日本全国に無数にある「喫茶店」。お茶を飲んだり軽食を食べたりするだけではありません。
友人や恋人とのおしゃべり、仕事の打ち合わせ、約束までの時間つぶし、読書や勉強・・・。用途は利用する人の数だけあると言ってもいいでしょう。
個人的には、資格試験の勉強によく使いました。原則1時間と決め、その間に集中しました。
周囲では、他のお客さんもお茶を飲みながら会話をしていることが多いですが、あまり静か過ぎる場所よりも、なぜか集中力が高まります。
しかし時折、隣の席の人たちの会話が面白過ぎて、何とはなく聞き入ってしまうことがあります。
どこの誰かも知らない人たちの人生が、少し垣間見えます。
以下に、記憶に残っている、インパクトの強い話を書いていきます。
喫茶店でキャバクラの面接が始まった!
数年前の仕事帰り、ある歌手のライブに行きました。
少し遅い時間の開演だったので、時間つぶしに会場近くの喫茶店に入り、当時力を入れていた外国語の勉強をしていました。
しばらくすると、男女二人連れがやって来て、隣の席に座りました。
二人のやり取りが聞こえましたが、どこか他人行儀だったので、会社の同僚かと思い、気にしませんでした。
二人に飲み物が運ばれてきた後、スーツ姿の男性が話し始めました。
「この業界は初めてですか?」
派遣社員の面接みたいだなと思っていると、それほど派手ではない女性が
「いいえ、今まで二軒勤めてました。」
二軒って、カフェかレストランのアルバイトの話かと思いました。
男性 「お給料はどれくらいでした?」
女性 「大体○○○円です。キャバクラと言っても小さいお店でしたから。」
キャバクラ!?
意外な話の展開に、びっくりして横をチラリと盗み見てしまいました。
女性はそれほどケバい感じではなく、服装もやや地味でした。男性もチャラい感じは全くなく、人材派遣会社の社員にいそうな外見でした。
男性 「前のお店は、お給料に不満がありましたか?」
女性 「それもあります。でも、一番大きいのは人間関係でしたね。」
話が段々ヘビーになってきたよ・・・と思いながら聞いていると、ライブの会場時間になりました。
もう少し聞いていたい気分でしたが、伝票を手に取りレジへと向かいました。
あの女性は、無事新しいお店に採用されたのでしょうか・・・。
隣でマルチ商法の勧誘が始まった!
2年ほど前のある日、仕事帰りに駅前の喫茶店で勉強をしていた時です。
隣の席に、スーツ姿の若い男性一人(20代後半くらい)と、学生っぽい若い女性二人が座りました。お茶を飲みながら、最初は雑談興じていましたが、男性が女性の一人に
「ネットワークビジネスって、胡散臭いと思い込んでる人が多いんですよね。」
と話し始めました。
ネットワークビジネス!
このブログで以前に書きましたが、ネットワークビジネスとは、「マルチ商法」を格好良く言い換えた呼び名です。
20年近く前、兄弟が引っかかりかけましたが、「クーリングオフ」を行使して契約を解除させ、難を逃れさせた経験があります。
その話について興味をお持ちの方は、下記の記事をお読みください。
テレビや新聞などで、「マルチ商法」という言葉を見たり聞いたりした方々は多いと思います。一般的なイメージは、「胡散臭い」、「楽して儲かるっていう話だけど、詐欺っぽい」という感じでしょうか。実は、マルチ商法そのものは違法ではありませ[…]
私にとっては大好物(笑)の話なので、勉強しながらも意識は半分そちらに行っていました。
男性 「そういう人って、自分でやったことないのに、マスコミとかの話を鵜呑みにしますよね。実は、僕もそうだったんです。」
女性 「そうだったんですか。確かに、大学でもそんな内容のポスターとか貼ってるし、友達にも、ああいうの怪しいよねっていう子が多いです。」
もう一人の女性 「あたしが最初に誘った時も、結構疑ってたよね(笑)。」
男性 「そういうもんですねえ。でも僕は、すごく信頼できる先輩から紹介されて、やることにしました。自分で実際にやってみて、世の中の方が間違ってるって分かったんです。」
なるほど、そういう攻め方で来たか・・・。妙に感心してしまいました。
男性 「日本でも有名なア○○○イだって、最初はインチキ呼ばわりされてたんです。でも、今は誰もそんなこと言いませんよね。」
女性二人 「そうですよね。」
男性 「真面目にやるべきことをやれば、ネットワークビジネスってちゃんと利益が出るんです。ただ、楽して稼げるわけじゃないです。僕も初めは色々大変でしたけど、今は利益を出せるようになりました。もしいつまでも儲からないなら、今ここでお二人と話をしてませんよ(笑)。」
女性二人 「ホントですよねー(笑)。」
今までの話を総合すると、女子大生がマルチ商法に加わり、同級生である友人を勧誘。ピラミッドの上の位の、チューター(指導役)的な男性が同席し、ターゲットをロックオン(射程に捉えること)。本格的な詰めに入っている場面だったのです・・・。
私は1時間近く店にいて、そろそろ帰る時刻になりました。
カモ候補の女性に、心の中で
「こんな話に乗ってしまったら、痛い目に遭うよ!」
とつぶやきながら、伝票を手に取りレジへと向かいました。
隣の席でオッサンが女性にボロクソに怒られていた!
これも2年ほど前のこと。仕事帰りに立ち寄った喫茶店でコーヒーを飲んでいると、私より少し後に隣の席に座った、中年男女二人連れの女性の方が、
「○○さんのお金、アンタどうするつもりなの!」
と、連れの男性に対し強い口調で言いました。
えっ、お金の話?自分じゃなくて他人の?
女性 「○○さんから相談されてるの。アンタに商売のことで相談したら、親身になって話を聞いてくれたんで、信用したんだって。業績が上がるように、自分のコネを紹介して助けてあげるって言われて、アンタに○○万円渡したそうね。でも、それから全然音沙汰がなくて、連絡も取れないって言ってたよ!一体どういうこと?○○さんにアンタを紹介したの私なんよ!そのお金はどうなってんの!?」
女性はどんどんヒートアップ。声も、怒鳴り声とまではいきませんが、周囲のお客さんには内容が完全に聞こえるレベルです。
対する男性(50歳台後半くらい、スーツではなくジャンパー姿)は、モゴモゴした物言いで、はっきり説明できないようでした。
女性は
「何もしてないんだったら、○○さんを騙してお金を巻き上げたってこと?それじゃ詐欺じゃない!何とか言いなよ!」
と、向かいの男性を更に追い込んでいきます。
男性は小さい声で
「そうじゃない。色々動いてはいるけど、景気も良くないから、なかなか良い話を持って行ってあげられないんだ。」
と話しました。
女性 「それなら、○○さんにちゃんと説明しな。あたしの顔つぶして、何考えてんの!」
男性 「分かった。連絡しておくから。」
女性 「すぐにやれよ!絶対にやれよ!」
ヤミ金の取り立てでもここまで怖くはないんじゃないか?と思うほど、女性の詰め方は強烈でした。
それを最後に、女性は店を出ました。伝票を取らずに出て行きましたが、当然でしょう・・・。
しょぼくれた感じの男性は、しばらくテーブルを見つめていました。
すると、男性のスマートフォンに電話が・・・
男性 「はい、△△です。ああ、あの件ね。あれは、前に言った通りそのままやれば、上手く行くから。大丈夫、心配ないです。」
具体性のある指示を全くせず、2分くらいで電話を切りました。
このオッサンは何者?という疑問が頭に渦巻きました(笑)。
ブチ切れていた女性の言葉から邪推(私の得意技です)すると、インチキ経営コンサルタントではないかとの仮説が成り立ちました(大げさです)。
先ほどの女性(恋人か友人)から紹介された女性社長から、言葉巧みにお金を預かり、そのお金を使い込んでしまった、または使い込もうとしていたのではないでしょうか。
スマートフォンにかかってきた電話も、このオッサンにお金を預けた人が、心配になって電話してきたのでは・・・。
そのオッサンからは、何とも言えない悪い運気のようなものが漂っているように感じました。
このまま隣に座っていると、こちらの運気も下がってしまうと思った私は、伝票を手に取り、急いでレジに向かいました。
最後に・・・。
ここまで書いてきました三つの話、いかがだったでしょうか?
いずれも、かなりパンチの効いた内容です。
テレビドラマではこんな場面を目にすることがありますが、実際に自分の隣でこうした場面が繰り広げられると、他人事ながら心臓の鼓動が速くなってしまいます・・・。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。