債権回収の仕事をしていると、債務者や連帯保証人に出した文書(督促文など)が
「転居先不明」
で戻ってくることはザラにあります。
債務者たちが様々な理由で転居すること自体は、当然のことです。
しかし、転居先どころか転居することを、債権者に連絡して来ないことがかなり多いのです。
不要品と一緒に、債務も捨てた気分?
新しい環境に移るとともに、大きな負担である債務、つまり借金を粗大ごみと一緒に処分する感覚なのでしょうか。
しかし、現実はそう甘くはありません。
しばらくすると債務者たちの新住所に、債権者からの督促状が届くようになります。
警察のような捜査もせず、法令違反もしていない!
長期間返済していない強者(つわもの)は、それでもなお無視します(笑)。
しかし中には、驚いてあるいは観念して連絡してくる人もいます。
人によっては
「何で新しい住所が分かった?警察みたいに色々調べられるのか?」
「勝手に人の住所を調べるなんて、個人情報保護法に違反してないか?」
など、キレ気味にトンチンカンなことを言ってくることもあります。
債権者には、警察のような捜査能力も権限もありません。
個人情報保護法にも全く違反していません。
契約書に記載されている条項により、住所を確認できる!
ならば、なぜ債務者たちの新しい住所が分かるのでしょうか?
理由は簡単です。
住民票の写しを役所に申請し、入手するからです。
「債権者と債務者の関係と言えども、他人の住民票の写しを第三者が申請し、役所が発行してもいいのか?」
と疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
結論としては、いいのです。
お金を貸し借りする際の
「金銭消費貸借契約書」(平たく言えば「借用書」)
には、必ずどこかに
「債権者は正当な理由がある場合、債務者などの住民票や戸籍謄本、不動産の公課証明などの書類を申請することができる」
旨の文言が、条項として記載されています。
申請する側の身分証明も提示が必要!
役所の窓口で直接、あるいは郵送で債務者たちの住民票(写し)を請求する場合、
「契約書のコピー」
を申請書に添付します。
その際、
「回収担当者の身分証明書(運転免許証など)のコピー」
も、一緒に添付します。
役所としてはそれらを確認した上で、
「正当な理由のある第三者」
ということで、住民票の写しを発行してくれます。
ただ、遠隔地で普段申請したことのない地域だと、役所から
「法人の登記事項証明書のコピー」
を求められることもあります。
最後に・・・。
債務者たちの中には、いわゆる
「ヤミ金」
などヤバい先からも借金していて、行方をくらましてしまう人もいます。
そういう人は、追跡を恐れて住民票を移さないことがあります。
そうした場合は、転居先を追って行くことができません。
しかし大抵の人は、転居先の役所に住民票を移しています。
転居先に住民登録がないと、様々な公的サービスが受けられなくなるからです。
そうした理由から、債権者は債務者たちの住所を追跡することが可能なのです。
転居に伴い家財道具は整理できても、借金まではキレイに整理できません・・・。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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