債権回収経験者が語る:「任意売却」は、覚悟とスピードが重要!

お金や法律などの話(夫)

新型コロナウィルス流行の影響で、日本の経済活動も大きな打撃を受けました。それに伴い、労働者の給与や賞与(ボーナス)も、今後大幅に減少することが予想されます。

ご自宅を住宅ローンで購入し、現在返済中の方は多いと思います。

しかし住宅ローンの返済も、収入の大幅な減少により、破綻するリスクが高まっていきます。

最近、TVのニュースやインターネットの記事で、「任意売却」に関する話題を目にすることが増えました。

私は債権回収の仕事をしていた経験があり、債務者の不動産(自宅、工場や店舗など営業所)の任意売却に関わった経験もあります。

これから、任意売却に関するメリットやデメリット、注意すべき点などを、思い付く限り書いていきます。少しでもお読みの方々の参考になれば、幸いです。

通常、住宅ローンの返済を6ヶ月滞納すると、金融機関は裁判所に不動産競売の申立を行います。

傘下の保証会社に債権譲渡し、その保証会社は機械的に競売手続に進んでいく、というのが一般的なパターンです。

競売に拒否反応を示し、任意売却を希望する人が多いです。

任意売却は、競売手続ではなく、不動産所有者や金融機関が見つけてきた購入希望者に不動産を売却する方法です。

売却代金から金融機関(1番抵当権を付けている)などの担保権者、差押権者(役所が滞納金の保全のため行う)に返済を行います。

任意売却のメリットはこの3つ!

①競売のように、どこの誰か分からない人物に落札されることがない。売却後の退去時期などの交渉もしやすい。

 

②所有者や担保権者がある程度納得できる金額で、売却できる可能性がある。競売の場合、落札額が予想より低いこともある。

 

③交渉次第では、売却後に退去する際の引越し料(10万円~30万円ほど)を売却代金からもらえる可能性あり(あくまでも引越し作業にかかる費用。新居の敷金などや、当座の生活資金は無理)。

 

任意売却のデメリットはこの3つ!

① あまり高額で売ろうとしても、買受希望者が見つからない。不動産業者が購入を希望するケースが多いが、金額にはシビア。

 

②長期間活動することはできない。金融機関(保証会社)が長期化を防ぐため、任意売却と並行して競売申立することも多く、競売手続の進行(入札まで早くて6ヶ月ほど)がタイムリミットの目安。

 

③ 役所や税務署の差押(税金など)が付いている場合、滞納額全額を払わないと、差押の解除に応じてもらえないケースがかなり多い。

任意売却には、メリット、デメリットともにあることがお分かり頂けたと思います。

共通しているのは、早く動き出せば、メリットを享受できる可能性が高まり、デメリットを小さく抑えられる可能性が高まることです。

住宅ローンの返済に不安を抱えている方々の中でも、何とか危機を脱することができそうな方、かなり苦しい状況で、破綻が現実味を帯びてきている方と大きく二分されるかと思います。

まだ一回も返済を滞納していない、もしくは滞納が1~2ヶ月くらいという方なら、家を手放す決断をして、なるべく早く任意売却に向けて動き出す、というのも選択肢として考えることをお勧めします。

もちろん、せっかく手に入れた夢のマイホームを手放す決断は、簡単にできることではありません。

しかし、ズルズルと滞納を重ねて競売申立をされたり、サラ金などからの借金で返済資金を工面しても、待ち受けている結末は結局同じです。

自分の意思は全く反映されないまま、マイホームを追い出され、なおかつ未返済のローン債務が残ります・・・。

見栄や世間体に縛られず、できる限り早く「覚悟を決める」、すなわち腹をくくることができるか、それがカギです。

住宅ローン返済が滞り、競売を申立されると、不動産謄本にも競売開始決定の事実が登記されます。

任意売却による購入希望者が現れても、当然登記をチェックしているはずです。競売にかかり、時間がなく追い込まれていることが分かれば、足元を見られます。

すると、売却額や引越し料、退去時期などの交渉も、不利になってしまいます。

また、任意売却は競売入札までに成立させる必要があり、時間が足りないと、多くの希望者たちと売却交渉できず、より良い条件での売却チャンスを逃してしまいます。

売却額について、競売申立を行った担保権者(金融機関など)と合意するのも、かなりの労力を要します。自分たちの査定データを基に交渉してくるので、所有者が考えるよりも高い、または低い金額を主張されることも多々あります。

上記したいくつもの難関をクリアするためには、できるだけ時間的な余裕を稼ぎ、かつ交渉のスピードを速めることが重要です。

任意売却の決断の「早さ」及び、様々な交渉の解決スピードの「速さ」が、任意売却を有利にまとめる二大要素です。

前述したデメリット③は、意外に大変なハードルです。

任意売却において、後順位の担保権者や差押権者は、登記の抹消と引き換えに抹消料(ハンコ代とも呼ばれます)として10万円~50万円ほどを受け取り、残額については任意売却後に返済交渉というパターンが多いです。

しかし、都道府県の税務事務所や、市区町村のような地方自治体は、少しでも回収できれば御の字とは考えません。

変に妥協すると、税金の回収機会を逸したなどと責任を問われる危険性があり、それを恐れているのです。

もし競売による売却となって、自分たちには1円も配当されなくても、「法律に基づく適正な売却」の結果であれば、それもやむなしと考えます。

抹消料金と引き換えではなく、滞納金額全額の支払いが履行されなければ、差押登記の解除には応じてくれないのが基本です。

不動産所有者がその金額を別に工面できず、任意売却の話が破談になる事例は結構多いです。

ただ、これも早い段階で役所などと交渉し、金策に動いていれば、何とか解決できる可能性が高まります。やはり、「早さ」と「速さ」は大切です。

任意売却については、まず不動産業者に相談してみましょう。

知り合いの業者がいたり、信頼できる人から紹介された業者であれば、その業者に相談してください。

もし誰もいなければ、ローン借入先の金融機関に話をしてみてください。その金融機関に出入りしている業者を紹介してくれる場合もあります。

競売を申立された場合、そうした情報を何処からか入手し、所有者の家に押しかけ、任意売却の仲介を持ちかけてくる業者がいます。その手の業者は絶対に断ってください。

また、「必ず任意売却可能です。」とか、「引越し料に加えて、何ヶ月かの生活資金も売却代金から控除して、貴方に配分させます。」などと甘い話をしてくる業者もダメです。そんな話は嘘と思ってください。

引越し料についても、認められたとしてもせいぜい30万円くらいまでです。高望みはしないでください。

引越しにかかる料金をなるべく節約するため、不要な物は早いうちに処分しておくのがいいです。ネットオークションやフリマアプリ(メルカリなど)で売れれば、少しでも現金を作れます。

家の中が汚いと感じるなら、マメに掃除をしておきましょう。
汚れが多いと、不動産の査定額も低くなる恐れがあります。

ここまで長々と書いてきましたが、ありきたりで表面的な事ではなく、できる限り具体的、かつ現実的で役に立つ内容にしようと努力したつもりです。

ほんの少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。