先日テレビのニュースを観ていたら、滋賀県彦根市のマスコットキャラクター
「ひこにゃん」
が4月13日に15歳の誕生日を迎えたことが報じられていました。
彦根城でイベントが行われ、全国のファンから100個を超えるプレゼントが市役所に届いたそうです。
この「ひこにゃん」と熊本県の「くまモン」は、いわゆる
「ゆるキャラ」
界の二大巨頭であり、最大の成功例です。
完成度の高過ぎるキャラは、ゆるキャラと呼んでいいのか?
ただ、「ひこにゃん」や「くまモン」を「ゆるキャラ」と呼んでいいのか、個人的には疑問が残ります。
「ゆるキャラ」という言葉の発案者である
みうらじゅんさん
の定義には、
「緩い感じで考案された」
すなわち作り手側が素人ゆえの意識の低さ(=緩さ)がにじみ出ているという点もあったはずです。
「ひこにゃん」と「くまモン」は、確かに「ゆるさ」を前面に出したデザインです。
しかし、間違いなくデザイナーや役所、広告代理店などの関係者が連携して、緻密に考え抜いた末に出来たキャラでしょう。
言わば
「売れるべくして売れた」
キャラであり、真の「ゆるキャラ」と言うより「本気のキャラ」です。
日本各地に無数の「ゆるキャラ」が生まれていますが、知名度の高いキャラよりも無名のキャラの方が、厳密な意味での「ゆるさ」の純度は高いです。
ダメなゆるキャラには、共通点がある!
最近はコロナ関連のニュースで、知事や市長が取材に応じる際に、背後に各自治体の名前や標語などが書かれたボードが立てられています。
そこに各自治体のマスコットキャラクターが描かれていることがほとんどですが、質についてはかなりバラつきがあります。
中には
「このクオリティーで、よくトップの決裁が下りたな・・・。」
と思うような、ある意味
「ゆるキャラの王道」
を行くキャラもいます。
ありがちなパターンは、
「どう考えても立体化が困難なデザイン」
です。
イベントなどで着ぐるみが登場するのはよくあることですが、そうした可能性を全く考慮に入れなかったとしか思えない「ゆるキャラ」は結構います。
過去に人気ランキングで低迷したゆるキャラの多くは、二次元のイラストではまあまあ可愛いのですが、三次元の着ぐるみや人形になると
「ビミョーな感じ」
になってしまう点で共通しています。
『ゆるキャラ』誕生の裏には、様々な『大人の論理』が潜んでいる!
我々部外者の素人から見れば、単に笑える話でしかありませんが、各自治体など作り手側にとっては、笑えない話です。
まず企画が持ち上がり、企画書が下から上へと回って行き、いくつもの決裁を受けます。
そして最終決裁を受けた後に、広告代理店などが加わって初めて話が本格化します。
デザインにしても、有名なデザイナーに依頼するかコンペ形式で幅広く募集するかなどして、絞り込みを進めていきます。
ここでもキャラクターの最終決定までには、色々な段階で稟議→決裁が繰り返されます。
キャラクターが決定すれば、当然PR活動も行われます。
「ゆるキャラ」一体の誕生の裏には、思い切り
「大人の事情」
「損得勘定」
が絡んだ公的業務及びビジネス行為が存在します。
公的機関の『ゆるキャラ』には『しくじりキャラ』が多い!
一般企業であれば、
「スベッちゃいました。てへ♪」
のような結果は許されません。
ところが、地方自治体や中央官庁などの「ゆるキャラ」は、ビジネス的な観点から見るとかなりの割合で
「しくじって」
います。
知名度は低く、各自治体などの訴えたいメッセージも全く広まりません。
そこそこの予算を注ぎ込んだのに、費用対効果がないに等しい事例もあります。
以前このブログで取り上げた、日本年金機構のマスコットキャラクター
「ねんきん太郎」
も、そうした「しくじりゆるキャラ」の典型例です。
このブログをお読みの皆様にも、国民年金や厚生年金の掛金(保険料)を現在納付中の方、あるいは年金を受給なさっている方は多いはずです。勤め人の場合は毎月の給与から天引きされるので、納めているという実感が湧きにくいですが、収入に応じてそれ[…]
ゆるキャラ企画の責任者たちが左遷されることはある?
一般企業であれば、プロジェクトの責任者が
「左遷される」
ということはよくあるでしょう。
どの業種・分野でも、大金を投じ多くの人員が長期間携わった事業が、見事に大コケした例が必ずあります。
本来なら、閑職に追いやられる人が多数出るものです。
しかし、役所のゆるキャラプロジェクトの「その後」については、ほとんど語られていません。
実務の責任者を始めとする中心メンバーたち、プロジェクトの音頭を取ったトップ以下幹部たちが、責任を取ったあるいは取らされたという話は、なかなか漏れ伝わって来ません。
お役所得意の
「忍法 責任逃れの術」
を駆使して、全てを煙に巻いてしまうのでしょうか・・・。
最後に・・・。
「ゆるキャラ」の生みの親、みうらじゅんさんが「ゆるキャラ」啓発活動を始めた当初は、各地の役所に連絡を取り趣旨を説明すると、
「うちのマスコットはゆるくありません!皆真剣に取り組んでるんです!」
と怒られ、ポスターやパンフレットなどの資料すら送ってもらえないという
「迫害(笑)」
を受けられたそうです。
しかし今なお実態は、作り手側の意識がまだまだ緩く、「ひこにゃん」や「くまモン」のような可愛さ・知名度・採算の三拍子揃った「ゆるキャラ」は、そう簡単に現れそうにありません・・・。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
  
 