ヤクザの隠し口座を差押する際は厳戒体制!

このブログでは、

「債権回収」

すなわち

「借金取り」

に関する記事を、多数書いています。

私が債権回収の仕事に携わっていた頃の、色々な体験を基にしています。

 

スポンサードリンク

 

『反社』は銀行融資どころか、口座も作れない!

近年は、

「反社」= 反社会的勢力

つまりヤクザに対する取り締まりや規制が、非常に厳しくなっています。

金融機関でも、ヤクザの人間は融資を受けられません。

踏み倒しのリスクが高いのも要因でしょうが・・・。

そして、預金のための銀行口座も作れません。

現在、融資や住宅ローン申込の際、申込人は全員

「反社あるいは反社周辺者(ヤクザと関係のある人間)だと判明した場合は、融資を受けられない。」

「融資後に判明した場合、即刻融資金を全額返済する。」

といった旨の誓約書を書かされます。

 

一定数は審査をくぐり抜けてしまう・・・。

しかし、金融機関の審査で100%反社か否かを見分けるのは、実際のところ不可能です。

どうやっても一定数、

「暴力団のフロント企業」

「副業で商売をしている暴力団員」

などが審査の網をくぐり抜け、融資を受けてしまいます。

そしてそのうちの何割かは、しばらくして返済が滞ります。

そうなると、督促にも応じません。

その段階で反社と判明することも、往々にしてあります。

 

スポンサードリンク

 

裁判でダメなら、『預金差押』を申し立てる!

金融機関の側としては、当然放置できません。

最終的には、裁判所に訴訟を申し立てます。

ただ反社相手の場合、ほぼ100%被告は裁判所に出頭すらしません。

欠席裁判となり、原告の勝訴となります。

そこで、金融機関は次の手を打ちます。

「預金差押」

を裁判所に申し立てるのです。

 

金融機関と支店名を指定する必要あり!

裁判で勝訴すると、勝訴判決を基に、被告の財産に対して差押が可能となります。

被告が銀行や信用金庫など、金融機関に預金(ゆうちょ銀行の場合は「貯金」)を持っていれば、差押して回収できます。

その際、

「国内全ての金融機関の支店」

のような、大雑把な指定はできません。

ゆうちょ銀行以外は、

「○○銀行✕△支店」

というように、具体的に指定する必要があります。

弁護士に申立を依頼した場合、弁護士会を通じて金融機関に

「口座の有無」

を照会することは可能です。

しかし、こちらで複数の金融機関に絞って、照会してもらわないといけません。

相手方の営業所や住所などから、推定せざるを得ません。

 

スポンサードリンク

 

大抵は空振りに終わるが、ホームランになる時も!

いざ申立しても、その支店には口座がないかもしれません。

あったとしても、残高が数十円〜数百円のことも多々あります。

野球にたとえれば、大抵は空振りです。

ですが、たまに数百万円〜数千万円単位の預金が入っている場合もあります。

満塁ホームランのようなものです。

ヤクザ絡みの口座なので、カタギの手段で稼いだ金とは思えませんが・・・。

 

ヤクザの預金口座を差押。すると・・・。

私が昔、法務関連の部署にいた頃のことです。

ある債務者に対して、回収部門が預金差押を申し立てました。

相手は個人事業主でしたが、実態は現役の反社、ヤクザの幹部だったそうです。

返済がストップして以降、督促にも全く応じず。

裁判にも出廷せず、ガン無視です。

そこで顧問弁護士に依頼し、預金差押を申し立てました。

しばらくして、弁護士事務所から回収部門に連絡がありました。

何と、指定して差し押さえた金融機関の支店の一つに、

1,000万円超の預金

があることが判明しました・・・。

 

スポンサードリンク

 

不測の事態に備え、警察や金融機関と連携!

差押通知は、当然相手方にも郵送されます。

1,000万円超の金額を差押されれば、一般人でも大慌てで連絡して来ます。

相手がヤクザなら、もしかすると不測の事態が起こる恐れがあります。

そこで、回収部門の部長と次長、課長と担当者が、法務部門と打ち合わせに来たのです。

内部での打ち合わせの後、回収部門の課長と担当者は、その日のうちに顧問弁護士の事務所を訪問。

今後の対応を打ち合わせました。

管轄の警察署に事情を説明。

そして、口座のある大阪市内の某金融機関支店にも、連絡を入れて説明。

次の日からしばらくの間、相手が金融機関の支店、もしくは債権者であるこちらの事務所に怒鳴り込んで来た場合に備え、警察で出動のスタンバイをしてもらうこととなりました。

こちらの側でも、警察OBの渉外役の人が待機。

応対に立ち会ってもらうこととなりました。

 

お礼参りをすると、薮蛇の結果に・・・。

それから実際の回収までには、2週間〜1ヶ月を要しました。

しかし相手方からは、全く何の連絡もありません。

金融機関にやって来ることもなかったそうです。

預金全額を回収し一件落着となった旨を、後から聞きました。

ヤクザの方も、お礼参りなどしたら警察が飛んで来ることは、重々承知でしょう。

逮捕されて取り調べを受ければ、商売の実態や金の入金経路なども追及されるはず。

そんなリスクを冒すわけにはいかなかったのでしょう。

 

最後に・・・。

結果として、何事もなく終わりました。

しかしヤクザの世界は、一般社会とは違う常識で動いています。

上記のような合理的判断をせず、暴力沙汰に及ぶ輩たちも存在します。

よって、ヤクザ絡みの案件では、金融関連の企業・組織は慎重の上にも慎重を期しています。

カタギの人間ですら、金が絡めばヤクザ顔負けの言動をするのですから・・・。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

こちらも興味がありましたら、是非お読みください。

関連記事

このブログでは「債権回収」に関する記事を、今まで多数書いてきました。私が長年携わってきた「借金取り」の仕事の経験が、ネタ元となっています。とは言っても、「ミナミの帝王」「闇金ウシジマくん」[…]

ジャンプする女子中学生
関連記事

日本人のかなりの割合の人が、「郵便貯金」の口座を持っているのではないでしょうか。郵政民営化以降も、日本人の「郵貯信仰」は根強いです。また、郵便局の統廃合が進んでいるとはいえ、郵便局の店舗網は全国津々浦々に及んでおり、近隣に金[…]

郵便局の入り口