葉に強い恐怖を感じました。バクテリアの意味も分かりませんでしたが、「この主人公らしき人は、とんでもない目に遭わされているんじゃないか。」と思いました。
読み終わってしばらくすると、診察の順番が来たので、雑誌をラックに戻しました。
タイトルも作者も分からないまま、時が流れた・・・。
私の当時の記憶はこの程度です。その病院へ行ったのは一回きりで、その後しばらく少年サンデー(当時はそれがサンデーだったことも覚えていませんでした。)を読むこともありませんでした。小学校低学年の頃は、まだ「テレビマガジン」や「テレビランド」、「冒険王」といった、幼稚園~小学校低学年向けの雑誌が発売されており、私はまだ本格マンガ雑誌の読者デビューをしていませんでした。
後に上記の「恐怖新聞」や「うしろの百太郎」などの心霊マンガは読んだのですが、この作品の題名も作者も忘れてしまっており、つのだ先生の作品とは分からないままでした。現在のようにインターネットで検索するという方法もなかったからです。
ただ一つ、「洗脳バクテリア」というメチャクチャ怖い単語だけが、頭の片隅に残っていました。
大人になったある日、つのだ先生の作品集を買って帰った!
私が成人し、30歳になった頃でした。
ある日、書店のマンガ売り場で、つのだ先生の作品集が竹書房から文庫版で発売されているのを見つけました。
一つは、「呪凶介PSI霊査室」(全2巻)、もう一つは、「メギドの火」(全2巻)という題名でした。
どちらも読んだ記憶のない作品だったので、買って帰りました。
「メギドの火」を読んでいるうちに、幼い頃の記憶が・・・。
先に「メギドの火」から読み始めました。
主人公は、中学生の北斗一星。普通の少年でしたが、ある時から身辺で不可解な出来事が起こり始めます。
そして、星琴絵という謎の美少女と出会います。
琴絵は、地球外の文明を持った星の集まりである、宇宙連合のコンタクト・マンの一人であり、宇宙連合の指令を受けて様々な活動をしていると話します。
普通だったら、「えっ?この子、ひょっとして頭のイタい子なの?」と思ってしまうような、ドン引きする話です。
しかし、一星も琴絵の話を信じざるを得ない現象に見舞われます。
そして、一星も宇宙連合のコンタクト・マンとなり、琴絵と共に地球の状況を監視し、平和を維持すべく活動します。
しかし、そんな地球を征服しようとする、メギデロス星人の魔の手が迫って来ます。
そして、一星はメギデロス星人に捕われ、「洗脳バクテリア」を注射され、メギデロス星人の手先にされてしまいます。
「あっ!この場面、子供の頃に読んだ、あのマンガと一緒や!」
幼い時のボンヤリした記憶と、目の前のマンガの場面が、見事にリンクしました。
この後の詳しいストーリーは、ここでは省略します。しかし、目まぐるしい展開が続き、
最後は「うーん、そう来るか・・・。」という終わりを迎えます。
最後に・・・。
「メギドの火」の連載当時は、五島勉さんの著書「ノストラダムスの大預言」の大ヒットに端を発した、終末論を題材にした書籍やテレビ番組、映画などが流行していた時期の後半だったと言えます。
つのだ先生も、それに便乗という訳ではありませんが、当時の流行や社会情勢を鑑みた上で、この作品を発表なさったのではないかと、個人的には考えます。と言っても、終末論ブームやオカルトブームの重要な火付け役の一人が、つのだ先生ご自身であり、上記の「恐怖新聞」のUFO編のいわば総括として、「メギドの火」をお書きになられたのではないかと思います。
この作品以降も、つのだ先生はブレることなく心霊マンガを多数発表なさり、現在も心霊マンガの第一人者として認知されています。
現在、「メギドの火」はAmazon Kindleなどの電子書籍で購入可能です。興味をお持ちの方は、ぜひご一読ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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