民事再生・個人再生計画が、コロナ禍の影響で不履行増加?

このブログでは以前に

「民事再生」、「個人再生」

に関する記事を書いてきました。

両方とも裁判所を通して行う法的整理の手続であり、平たく言えば

「法律に基づいた借金の棒引き」

です。

 

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借金の一部は払うが、倒産も自宅売却もせずに済む!

破産とは異なり、債務すなわち借金の全額が免除されるわけではありません。

大体借金総額の20~30%程度を、民事再生なら5~10年、個人再生なら3~5年で返済します。

その代わり、法人なら法人格は消滅せず、会社は事業を継続できます。

個人も、住宅ローンは金額こそ減りませんが、返済期間が延長されるので、自宅を手放すことなく債務整理が可能となります。

こうした制度を利用して、生活や経営の立て直しに努力している法人や個人は結構多いです。

 

再生計画に基づく返済にも、コロナ禍の影響が!

ところが、民事再生や個人再生による借金の返済計画は、現在大きな影響を受けているはずです。

2020年(令和2年)初めから続いている、新型コロナウイルスの感染拡大です。

アメリカやヨーロッパの一部などではワクチンの接種が進んでいますが、日本のワクチン接種率はまだ1%台(2021年4月末時点)。

先進国の中では、ぶっちぎりのワーストです・・・。

医療体制も大都市圏では事実上崩壊している状況ですが、経済的なダメージも桁外れの規模となっています。

知名度の高い大企業ですら、多くの会社が大幅な減収・減益に見舞われています。

中小・零細企業ならなおさらです。

コロナ前は順調に運営されていた企業も、倒産・廃業を避けるべく必死に奮闘しています。

個人にとっても、勤務先の業績悪化に伴い、給料が大きく減ってしまう事例が確実に増えているでしょう。

民事再生や個人再生の手続で認められた再生計画を履行中の企業・個人にとっては、全く予想外の災難というしかありません。

 

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コロナ禍という天災を理由に、いつまで返済猶予は認められる?

そうなると法人も個人も、計画通りに返済を継続することが困難になります。

返済の遅延が続くと、債権者の申立によって民事再生や個人再生が

「取消」

となってしまう可能性も出て来ます。

金融機関(特にメガバンク)なら、コロナ禍といういわば天災であること、世間の評判、そして何より国や中央官庁の目を気にしているはずです。

なので現状では、計画取消の申立に踏み切るとは考えにくいです。

ある程度は柔軟な対応(特に住宅ローンの返済)をしてくれるでしょう。

しかし、取引先企業や中小の金融会社(いわゆる「街金」)などの債権者にとっては、債務者の返済延滞が自分たちの事業運営に悪影響を及ぼす恐れもあります。

いつまでも悠長に返済を猶予していられない所も多いでしょう。

 

不動産担保やローン滞納の自宅が売却される?

企業が民事再生計画に基づいて返済している事例では、事務所や工場などの不動産担保について、売却を保留する合意がなされている場合が多いです。

しかし計画通りの返済がなされないのなら、民事再生の計画を白紙に戻し、担保物件を売却させて多少なりとも債権を回収しようという話になっても、全く不思議はありません。

実際は、大抵の事例で最大の債権者である金融機関が賛成しないと、取消には至らないことがほとんどです。

しかし、金融機関も今後の返済再開の見込みがないまま、ずっと様子見を続けることは難しいでしょう。

それは個人再生でも同様です。

住宅ローン債権についても、

「コロナ禍だから、返済が遅れてもしようがない。」

と待ち続けることはできません。

そのうち、債務者が自宅を手放さざるを得なくなる事例は急増するのではないでしょうか。

 

『ハードシップ免責』という特例は存在するのだが・・・。

実は、民事再生や個人再生には

「ハードシップ免責」

という特例があります。

勤め先が倒産して再就職が困難だったり、大きな病気にかかり長期間の入院療養を余儀なくされるなど、

「債務者に責任のない不可抗力」

によって再生計画通りの返済ができなくなった際、債務者が申し立て裁判所に認められれば、残った借金の返済が免除されるという制度です。

債権者にとっては大変ありがたい制度ですが、「ハードシップ免責」を申し立てるための要件は大変厳しく、ハードルが高いのです。

実際に申立され認められる事例は、極めて少ないのです。

また、住宅ローンについては「ハードシップ免責」の対象外となっています。

返済できない状態が続けば、いずれは自宅や店舗・工場などを手放すこととなってしまいます。

 

最後に・・・。

2021年(令和3年)5月現在は、テレビ・新聞などで住宅ローン破綻や民事再生・個人再生の取消、不動産競売の申立が増えているといった報道は、まだなされていないようです。

前述のように、金融機関が一定の配慮をしているからでしょう。

しかし、たとえコロナ禍という天災が降りかかってきても、江戸時代の

「徳政令」

のように、借金が丸ごとチャラになる可能性はほぼゼロでしょう。

延滞している債務は、時限爆弾のようです。

いつかはタイムリミットが来て、爆発してしまうのです・・・。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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