このブログで過去に2回、鳴り物入りで市場に投入されながら全く売れず、市場から消えて行った「しくじり飲料」を紹介しました。
「サスケ」、そして「マリンクラブ」・・・。
興味をお持ちの方は、下記の記事をお読みください。
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これらは、いずれもサントリーの商品でした。
日本コカコーラ社にも、しくじり飲料があった!
しかし、同じく超大手のメーカー、日本コカコーラ社にも、できればなかったことにしたい「しくじり飲料」が存在します。
その名は「タブ・クリア」。
商品名だけでは、どんな飲み物なのか想像がつきません。
ズバリ言えば「透明コーラ」です。
普通、コーラと言えば褐色と相場が決まっています。そのコーラを透明にしたのが「タブ・クリア」です。
タブ(Tab)は、米国のコカコーラ社が製造・販売していた炭酸飲料のブランド名です。それにクリア、すなわち透明という言葉を付けて「タブ・クリア」となったそうです。
大規模なCM攻勢で勝負に出た!
1993年(平成5年)の初めから販売が開始されましたが、さすがはコカコーラ、大々的にテレビなどで宣伝しまくりました。
イメージキャラクターに、当時クイズ番組などで活躍していた、評論家の俵孝太郎氏を起用するという大チャレンジに打って出ました。
当時のCMが今でもYoutubeにアップロードされていますが、15秒なのですぐに終わります。
試飲した人たちへのインタビューがメインですが、最後に俵氏の
「考えたってしょうがない。タブ・クリア。」
というナレーションが入って終わります。
実際に飲んでみたが・・・。
私はその頃、大学卒業間近でした。
用事で外出した帰り、駅のホームの自販機に「タブ・クリア」を見つけました。
CMでやっている新商品だったので、興味本位で1本買い、その場で飲んでみました。
感想は「ビミョー・・・。」としか表現できません。
決して飲めないほどマズイわけではなかったのですが、普通のコカコーラの味とは違っていました。かと言って、同じコカコーラ社の「スプライト」(Sprite)とも異なる味でした。
後に知りましたが、「タブ・クリア」には人工甘味料(アスパルテーム)を使用していたそうです。今では色々な清涼飲料に含まれていますが、当時はあまり普及していませんでした。私が感じた違和感もそれだったようです。
当時の消費者には、それがウケなかったらしいです。
また、透明と言っても缶入りであり、ペットボトルもなかった時代なので、透明コーラというインパクトも不発に終わりました。
結局、全く売れ行きが振るわないまま、翌年には生産中止となりました。
最後に・・・。
「タブ・クリア」の失敗は、日本コカコーラ社の社史から抹消されてもおかしくないほどの「しくじり」具合でした。
大きな商品プロジェクトなのですから、
「考えたってしょうがない。」
と言わずに、もう少し考えた方が良かったと言わざるを得ない、見事な「しくじり飲料」でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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