借金の返済に苦しんでいる債務者にとって、最後の解決手段は「破産」することです。
自分の資産(家など)も全て失いますが、膨らんでどうしようもなくなった債務も免除されるので、精神的な重圧からは解放されます。
しかし、簡単に破産できない立場の人もいます。
連帯保証人がいる場合です。
連帯保証人の手前、簡単にギブアップできない。しかし・・・。
たとえ債務者本人が破産により債務の返済義務を免れても、連帯保証人には全く関係ありません。
債務全額の返済義務があり、債権者が返済を迫ってきます。
そのため、「保証人さんには迷惑をかけられない。」と自ら破産せず、苦しい中でも返済を継続する債務者は結構多いです。
その気持ち自体は立派です。
しかし、結果的にはそれが仇となり、連帯保証人に多大な迷惑を被らせてしまうケースがあります。
債務者は、連帯保証人への督促をメチャクチャ嫌がる!
最初は何とかある程度の金額を毎月返済するものの、債務(多重債務の場合も多いです)を抱えて切羽詰まった状況では、長続きしません。
そのうち金額が少なくなり出し、毎月返済のはずが2~3ヶ月に1回になり出します。
もちろん債権者は黙っているはずもなく、
「ちゃんと返済できないんなら、連帯保証人にも協力してもらいます。」
と、連帯保証人への督促を言い渡します。
ただ、債務者が抵抗することは多いです。
「保証人には督促しないで欲しい。自分が何とかするから。」
と、連帯保証人への督促に強い拒否反応を示します。
回収担当者としては、多数の案件を管理しています。
債務者とトラブルになり、無駄な時間を取られるのを好みません。
結果として当面の間、少額返済を容認する形となり、毎月返済が履行されても、完済までには気の遠くなる時間を要することとなります。
時間稼ぎも長くは続かず、破滅の時はやってくる・・・。
債務者は、連帯保証人から問い合わせがあっても、
「ちゃんと毎月返済してるよ。あなたには迷惑はかけないから、安心して。」
みたいな話をして、その場を取り繕います。
連帯保証人も、自分の所に督促が来なければ、安心して信じてしまいます。
債権者からは、年1回くらいは「残高のお知らせ」の文書が送られるので、それを見れば元金残高がほとんど減っていないのが分かるはずです。
しかし、見ていないという人が多いです。
嫌なことからは目を背けたいということなのでしょう。
しかし、人間いつまでも元気で働けるわけではなく、勤め人であっても収入が減っていくことは止むを得ません。
病気になった債務者が返済を滞らせ、債権者が連帯保証人に督促するケースはよくあります。
そこで、連帯保証人が債務残額の大きさにビックリすることも多いです。
先述のとおり、連帯保証人にも定期的に残高につき、文書で通知しているのですから、何を今さらという感じなのですが・・・。
連帯保証人の逃げ道は二つしかない!
そこで連帯保証人がよく口にする台詞が、
「債務がまだこんなに残ってるのに、何で今まで連絡してくれなかったんですか!?もっと早く言ってくれてたら、何とかお金の工面ができたかもしれないのに・・・。」
自分勝手な主張ではありますが、債権者の側としては、痛い所を突かれた気持ちになります。
いくら債務者から懇願されても、債権者には連帯保証人へも請求できる法的権利があります。
勘違いしている人が多いのですが、たとえ債務者が返済していても、債権者は連帯保証人へも返済を督促できます。
しかし、面倒に巻き込まれないために回収担当者がある意味「逃げた」結果、何年も経った後に次以降の担当者が、より大きなトラブルを抱え込むことになります。
連帯保証人が債務者の所へ怒鳴り込んで行くことも多々ありますが、相手が病気で入院していたり、あるいは亡くなっていれば、もうどうしようもありません。
亡くなった債務者に遺族がいても、相続放棄する場合が圧倒的に多く、その場合は責任追及はできません。
連帯保証人が債務から解放される方法は二つのみです。
債務残額を全額返済するか、自分も破産するかのどちらかです。
実際に、債務者の破産の後に連帯保証人も破産してしまう案件は、時々あります。
最後に・・・。
債務者としては、本当に連帯保証人に迷惑をかけたくないという気持ちより、文句を言われて叱責されたくない、ええカッコしていたいという、自分本位の気持ちが強いのではないでしょうか。
そうして時間稼ぎをした挙句、連帯保証人に債務を全ておっ被せるという、一番たちの悪い
結末を招いてしまいます。
どうしても債務返済の見込みが立たなければ、たとえ連帯保証人にボロクソに怒られようとも、正直に自分の置かれた状況を話し、返済の肩代わりを早いうちに頼むのが、結果的にはベストです。
自分の見栄や面子にこだわると、自分だけでなく周囲の人まで不幸にしてしまうことを、しっかり理解するべきです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。