小学校低学年~中学年の頃、小学校の校門近くの、ちょっとした土の場所(アスファルトなどで舗装されていなかった)に、木製のポストのような箱が置かれていました。
初めは、何の箱か分からず、特に興味も持ちませんでした。しばらくすると、放課後になると校門のそばに、スーツ姿の中年らしき男性が立つようになりました。
下校する児童たちにプリントのような紙を配っていました。私も、何の気なしにその紙を受け取りました。紙を見てみると、
「マルス365」という文言が目に飛び込んできました。
まだ置いてあったあの箱に目をやって、よく見てみると、箱の表面にも同じ文言が印刷されていました。
マルス365は学習教材だった!
マルス365は学習教材で、各科目の教材が定期的に自宅に届く・・・というような内容が、もらった紙には書いてありました。
しかし、当時はまだ小学生で、中学受験など全く考えていなかったので、宿題以外の勉強など考える余地もありませんでした。また、こうした学習教材も、進研ゼミあたりがテレビなどで宣伝され始めた頃(だったと思います)で、我々子供にはピンと来ないものでした。
家で母親にその紙を見せても、
「こんなのは怪しい。うちには要らない。」
と言われて終わりだったように記憶しています。私も興味がなかったので、マルス365のことはそれ以降しばらく忘れていました。
ただその紙には、住所・氏名など申込事項を記入する欄があり、あのポストのような箱はこの申込書を投函する箱なのだと分かりました。
マルス365は、子供たちの間に広まっていたのか?
しばらくすると、スーツの男性は放課後に姿を見せなくなり、箱もいつの間にかなくなっていました。
クラスメイトや近所の友達とも、マルス365の話をしたことがありましたが、誰一人として利用している子はいませんでした・・・。
しかし数ヶ月経つと、また同じ場所にあの箱が置かれ、放課後に男性(同じ人だったかは覚えていません)が現れて申込書を配るようになりました。
その頃になると、学校でも
「マルス365の会社って、怪しいところらしいで。」
のような、根拠のない噂が広まっていました。
小学生の頃と言えば、いたずら盛りです。申込書を入れる箱に、木の枝や葉っぱ、石ころなどを投げ入れる子供が続出しました。
申込書が入れられることなど、なかったのではないでしょうか。
しかし学校で先生から、あの箱にいたずらをしないようにと言われた記憶はありません。
マルス365側にも、小学校に文句を言えない、何か後ろめたい事情があったのでしょうか・・・。
その後も、消えては現れのサイクルが2~3年くらい続きました。
転校先でも、マルス365の箱があった!
その後、引っ越しに伴い転校したのですが、転校先の小学校でもしばらくすると、校門のそばの道路脇にある小さい林に
マルス365の申込書回収箱が置かれていました・・・。
しかし、スーツ姿の男性を見かけた記憶はありません。
転校先の友達もマルス365のことは知っていましたが、誰も使ってはいませんでした。
我々児童たちは、やはりその箱に石や葉っぱ、挙げ句には林で見つけたカマキリを入れたりと、無茶苦茶していました。普段は大人しく、そういういたずらをするタイプではない子も、落ちていた広告チラシを入れたりしていました。
しかし、小学校を卒業して中学校に進学すると、通学ルートが少し変わり、小学校の校門前を通らなくなったので、あの箱がその後も置かれていたのかは不明です。
最後に・・・。
最近、嫁にマルス365の話をしたところ、
「私もその箱知ってる!」
と言われました。嫁が小学校低学年の頃、1980年代後半には、まだ各地の小学校の校門近くに、申込書回収箱が置かれていたのでしょうか。
インターネットで検索してみましたが、掲示板などへの書き込みが2~3件見つかっただけで、教材の詳細や現在の状況(まだ存在しているのかどうか)などは、全く判明しませんでした。
マルス365とは、一体何だったのでしょうか?
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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