このブログでは、
「債権回収」
に関する記事を多数書いています。
私の「借金取り」の経験がネタ元になっています。
それらの記事の中で
「現地調査」
にも何度か言及しています。
以前このブログで、債務者の自宅の現地調査について書きました。遠方の不便な場所が多く、外観からでも生活の困窮ぶりが分かったり・・・と、色々な思いをします。興味をお持ちの方は、こちらの記事もお読みください。 […]
私は、以前に債権回収の仕事をしていました。平たく言えば、借金取りです。借金取りと言えば、映画・ドラマやマンガに出て来る、コワモテのいかつい男性というイメージを持たれがちですが、一部のサラ金やヤミ金を除けば、普通のサラリーマン[…]
債務者たちの居住実態を見に行くが・・・。
返済が滞り、督促に反応がない債務者などにつき、居住地まで足を運び生活実態を確認するのです。
担保に取っている自宅不動産の現況確認を兼ねる場合もあります。
大抵の場合、債務者たち本人には会えません。
家族がいても、全員留守で反応がないことも多々あります。
その場合、
電気・ガスのメーター類が動いているか
家の前に生活用品(傘、三輪車、自転車など)が置いてあるか
郵便物が届いているか(郵便受けの外から分かる範囲で)
などを確認します。
債務者たちの生活が垣間見えることも!
実際に住民票上の住所に居住しているかは、重要な点です。
例えば家の前に三輪車が置いてあり、名前が書かれている場合、名字が同じなら子供の物でしょう。
家族でそこに居住中だと推測できます。
また、郵便受けから溢れ出すほど、督促状の封筒(サラ金、税金関連など)が届いていることも実際にあります。
そうしたことからは、債務者たちが多重債務に陥っている様子が窺えます。
昔は『オートロック=金持ち』だったが・・・。
昔は、現地調査で賃貸マンション(時には分譲のことも・・・)を訪れても、
「オートロック」
なるものには出くわしませんでした。
オートロックのマンションと言えば、かなりの金持ちが住む物件か、女性専用の賃貸物件くらいしかありませんでした。
金を返せない人間がオートロックのマンションに住んでいるとは、こちらも想像していませんでした。
しかし、2000年代半ば頃からだと思いますが、いざ現地に行ってみると玄関がオートロックということが、少しずつ増えてきました。
内部の確認ができず、管理人なども口が固い・・・。
呼出盤で債務者の部屋番号を押しても、反応が返って来ることはほぼ皆無です。
当然中に入ることもできず、上記のような居住実態の確認もできません。
そうなると、債権者としてはお手上げです。
マンションによっては、管理人室と連絡が取れる場合もあります。
ですが、管理人も入居者の居住実態については、何も答えてくれません。
2005年(平成17年)に
「個人情報保護法」
が施行されて以来、マンション・アパートの管理人や管理会社は、口が固くなりました。
訪れたマンションの玄関が全開!
実は私は一度だけ、債権者の居住地を現地調査で訪れた際に、オートロック付きマンションの中に入れたことがあります。
確か、上記「個人情報保護法」施行の数カ月前でした。
ある私鉄の駅から徒歩5分ほどの、かなり新しそうなマンションでした。
マンションの玄関は完全に開いており、その横にコカコーラの配送車輌が駐車していました。
私はなんの気無しに玄関から内部に入り、エレベーターに乗りました。
そして目的の階で降りると、債務者の部屋へと向かいました。
1階へ戻ると、管理人室があった!
インターフォンを鳴らしましたが、反応はありません。
しばらく待って、もう一回鳴らしましたが、やはり反応は返って来ませんでした。
部屋の周りには生活感を感じさせる物が何もなく、電気・ガスのメーターボックス内も、外からはほとんど見えません。
私は諦めて、エレベーターで1階に降りました。
入った時は気付きませんでしたが、1階の玄脇に管理人室がありました。
管理人らしき男性の口から・・・。
小窓に顔を近付けて、声をかけました。
70歳くらいの男性が応対に出て来ました。
債務者の名前と部屋番号を伝え、居住状況について尋ねました。
しかし、
「居住者の方のことは、一切話せません。」
とのこと。
それについては覚悟していました。
その後すぐ、その男性は
「ところでおたく、どうやって中に入って来た?」
と不審げに聞いてきました。
「玄関が全開でしたよね。そこから普通に入りました。」
と返しました。
すると男性は、
「このマンションはオートロック式なんで、勝手に入って来られたら困る。」
と語気を強めて言いました・・・。
自動販売機の商品補充のため、玄関が・・・。
その時初めて、私はそのマンションがオートロック式だと知りました。
「すいません、気付きませんでした。玄関が開きっぱなしだったんで・・・。」
と言うと、男性から
「1階の自動販売機の商品補充作業があるんで、しばらく開けてたんです。」
と説明されました。
結局何の収穫もなく、その場を立ち去りました。
その時は既に、コカコーラの車は去っていました。
車の影にオートロックの呼出盤が・・・。
車が駐車していた辺りを見ると、壁面にオートロックの呼出盤が埋め込まれていました。
私が玄関前に来た時は、ちょうど配送車が駐車していたため、オートロックの辺りは隠れて見えなかったのです。
私自身も、もしかしてオートロックかもという考えは、頭の中にありませんでした。
玄関も全開だったので、普通に入ってしまったのでした・・・。
最後に・・・。
2021年(令和3年)現在、債権者にとっては現地調査が大変やりにくい時代です。
どちらかと言うと安っぽい感じの賃貸マンションでも、オートロック付きの所が多いです。
そして法令上の規制により、もし入れる状態でもそのまま中に入り、債権者たちの部屋まで行くと、ややこしい事になりかねません。
マンションの管理人や管理会社が、後で責任を問われる恐れがあります。
債権者が、損害賠償などのトラブルに巻き込まれるかもしれません。
「債権者受難」の時代と言うべきでしょうか。
私は今まで、オートロック付きのマンションには住んだことがありません。
債務者の住むマンションがオートロック式だと聞くと、ついイラッと来てしまいます・・・。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 
  
 
