お金がないから自己破産するのに、手続には費用が必要!?

人が破産を考えるのは、借金の額が大きく膨らんでいるのに、返済するお金、返済する当てがない時です。

借金返済どころか、日々の生活に必要なお金にさえ事欠く人もいます。

そうした場合に

「破産するしかないか・・・。」

と腹を決めることになります。

最近はテレビ・ラジオや新聞などで、弁護士法人のCMや広告も多く出ており、気軽に相談できそうです。CM、広告で知った弁護士事務所に問い合わせてみると、電話にせよ面談にせよ、ある事実を弁護士またはスタッフから告げられます。

「破産申立をする際に、予納金としてある程度のお金を、裁判所に納めていただきます。」

 

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破産手続には三つのパターンがある!

えっ、お金がないから破産申立するのに、お金がいるの・・・?

法律に詳しくない人なら、そう思うかもしれません。

「お金がなくて破産しようとしている人が、裁判所に一定額を前もって納めるなんて、簡単にできるわけないだろ!」

という気持ちも確かに分かります。

しかし、裁判所に破産手続を開始してもらうには、先立つものがなければ始まりません。

破産の手続が以下に説明します三つのパターンのどれに該当するかで、予納金の額は大きく変わってきます。

同時廃止

債務者が破産申立をすると、裁判所は内容を審査します。

そこで債務者に貯蓄などのめぼしい資産がなく、不動産も所有していない場合、破産は認められても、破産管財人弁護士は選任されません。

官報には、「破産手続開始及び廃止の決定」として掲載されます。

裁判所で必要な事務手続を行ってから、後日破産「免責」が決定されます。

この「免責」によって、破産者の債務返済義務は免除されます。

管財事件

債務者がある程度の額の貯蓄や有価証券、不動産などを所有している場合、裁判所は管財事件として扱います。

裁判所から選任された弁護士が、破産管財人として債務者の資産の管理や、他に資産を所有していないかなどの調査を行います。

そして最終的には、資産を全て現金化し、破産債権の届出をして認められた債権者に、配当という形で分配します。

破産管財人の業務が終わると破産集結となり、後日破産免責となります。

少額管財

債務者が貯蓄などの資産を所有しているが、大きな額ではなく種類が少ない場合や、弁護士が代理人として破産申立手続をしており、破産管財人と連携して迅速に手続を進められると裁判所が判断した場合、少額管財事件として扱われます。

但し、債務の総額が一定額を超える場合は、対象になりません。

 

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予納金はどれくらい必要になるか?

上記(1)~(3)のいずれに該当するかによって、予納金の額の範囲は変わってきます。

その他に、破産申立手数料(1,500円)、予納郵券代(切手代。債権者の人数によって異なる)も必要です。

予納金の額は、裁判所によって幅があります(20~50万円程度)。

また、裁判所への予納金だけでなく、弁護士に破産申立を依頼する場合、着手金や成功報酬(破産免責が決定して、借金が帳消しになった場合)で合計20~50万円ほどかかります。

 

自分で破産申立することは可能だが・・・。

弁護士に頼まずに、自分で破産申立を行うことは可能です。

しかし、様々な書類や資料を準備しなければならず、不備があれば裁判所から何回もダメ出しを受けることになります。

また、司法書士に依頼することもできますが、司法書士はあくまでも破産申立の「文書作成」のみしか代理で行えません。

よって、裁判所での審尋(=面接)などは債務者本人が対応する必要があります。

弁護士に頼むより費用は安いですが、自分の負担が非常に大きくなります。

 

実際は、手弁当で申立してくれる弁護士も・・・。

弁護士費用は、原則的には一括で前払いします。

しかし、中には分割払いに応じてくれる弁護士もいるそうです。

弁護士たちは自分からは言いませんが、実際に困窮している債務者に対しては、手弁当、いわゆる実質上タダで申立手続をしてくれる人も多いらしいです。

弁護士という立場上、お金がないから助けないということは言いにくい(または言いたくない)ので、ボランティア感覚で引き受けるそうです。

また、費用を捻出できず困っている場合は、全国各地の「法テラス」(司法支援センター)に相談し、弁護士費用を一旦立て替えてもらうことは可能です。もちろん、後で返済することになります。

 

最後に・・・。

世の中は厳しいものだと、改めて分かります。

お金に困って借金し、その借金も返せないから破産を考えるというのに・・・。

やはり、なるべく借金はしないよう、自己防衛(=貯金)は普段からしておくべきでしょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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