「債務承認書」への署名を求められる時は、時効が迫っているかも!?

こんにちは。husband(@kumafumoblog)です。

「債務承認書」という言葉を聞いて、すぐに意味が分かる方は、法律関係や金融関係のお仕事をなさっている方でしょう。

それ以外の方にとっては、

「債務を承認?借用証書じゃないの?」

という感じでしょう。

 

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債権回収の現場では、債務承認書を書かせることが度々ある!

債権回収の仕事をやっていると、この債務承認書を債務者や連帯保証人に見せて説明し、署名、できれば押印もさせることが度々あります。

返済が滞っている債務者たちと交渉し、返済再開の合意ができたら、債務承認書に日付、氏名、住所や、いつから毎月何日に月いくらを返済する旨(月日や金額を書き込む)、再交渉予定日などを本人に直接記入させます。

そして、相手には控を渡します。

もし具体的な話に至らなくても、日付、氏名、住所を書かせるところまでは粘って交渉します。

 

債務承認書により発生する効果とは?

債務承認書に署名押印させることで、どのような効果が発生するのでしょうか?

民法上の消滅時効(何らかの行動を取らないと、一定期間を経過したら権利の行使ができなくなること)は、以前は権利の種類によって細かく年数が分かれていました。

しかし、今年2020年(令和2年)4月1日より改正民法が施行され、かなりシンプルに整理されました。

ただ、一般的なお金の貸し借りについては、債権者と債務者の立場(例えば両方とも商人である場合)により、債権の消滅時効は5年または10年となります。

長い方だったとしても、10年間一度も返済せず、債権者が法的措置も起こさず、債務者たちが債務の承認もしなければ、債権及び債務は時効により消滅します。

つまり、借金はチャラになります。

改正民法147条、149条、152条に、時効の完成猶予事由及び更新事由として

「裁判上の請求、支払督促」

「仮差押、仮処分」

「権利の承認」

が挙げられています。

債務者や連帯保証人が債務の存在を承認すれば、上記の通り時効は更新されます。

たとえ一部でも弁済すれば、同じく時効が更新され、弁済日の翌日から再進行します。

もちろん訴訟を申立すれば、申立日に時効の完成が猶予され、債権者が勝訴すれば判決日の翌日から10年間時効が延長されます。

 

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法的措置より債務承認書の方が、手っ取り早く時効更新できる!

しかし、債権回収の担当者は多数の案件を管理しており、延滞している債務者たち全員に訴訟などを起こす余裕はありません。

それよりも、相手に債務承認書(弁済誓約書と一体になっている場合も多い)に署名捺印させる
方が、はるかに簡単かつ費用をかけずに時効を更新させることができます。

特に時効完成まで1年を切っているような案件では、何とか債務者たちを呼び出して面談する段階まで持って行き、債務承認書を取るべく、担当者は必死になります。

 

債務者たちは、厳しい督促を避けるために債務承認書に署名する!

債務者や連帯保証人でも、最近は勉強して法的知識を身に付け、

「私の債務、もう時効じゃないんですか?」(そういう人ほど時効までかなり期間がある)

などと確認してくる人はいます。

しかし、まだまだ大部分の人たちはそうした知識がなく、時効にならないように債務承認書が必要だと説明しても、よく理解していません。

どちらかと言うと

「これ以上うるさく督促されるのはイヤだから、言われる通り書類に住所と名前を書いておこう。それで返済もしばらく待ってもらえれば、もうけ物だ。」

という感じで、素直に応じる人が大多数です。

債権者としては非常に助かります。

さらに、例え少額でも返済を開始してくれれば、こちらこそもうけ物です。

 

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警戒心の強い債務者たちには苦労する・・・。

逆に

「お宅に借金があるのは事実で、それは否定しない。なのに、何でそんな余計な書類を書かないといけないんだ?」

と警戒心を持って応対してくる債務者たちには、正直困ってしまいます。

「時効の関係で必要です。書いていただけなければ、裁判になる予定です。」

と説明すると、

「それだったら裁判でも何でもしてくれ!絶対に書類には何も書かない!」

と突っぱねられるケースも多いのです。

回収担当者としては、なるべく手間と費用をかけずに時効を更新させたいのですが、そうした場合は仕方なく訴訟申立の準備をすることになります・・・。

 

最後に・・・。

この記事をお読みの貴方がもし債務を抱えておられて、債権者から最近

「至急面談したい。」

「書類に署名の上、印鑑を押してもらいたい。」

などと繰り返し求められているなら、債務の消滅時効が迫っているかもしれません。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。