日本のことわざに
「蛇の道は蛇」
という言葉があるのをご存知の方は多いでしょう。
「同類の人間の行動や考えについては、同じ仲間ならば簡単に予測、理解できる。」、
「ある分野の専門家は、その分野を熟知している。」
という意味です。
『蛇』がマイナスのイメージを・・・。
言い換えれば、
「その道のことはその道の専門家に尋ねよ。」
です。
日本ではもちろん欧米でも、
若干悪い事柄について使われる
イメージがあります。
類語の「餅は餅屋」にはマイナスのイメージがないのと、大きく異なっています。
日本語では、
「蛇」という、どちらかと言えば嫌われる動物
を用いています。
英語では、もっと大きい動物が登場!
英語でも
「The wolf knows what the ill beast thinks.」
(狼は悪い獣の考えを知っている(分かっている)。)
という言葉があり、「蛇の道は蛇」と同じ意味ですが、動物は「狼」が用いられています。
あるいは「Set a fox to catch a fox.」(狐を捕まえるには狐を使え。)
と、「狐」を用いる場合もあります。
イタリア語では、どの動物も登場しない!
しかし、イタリア語で「蛇の道は蛇」を表すことわざには、
「蛇」も「狼」も「狐」も出て来ません。
原文は次の通りです。
Per conoscere un furbo, ci vogliono un furbo e mezzo.
(一つのペテンを見破るには、その1.5倍のペテンが必要だ(=1.5倍の知恵が要る)。)
cf. conoscere「知る、分かる」 furbo「ペテン、いんちき」 mezzo「半分」
ci vogliono~ 「~がかかる、必要である」
ベタに日本語訳すると、
「一つのペテンを知るには、一つのペテンともう半分のペテンが要る。」
となります。
動物が全く出て来ないのが面白い所です。
最後に・・・。
しかし、furbo(ペテン、いんちき)という単語を使っていることから、イタリアでも「蛇の道は蛇」はあまり良い意味には使われないのではないか、と推測できます。
アメリカでは、刑務所を出所したコンピューター・ハッカーが、改心して(?)ハッキングやコンピューターウイルス対策のコンサルティング会社を創業する例が、結構多いそうです。
そうした例はまさに「蛇の道は蛇」の典型例と言えます。
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