こんにちは。husband(@kumafumoblog)です。
今回ご紹介するのは、楳図かずお先生の短編「ねがい」です。
この作品は、私にとって初めてのトラウマ漫画と言うべき作品です。
「ねがい」を知ったのは、小学4年生の頃でした。
当時住んでいた家の近所に、今で言うショッピングモールがあり、その中に駸々堂書店という書店チェーンの支店がありました(1990年代後半に、破産してしまいました・・・。)。
売場面積が広く、マンガの品揃えが豊富でした。
当時は今と違い、商品にシュリンプは被せられておらず、立ち読みできました。
時代ものどかだったのか、長時間立ち読みしても注意されることはなく、小学生にとってはありがたいお店でした。そのお礼という訳ではありませんが、ここで結構本を買っていました。
立ち読みしたコミックス最終巻に、読み切り作品が・・・。
ある日の午後、駸々堂を訪れた私は、楳図先生の「漂流教室」の(小学館の少年サンデーコミックスです)最終巻を立ち読みしていました。「漂流教室」は、楳図先生の代表作の一つで、マンガファン以外にも広く知られている名作です。
最終話を読み終わった時点では、まだ本の途中でした。
コミックスの最終巻ではよくあることで、それだとコミック一冊のページ数としては中途半端になってしまいます。
そうした場合、作者が過去に雑誌に発表した読み切り作品を何話か収録し、ページ数を調整するのが一般的です。
「漂流教室」の最終話の後にも、楳図先生の読み切り作品が収録されていたのです。
絵のあまりの怖さに、反射的に本を閉じた!
私は何気なくページをめくりました。
男の子が家にいて、物音がしたので玄関だか窓だかを開けたら・・・。
次のページには、顔中がツギハギだらけの、化け物のような物体が姿を現していました!
私は、反射的に本を閉じ、本棚に本を戻しました。
これ以上読んではいけないというような恐怖感に襲われたのです。
その日以降、「ねがい」を読む機会は訪れませんでした。
しかし、なぜか「ねがい」というタイトルは記憶に残ったままでした。
また、一瞬見ただけの化け物の姿は、ハッキリとは思い出せないものの、恐怖の記憶として心の奥に残っていました。
大人になってしばらくして、あるマンガ関連のムック本を読んだ際、ある文章に「ねがい」に関する記載がありました。
画像はなかったのですが、読んだらトラウマになるといった感じの内容でした。
楳図先生の短編集に「ねがい」が収録されていた・・・。
さらに年月が経ち、30台半ばのある日。
私は、中古マンガ専門店「まんだらけ」の店内をウロウロしていました。
楳図先生のコーナーでふと手に取ったのは、楳図先生の短編集でした。
楳図ファンとしても知られる、推理作家の綾辻行人さんがセレクトした作品を収録していました。
本のタイトルは、「綾辻行人が選ぶ!『楳図かずお怪奇幻想館』」 (ちくま文庫)です。
その本を購入し、家に帰るとさっそく読み始めました。
最初の目次を見てみると・・・。
数話目に、「ねがい」というタイトルが!!!
すぐにページをめくり、「ねがい」のページにたどりつきました。
二十数年越しに、ようやく読み始めた・・・。
男の子が部屋にいて、物音がするので窓を覗くと・・・。
出ました、化け物が!!!
しかし、流石に30台半ばになっていた私は、今回は本を閉じることなく、読み進めていきました。
主人公は小学生の少年です。引越をして転校したのですが、新しい環境に馴染めず、なかなか友達もできません。
少年は寂しさを紛らすため、家や近所で集めたガラクタを使い、人形を作りました。そして、「モクメ」と名前を付けました。
藤子不二雄先生の作品なら、「キテレツ大百科」のコロ助のような可愛い人形が出来上がるのでしょうが、そこは楳図作品です。
到底可愛いとは言えない、気持ち悪い人形になってしまいました・・・。
母親からも、そんな気味の悪い人形は捨てなさい!と言われるのですが、少年は学校から帰ってくると、モクメに話しかけていました。
友達だった人形が邪魔になり・・・。
そんなある日、少年はクラスメイトの女の子と仲良くなります。
それをきっかけに、他のクラスメイトとも打ち解けるようになり、たくさんの友達ができました。
そうなると、モクメへの関心はどんどん薄れていきます。それに自分が作ったとはいえ、確かに気持ち悪い外見なのです。
少年はモクメを処分する決心をしました。どこに捨てるか考えた結果、うってつけの場所を思い付きました。
家の近所に大きな空き地があったのですが、マンションが建設されることになり、工事が始まったところでした。
少年は夜に工事現場に忍び込み、モクメを地面の土の中に埋めてしまいました。
楽しく学校生活を送っていたある日の夜・・・。
数ヶ月後、マンションは完成しました。
モクメは建物の下に埋まり、二度と出て来ることはありません。
少年は、友達に囲まれた楽しい毎日を送っていました。
ある日の夜、少年の両親が用事で外出することになりました。
一人っ子の少年は、その間一人で留守番をすることになってしまいました。
不安な気持ちを抑えながら、少年は両親の帰りを待っていました。
そんな時、部屋の窓の外から物音が・・・。
ネタバレにならないよう、続きは書かずここまでにしておきますが、この後の展開は想像がつくと思います。
最後に・・・。
後に、インターネットで「ねがい」について検索したところ、子供時代に読んだ人たちの感想が多数見つかりました。
ある人は、中学校の部活の先輩から「漂流教室」のコミックスを借り、私と同じく最終巻で「ねがい」を読んだとのことでした。
「ねがい」があまりにも怖すぎたため、コミックスを家に置いておくのすら嫌になり、次の日に学校へ持って行き、先輩に返したそうです。
現在は、書店で「ねがい」を収録した新刊本を入手するのは、困難なようです。
Amazonでは、中古本として「ビッグコミックススペシャル 楳図パーフェクション2 ねがい」(小学館)が購入可能だと思います。
興味のある方はぜひ読んでみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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