誤訳されて広まった「選択と集中」は時代遅れでリスキー?

日本のビジネス界で有名な言葉に、

「選択と集中」

があります。

自社で手掛けている事業分野につき、

○ 競争力のある分野は継続し、ない分野からは撤退

○ 経営資源を、残った分野に集中投下する

という経営戦略です。

この戦略を大胆に推進し、業績を大きく高めたのが、アメリカの老舗企業

ゼネラル・エレクトリック(GE)

です。

 

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ウェルチCEOが、徹底したリストラと成長戦略を遂行!

1981年(昭和56年)にCEO(最高経営責任者)に就任した

ジャック・ウェルチ

は、

「業界でトップ2に入れる見込みのない分野は、撤退して他の企業に営業譲渡する」

というリストラ策を徹底しました。

そして、資金や人員を得意分野・成長見込分野に振り分けることで、増収増益を継続しました。

「大企業病」に苦しんでいたGEを変えた名経営者として、ウェルチはアメリカのみならず、日本などの外国でも持ち上げられました。

従業員や部門丸ごとの廃止も、平然と行うウェルチは、憎悪の対象でもありましたが・・・。

 

日本企業も真似したが、根本を間違えて理解していた・・・。

日本でも多くの企業が、1990 年代頃から「選択と集中」戦略を真似し始めました。

しかし、それが大きな成果を上げたという話は、あまり聞くことがありませんでした。

そもそも、ウェルチはこの「選択と集中」を、多角化を否定する意味では使っていなかったそうです。

むしろ、廃止した事業分野よりも新規に始めた事業分野の方が、はるかに多かったとのこと。

しかし、日本企業では

「不採算部門廃止」

の方に重点が置かれ過ぎ、

「自社の強みを伸ばす」

「成長分野に参入する」

方は疎かにしたか、成果が出なかったということでしょう。

 

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リストラで決算改善も、継続的成長にはつながらず・・・。

リストラで一時的に決算は改善しました。

しかし、浮いた経費や余剰人員を上手く活用できなかったのです。

ある意味

「焼畑農業」

的な戦略になってしまいました。

先を見据えた次の一手が打てなければ、持続的な成長は見込めません。

 

あの『東芝』も、『選択と集中』を行ったが・・・。

日本を代表する企業の一つだった

東芝

も、この「選択と集中」戦略を採った企業です。

当時の稼ぎ頭だった「原発」や「半導体」などに、巨額の資金を注ぎ込みました。

反対に、競争力を失いつつあった「家電」分野には、以前ほど力を入れなくなりました。

しかし2010年代には、原発部門も半導体部門も、

「金のなる木」

ではなくなりました・・・。

 

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家電分野への回帰もままならず、経営危機に・・・。

東芝は元々、テレビやビデオ・DVDレコーダーの品質には定評がありました。

またパソコン分野でも、ラップトップPCの先駆け的存在

「リブレット」

を発売していました。

その後の

「ダイナブック」(DynaBook)

も、一定のシェアは確保していたはずです。

ところが、再びそうした分野に注力しようとしても、もはやライバル企業と同じ土俵で勝負するのは不可能でした。

その後、東芝は大きな経営危機に陥りました。

各種報道によると、今後解体される方向だそうです・・・。

 

永遠の繁栄はなく、将来の繁栄もあり得る・・・。

東芝の例を見て分かるように、正しく選択したつもりでも、その選択がいつまでも正しいとは限りません。

現時点で業界トップだったとしても、その分野で永遠にトップランナーでいられる保証など、全くありません。

また、現時点では業界で下位に甘んじている分野でも、今後大きく成長する可能性を秘めているかもしれません。

不採算部門をどんどん廃止・売却していくと、将来の収益の芽を摘み取ってしまうかもしれません。

 

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強みがゼロになるリスクも!

後に、最初の「選択と集中」が不調に終わった場合、

「強みと呼べるものが何もない」

という状況に追い込まれかねません。

そういう意味では、「選択と集中」には大きなリスクも潜んでいます。

野放図な多角化はもちろん有害です。

しかし、極端に事業分野を絞り込むと、特定の事業分野に依存する、不安定な立場に立たされます。

 

労働者個人も、『選択と集中』を正しく理解すべし!

こうしたことは企業だけに留まらず、働く人間、つまり労働者にも当てはまると思います。

最近のビジネス書や雑誌などでは、

「これからのビジネスパーソンは、自分だけの強みを持て!」

のような内容がやたら出て来ます。

しかし、労働者の大部分は、

「○△一筋30年!」

といった専門家ではありません。

同じ組織、同じ業界で働いていても、2〜3年ごとに部署異動で仕事内容が変わる

「ゼネラリスト」

です。

「この分野なら自信がある!」

と自分では思い込んでいても、実際は本物の専門家に遠く及ばない・・・という人が大半です。

「自分だけの強み」など、なかなか持てるものではありません。

それならばいっそ、今さら何かの分野に特化しようとせず、

「あっちがダメならこっちへ、ここが終わればあそこへ・・・」

と、柔軟な適応力を身につける方が有利かもしれません。

 

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70点の分野五つの方が、90点の分野一つより得やすい?

100点満点中90点の分野を一つ手にするのは、かなり困難です。

そして、その90点の分野も、日々変化するビジネス界では、いつまで武器にできるか分かりません。

それよりも、100点満点中70点の分野を五つ得るようにする方が、はるかに易しいと思います。

そして、つぶしも効きやすいです。

 

最後に・・・。

私も含めた世の大多数の勤め人は、真の「スペシャリスト」になれる能力はありません。

仕事の範囲を極端に狭めることなく、ある程度の

「守備範囲の広さ」

を保っておく方が、今後の日本を待ち受ける

「大失業時代」

への対策としては正しいのではないでしょうか・・・。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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