「panchina lunga」このイタリア語どういう意味?

日本語に限らずどの言語でも、表現は簡単なのですが別の意味を持つ熟語があります。

今回取り上げる

「panchina lunga」

は、イタリア語の表現です。

二つの単語は、それぞれ簡単なレベルの単語です。

ちょっとイタリア語を学習すると登場し、すぐに覚えられます。

しかし、日本語に直訳しても、意味が全く分かりません。

 

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『panchina』は何を表す?

小学館 伊和中辞典によると、

「panchina」

「(公園の)ベンチ;[スポーツの]ベンチ」

という意味を持ちます。

イタリア語には

「panca」

という単語があり、

「(背もたれのない)長椅子、ベンチ」

を指します。

「panchina」は「panca」の縮小辞で、少し小さいベンチという感じでしょうか。

両方とも、意味はほぼ同じです。

スポーツ、特にサッカーでは「panchina」がよく使われます。

例えば上記の小学館 伊和中辞典では、

「andare in panchina」(ベンチ入りする、控えに入る)

という用例が載っています。

また、

「essere in panchina」

も同様の意味で使われます。

イタリアのスポーツ新聞などでは、

「○○(人物名)sulla panchina」(○○がベンチに(=監督に就任))

といった表現も目にします。

 

『lunga』は語尾が変化している!

続いて

「lunga」

ですが、原形は「lungo」です。

様々な意味を持つ言葉ですが、よく使われるのは

「長い」

という形容詞としてです。

イタリア語の形容詞は、女性名詞(単数形)の前または後に付くと、語尾が[a]に変化します。

小学館 伊和中辞典の用例には、

「una lunga strada」(長い道)

とありました。

 

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『panchina lunga』はサッカーに関連!

結論としては、

「panchina lunga」

は日本語に直訳すると

「長いベンチ」

となります。

ベンチが長ければ、より多くの人が座れて助かります・・・。

しかし、ここではそういう意味ではありません。

実はこの言葉は、1990年代前半にイタリアのサッカー界・マスコミで使われるようになりました。

当時イタリアのサッカー一部リーグ

「セリエA」

では、一試合に出場できる外国人選手は3人まででした。

よって、資金力のある強豪クラブでも、外国人選手を金に物を言わせてかき集めることはしていませんでした。

一試合に3人までしかプレーさせられないのですから、当然です。

しかし、そうした慣例を破ったのが、当時セリエA最強クラブだった

ACミラン

でした。

ジャン=ピエール・パパン(フランス代表)

デヤン・サヴィチェヴィッチ(ユーゴスラヴィア代表)

ズヴォニミール・ボバン(クロアチア代表)

ブライアン・ラウドルップ(デンマーク代表)

マルセル・デサイー(フランス代表)

などのスター選手(国名は当時の名称)を、1991年〜1993年の間に次々と獲得。

当時ミランの中核だったオランダ代表トリオ

マルコ・ファン・バステン

ルート・フリット

フランク・ライカールト

を含めると、外国人選手だけで一つのチームが作れそうです。

 

ベンチにも座れない選手は、スタンドかテレビで観戦・・・。

試合出場どころか、ベンチ入りメンバーからも外れる外国人選手が多数出ます。

その場合、ホームの試合ならスタジアムのスタンドで観戦します。

アウェイの試合なら遠征に帯同せず、自宅でテレビ観戦となります。

高額の移籍金・年俸を払って獲得した各国のスター選手を、何人もスタンドやテレビの前に座らせるのは、お金の無駄遣いとしか言いようがありません。

しかし、当時のミラン会長だったシルヴィオ・ベルルスコーニ(後のイタリア首相)は、全く気に留めませんでした。

各国代表では王様のようなスターたちが、ベンチにも収まり切らない状況を、マスコミが揶揄して

「panchina lunga」(長いベンチ)

と呼んだのでした。

 

最後に・・・。

時は流れて2021年現在、イタリアや他のヨーロッパ諸国では、サッカーの外国人枠が有名無実化しました。

EU(欧州連合)

の誕生により、EU域内の国の選手は外国人枠から外れたからです。

イタリア・スペイン・ドイツ・フランス・イングランドの

「五大リーグ」

でも、自国の選手がベンチ入りもできず

「panchina lunga」

に座らされていることは多いのです(イングランドはイギリスのEU離脱により、あと2年ほどでEU枠の例外がなくなります)・・・。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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