破産したら、官報からどんな個人情報が分かる?

お金や法律などの話(夫)

2019年(平成31年)3月、「破産者マップ」なるWebサイト(破産者の住所がGoogleマップ上で確認できる)がインターネット上に現れ、賛否(批判の方が圧倒的に多かったですが)の嵐が巻き起こりました。

最終的には開設者がネット上で謝罪し、サイトは閉鎖されました。

しかし2019年(令和元年)9月には、「モンスターマップ」という同様のサイト(破産者の住所からGoogleマップにリンクされており、マップ上にピンが表示される)が出現しました。

「このサイトの内容は全て架空のものです。もし実在の人物や住所と一緒の場合があっても、それは偶然の一致です。」

などとわざわざ注意書きを表示していますが、内容は完全に官報のデータと同じです。

「破産者マップ」は、過去3年分ほどの官報のデータを収録していましたが、
「モンスターマップ」は、約12年ほど昔の官報データまで遡れます。

別人が作ったと思われますが、妙に進化してしまっています。

官報ってどういうもの?

ところで、「官報って何?」とお思いの方も多いでしょう。

官報は、日本の法律、政令、条約などの公布事実や、国の資料などを公表する新聞のようなものです。

合併公告や決算公告など、会社の公告も載っています。

基本的に行政機関の休日を除く毎日(土日祝日は休み)発行され、各都道府県庁所在地の「官報販売所」で販売されます。

インターネット版もあり、有料版は過去の官報も検索可能で、キーワード検索もできます。無料版は、氏名での検索ができません。

官報には、裁判所の公告として、破産・再生・会社更生関係の公告もなされます。

個人または法人が破産すると、この官報にその事実が載ります。

官報では、破産についてどういう風に記載される?

裁判所で破産開始決定がなされた場合、約2週間後の官報で公告され、次の情報が表示されます。

① 事件番号

② 住所(現住所ではなく、破産申立時の住所の場合もある)

③ 破産した個人または法人の氏名、商号(債務者○○○○と表示される)

④ 決定年月日時

⑤ 主文(「債務者について破産手続を開始する。」)

⑥ 破産管財人の弁護士名、事務所住所

⑦ 破産債権の届出期間

⑧ 財産状況報告集会・一般調査・廃止意見聴取・計算報告の期日

⑨ 免責意見申述期間

⑩ 管轄裁判所名及び担当係名

といった項目です。

官報に載っても、個人情報の拡散リスクは低いはずだった・・・。

破産者(ここでは個人に限定します)にとって重要なのは、②の住所及び③の氏名です。

どちらもれっきとした個人情報ですが、この二つ以外には個人情報は公表されません。

赤の他人にとっては、その他の個人情報は、知りようがありません。

また、前述したように、官報は普通の新聞のように駅の売店やコンビニで買うことはできません。

個人でも代金さえ払えば定期購読できますが、入手先は限定されています(紙媒体の場合)。

また、官報では、破産者をあいうえお順に表示したり、地域ごとに分かりやすく表示したりはしません。

金融機関などでは、官報(インターネット版を含む)の住所氏名を自分たちのデータベースで検索していますが、なかなかの手間です。

素人の個人が、毎日官報を読み(あるいはネットで閲覧し)、友人・知人や近所に住む人々が破産していないかチェックするというのは、有り得ないことではないですが、可能性はゼロに近いです。

ですから、官報に住所氏名が掲載されても、破産者がビクビク脅えながら生活する心配はない・・・はずでした。

官報データとネット地図の結合で、破産者情報が可視化された!

ところが、「破産者マップ」や「モンスターマップ」が登場したことで、破産者の住所氏名がGoogleマップなどのネット地図とリンクし、可視化(視覚で認識できる)されてしまいました。

加えて、インターネットの無料サイトなら、誰でも閲覧できます。

興味本位で、自分の家の近所の地図を見れば、破産者がいれば、その人の住所氏名を簡単に知ることができてしまいます。

また、自分の友人や同僚の住所氏名を検索して、もしかするとその人が破産している事実を知ってしまうかもしれません。

制度の盲点を突いたサイトの目的は?

最初に「破産者マップ」が登場した時、弁護士や司法書士などの専門家は驚愕したはずです。

当然ですが、サイトの運営者にはそれらの法律関係者、一般の人々からの批判が殺到しました。そして、前述のようにサイトは閉鎖されました。

しかし、半年ほどすると、「破産者マップ」の進化版ともいうべき「モンスターマップ」が登場しました。

2020年7月現在も、閲覧は可能のようです。

しかし、サイトにアクセスすると、フィッシングサイト(詐欺サイト)に飛ばされたり、コンピューターウイルスやマルウェア(個人情報を抜き取ろうとしたりする)に感染してしまう恐れがあります。

興味本位で閲覧に来る人間をカモにするのが目的なのでしょうか。

それとも、ネット上で多くの人が指摘するように、債務者の破産により経済的損害を被った人間が、腹いせにこうしたサイトを作ったのでしょうか。

この「モンスターマップ」の破産者情報は、インターネット版の官報データから引っ張ってきているそうです。

インターネット官報と同じく過去12年分の破産者情報が閲覧可能だそうです。

私のようなITオンチではない、コンピューターに詳しい人間の仕業だと思われます。

しかし、興味本位でアクセスするのは絶対にやめてください。

他人の個人情報をのぞき見しようとして、自分の個人情報を悪用されては、

言葉は悪いですが「アホの極み」です。

ついでに豆情報。

ちなみに、当たり前ですが破産者の氏名は本名です。

仮に芸能人が破産すると、芸名ではなく本名が掲載されます。

普段は通名を用いていても、

「債務者 通名こと本名」と表示されます。

また、漢字の表記方法が複数あり、普段は簡略形を用いている場合、

例えば「債務者 斉藤○○こと齋藤○○」と表示されることもあります。

飲食店や建設業などを個人で営んでいる人の場合、

「食堂○○こと○○ △△」、「東京工務店こと東京太郎」と表示されることもあります。

最後に・・・。

現代はインターネットが日常生活に不可欠となり、我々はその便利さを享受しています。

その一方、我々の個人情報は、様々な場面で危険に晒されています。

「破産者マップ」、「モンスターマップ」騒動は、そのことを改めて我々に突き付ける出来事でした。

ある日突然、知らない人から、

「あなた、かなり借金ありますよね。」とか、

「あなた、最近会社をクビになりましたね。」などと

声をかけられる可能性は、ゼロとは言えないかもしれません・・・。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。