昨今は、本や雑誌が売れない「出版不況」が続いています。
・ 雑誌の休刊、廃刊が相次いでいる
・ 大手の書店グループが、店舗を次々と閉店
・ 古本屋もどんどん閉店している
といった、本好きの人間には憂うべき事態になっています。
ネット通販の台頭、電子書籍への移行など、理由は様々挙げられます。
しかし、最大の理由は、
「売れる本」かつ「良い本」が減ってきている
ということだと考えます。
もちろん、現在でもよく売れるベストセラー本は存在します。
ただ、「売れてる本」イコール「良い本」、「面白い本」とは限らないのです。
宣伝力の差が売れ行きを左右する。過剰アピールにウンザリ・・・。
出版社は、メディア(TV・ラジオ、新聞・雑誌、インターネット、SNS)をフル活用したプロモーション(宣伝)戦略で本を認知させ、販売部数増加に繋げます。
著者も全面に出て、自著を売り込んで回ります。
宣伝も当然必要ですが、本の内容が良いかどうかが、売れ行きの最大の決め手となるべきです。
本の中身よりも、宣伝の巧みさで勝負している現状は、決して健全ではないと思います。
また、昔と違い今の新刊はやたら帯に「○△氏絶賛!」など、有名人の推薦文が踊っています。
国民的な有名人ならともかく、誰かよく分からない人間に推薦されても、
「うるせえよバカヤロー!読むかどうかは自分で決めるよ!」
と、ビートたけしのモノマネで悪態をつきたくなります(笑)。
本は工業製品じゃない!
本の作り方にも問題があります。
同じ著者が、2~3ヶ月のうちに何冊も新著を出すことが時々あります。
文化人と呼ばれる人間の場合が多いです。
そんなことは物理的には無理な話です。
ゴーストライターに書かせたり、語り下ろし(大まかな内容をICレコーダーに吹き込み、プロのライターが文章に起こし構成する)の手法を使います。
それで堂々と「著者」と名乗られても、読者は困惑してしまいます。
本って、本来そんなに簡単に出版できるものではないはずです。
工業製品を大量生産するのと同じ感覚で作られた本を、時間をかけて読むのは馬鹿らしくなってしまいます。
この値段でこの文字数ですか?
最近の本の特徴として、割と大きいサイズの本でありながら、1ページ中の文章の量が少ない本が多いことが挙げられます。
文字数が少ないので、本の余白がやたら目立ちます。
「読者が感想などを書き込むスペースを、親切にも作ってくれてる?」
と思ってしまいます。
読み易さを考慮してのことなのかもしれませんが・・・。
もう少しページ当たりの文字数を増やせば、かなり少ないページ数に収まりそうな本もあります。
そうすれば、値段も少しは安くなると思います。
中身のない本を出版して、紙資源を浪費することは、
大袈裟に言えば環境破壊です。
世界的な環境保護団体「グリーンピース」には、この問題を取り上げて欲しいところです(笑)。
売れてても読まない方がいい本のタイプ
残念ながら、「売れてる本」の大部分は、読まない方がいい本です。
特に、次に述べる3タイプの本については、要注意です。
①成功の自慢本
真似して成功できるなら、世の中は成功者だらけになっています。
中には、「こいつ、本当に成功してるのか?」と疑問を抱くような内容の本もあります。
②仕事術、効率化の本
実は私も、一時期この手の本をよく読みました。
しかし、自分の経験から言えば、タメになる本が10%、ダメな本が90%です。
本当に自分に合った本に出会えたら、その時点でもう他の本は読む必要がありません。
③投資の秘訣を教える本
①のタイプと同じです。読んで真似してみても、大儲けはなかなかできません。
そもそも、投資で大成功した人間は、本など書きません。印税で稼ぐ必要がなく、自分の投資テクニックを他人に教えるメリットもありません。
何年間も、何冊もそうした本を書いている人間は、金持ちではないのでしょう。
投資の本が全てダメということではありません。内容のしっかりした本も多数あります。
しかし、そうした本には「必勝法」や「勝率80%のマル秘テクニック」などは書かれていません。地味な内容で、あまり売れていない本が多いです。
日本が誇るマンガも・・・。
私はマンガも大好きですが、最近の作品はあまり読む気になれません。
少年・少女向け作品、大人向け作品ともに、
「この程度で、読者にはウケるだろう。」
的な印象を感じてしまいます。
内容のレベルを下げて、分かりやすくしている(これは、マンガに限りませんが)ように思えてしまいます。
昔の作品のような「熱量」を感じさせる作品が少ないと感じます(幸い、すごいエネルギーを持つ作品も存在しますが)。
最後に・・・。
日本の出版文化のレベルの高さは、世界に誇れるものだったはずです。
日本社会の衰退とともに、本の中身のレベルも低下していく一方なのでしょうか・・・。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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