最近のテレビニュースで、ある詐欺事件の容疑者たちが、警察に逮捕されたと報じていました。
「出会い系」
のマッチングアプリに、女性のふりをして登録。
アプリ内で知り合った男性に対し、
「仮想通貨」(現在の正式名称は「暗号資産」)
の儲け話を持ちかけ、多額の現金を騙し取ったという容疑です。
顔を合わせないまま、被害者はお金を・・・。
ボイスチャットで被害者と話す際には、ボイスチェンジャーで女性らしい声に加工していた、という念の入れようです。
男性は、一度も顔を合わせないままだったとか。
このニュースをテレビや新聞などでご覧になられた方には、色々な
ツッコミどころ
に溢れた事件でしょう。
マッチングアプリ・仮想通貨・ボイスチェンジャーといった現代的要素と、儲け話をエサにした詐欺という古典的要素が合体した犯罪です。
意外と巧妙な仕掛け。定番の詐欺はもっとベタ!
「そんな分かりやすい詐欺に引っかかるなんて、バカだよね。」
と切って捨てるのは簡単です。
しかし、話を詳しく聞いてみると、意外と巧妙な仕掛けがあると思いました。
よく報道されるこの手の
「恋人詐欺」
では、
「親が病気で・・・。」
「経営してる会社の資金繰りが・・・。」
といった類のベタな話で、被害者からお金を引っ張るのが定石です。
あるいは、
「この○○、健康にいいんだよ!」
といった話題から
「マルチ商法」
に大金を投じさせる、といった事例も多いです。
さすがに、これらのパターンは既によく知られた手口です。
いくら色ボケ、もとい、恋愛感情で舞い上がっていても、そういう話が相手から出て来れば、心の中で警報が鳴るはずです。
仮想通貨に疎いと、ハードルがかなり高い!
今回の事件では、仮想通貨という
「旬のテーマ」
が使われています。
もちろん、近年は仮想通貨絡みの詐欺事件も、時々起きています。
そして何より、我々一般人には、まだまだ馴染みの薄いものです。
そのため、仮想通貨のみならず、金融にさほど詳しくない人は
「仮想通貨?全然分からないし、何だか怖そう・・・。」
と、拒否反応を示す可能性が高いでしょう。
いくら(偽の)恋人から熱心に勧められても、ハードルはかなり高いはずです。
知識のある人ほど、それが仇になることが・・・。
一方、金融に詳しかったり、投資に関心を持っている人は、仮想通貨について書籍・ネットで勉強したりします。
そういう
なまじ知識のある人
の方が、ハードルを飛び越えてしまう危険性は高いと思います。
仮想通貨には、最も有名な
「ビットコイン」
「イーサリアム」
を始めとして、いくつもの種類が実在します。
そうしたことも知っていれば、架空の仮想通貨を
「もうすぐ運用開始される!」
と言われると、信じてしまうのかもしれません。
のぼせ上がって冷静さを失っている状態だと、
「一般の女性なのに、なんでそんな話を知ってる?しかも、マッチングアプリの相手にペラペラしゃべるなんて・・・。」
と判断できないのでしょう・・・。
株式上場の話もして、トドメの一撃!
また、単に仮想通貨を買えば儲かる、という説得だけではありませんでした。
「その仮想通貨を管理する会社って、運営が始まってしばらくしたら、株式上場するらしいよ。」
といった話(もちろん嘘)もしていたそうです。
「そうなったら、仮想通貨の知名度も上がって、値上がりするよ。その前に買っといた方がいいよ!」
という殺し文句でお金を出させるのは、詐欺話としては結構巧みな論理です。
あまりにスケールの大きな話になると、やはり警戒心を抱かれます。
「株式上場」や「インサイダー情報」というレベルであれば、これまた変に知識のある人だと、ガードを下げてしまう恐れがあります。
最後に・・・。
最近は、外国人の男性・女性とSNSなどで知り合い、顔も合わせないまま多額のお金を騙し取られる
「国際ロマンス詐欺」
も多発しています。
仕掛けとしては、今回の「仮想通貨詐欺」と同じです。
こうしたタイプの詐欺は、なかなか滅びません。
引っかからない方法は、たった二つしかありません。
「顔も合わせたことのない人に、お金を振り込まない。」
「どれだけ好きになっても、相手の口からお金の話が出て来たら、スパッと縁を切る。」
これだけなのですが・・・。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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