「東京2020」
(「2021」年7月23日(金)に、いわくつきの開会式がありました・・・)
の男子サッカーでは、日本代表がグループリーグ3連勝で見事首位通過を果たしました。
3試合全てでゴールを挙げた
久保建英(くぼ たけふさ)
選手の活躍が注目されています。
スペインの超名門に所属はしているが・・・。
ご存知の方が多いはずですが、久保選手はスペインの超名門クラブ
レアル・マドリー(Real Madrid)
に所属しています。
しかし、2019年6月にマドリーへ移籍して2年が経ちましたが、スペイン国内リーグ
リーガ・エスパニョーラ
の一部リーグでは、まだ一度もマドリーのユニフォームを着てプレーしたことがありません。
2019年-2020年シーズンには、同じスペイン一部の
マジョルカ(Mallorca)
にレンタル移籍しました。
シーズン4ゴールを挙げたものの、翌2020年-2021年シーズンにはスペイン一部
ヴィジャレアル(Villarreal)
にまたもレンタル移籍。
シーズン途中の2021年1月には同じく一部の
ヘタフェ(Getafe)
にレンタル移籍しました。
2シーズンの間に三つのクラブを渡り歩き、通算66試合5ゴール。
2年目のヴィジャレアルとヘタフェでは、先発出場の機会もほぼありませんでした。
五輪ではゴールを連発!しかし、新シーズンは・・・?
そんな鬱憤を晴らすかのように、五輪代表ではゴールを量産しています。
決勝トーナメントでも活躍すれば、
「来る2021年-2022年シーズンはレアル・マドリーへ復帰できるのでは?」
と期待なさる方もいらっしゃるでしょう。
しかし残念ながら、そう単純な話にはなりそうにありません。
欧州のメガクラブには、レンタル移籍する選手が多数いる!
マドリーをはじめとするヨーロッパのメガクラブ(=超ビッグクラブ)には、久保選手のように国内外の中小クラブをレンタル移籍で
「ドサ回り」
する若手選手が多数存在します。
お金に余裕のあるクラブは、即戦力だけでなく若手有望株の選手も
「青田買い」
で獲得するケースが割とよくあります。
どの選手もやる気満々、希望に満ちあふれて移籍してきます。
しかし、そのままトップチームに残れることはほとんどありません。
経験を積ませるため、国内外の他のクラブ、それも出場機会のありそうな中堅~弱小クラブに貸し出されるのです。
ところが、レンタル先で大活躍して翌シーズンに戻って来る選手は、少数派です。
レンタル先のクラブのスタイルに馴染めなかったり、クラブの不調に引きずられて能力を発揮できなかったりというのが、主な理由です。
レンタルの『無限ループ』から脱出するには、完全移籍しかない!
そして、1年が2年、2年が3年と、レンタル移籍の
「無限ループ」
にはまり込んでしまうのです。
そのうちに、レンタル元のメガクラブから見切りを付けられ、他のクラブ(もちろん格下です)に完全移籍というパターンが多いです。
もしくは、選手本人がレンタル移籍の泥沼から脱出するため、自ら完全移籍を申し出る場合もあります。
そしてその後は大抵の選手が、中小クラブを転々とする
「流浪のサッカー人生」
を歩むのが、典型的なパターンです。
こういうキャリアを歩む若手選手を、近年最も多く生み出してきたのが、他ならぬレアル・マドリーなのです・・・。
直近の典型例は、ノルウェーの若き天才!
直近の例では、今夏にマドリーへ復帰予定のノルウェー代表
マルティン・ウーデゴール
が真っ先に挙げられます。
1998年生まれのウーデゴールは、2015年1月に16歳の若さでマドリーに移籍しました。
しかし、その後はほとんどリザーブチームでプレー。
2017年1月~2018年8月までは、オランダ一部の
ヘーレンフェーン、
2018年8月~2019年7月までは同じくオランダ一部の
フィテッセ
へレンタル移籍しました。
2019年7月からはスペイン一部の
レアル・ソシエダ(Real Sociedad)
にレンタルされました。
ソシエダでチーム躍進に貢献する活躍を見せたウーデゴールは、シーズン終了後にマドリーに復帰しました。
ところが当時の監督
ジネディーヌ・ジダン(元フランス代表、マドリーでも選手・監督の両方で欧州制覇)
からの評価は芳しくなく、2021年1月にはイングランドの名門
アーセナル(Arsenal)
へレンタルされたのです・・・。
アーセナルでは高い評価を受けましたが、チームが欧州チャンピオンズリーグの出場権を逃したため、ウーデゴールはレンタル契約満了後退団。
一旦マドリーへ戻る予定です。
まだ22歳にもかかわらず、あちこちのクラブをレンタルで渡り歩き、腰の落ち着かないキャリアを歩んでいます。
久保選手が五輪で活躍しても、今夏のマドリーへの復帰は厳しい?
久保選手も20歳になったばかりで、本来なら輝かしい将来が約束されるはずの才能の持ち主です。
しかし、マドリーのチーム事情は複雑です。
2014年に、マドリーに12年ぶり10度目の欧州チャンピオンズリーグ優勝をもたらした、イタリアの名将
カルロ・アンチェロッティ(イタリアのACミラン監督時代にも、2回欧州制覇)
が6年ぶりに復帰します。
常に結果(要するに優勝のみ)を求められるマドリーでは、監督はなかなか若手を時間をかけて育成することができません。
手持ちの若手有望株よりも、他クラブから引き抜いた実績十分の即戦力を優先して使わざるを得ません。
ミラン、
チェルシー(イングランド)、
パリ・サンジェルマン(フランス)、
バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)
といったヨーロッパの超名門で指揮を執ってきたアンチェロッティ監督は、そんな事は百も承知でしょう。
そして、久保選手と同様に他クラブにレンタルに出されていた若手の何人か(ウーデゴールも含む)がマドリーへ帰還する予定です。
久保選手がマドリーへ戻っても、再びレンタルに出される可能性は十分あります。
最後に・・・。
久保選手が新シーズンをマドリーで迎えるのか、他のクラブで迎えるのかは、現時点では未定です。
一日も早くドサ回りの日々から脱出して欲しいところですが・・・。
若手有望株のサッカー選手にとって、メガクラブから武者修行に出るレンタル移籍は、
「片道切符」
の旅になり得る危険性を孕んでいるのです・・・。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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