簡易裁判所は、原告も被告もクセが強い!

このブログでは

「裁判所」

について、いくつか記事を書いています。

裁判所と言えば、多くの方がまず思い浮かべるのは

東京地裁

大阪地裁

などの「地方裁判所」でしょう。

 

スポンサードリンク

 

『簡易裁判所』での裁判も多い!

民事訴訟、刑事訴訟とも地方裁判所が第一審となることがほとんどです。

しかし、地方裁判所の下に

「簡易裁判所」

が存在します。

民事訴訟の対象となる金額(「訴額」と言います)が一定額未満の場合、簡易裁判所に申立されることが多いです。

例えば

消費者金融(サラ金)の数十万円単位の債権

信販会社のカード債権

携帯電話の通話料債権

といった具合です。

 

簡裁の裁判は、弁護士でなくとも代理人になれる!

地方裁判所での裁判の場合、訴訟代理人になれるのは、

弁護士だけです。

サラ金や信販会社などは、当然顧問弁護士を雇っています。

ただ、裁判の代理人になってもらえば、その都度費用がかかります。

一方、簡易裁判所での裁判の場合、法人の従業員でも、申請して認められれば訴訟代理人になれます。

そのため、簡易裁判所にはサラ金やカード会社、携帯電話キャリアの社員が、代理人としてやって来ます。

 

スポンサードリンク

 

簡裁の裁判は、半ば流れ作業?

私が債権回収の仕事に携わって、間もない頃です。

ベテランの先輩が、簡裁での裁判の訴訟代理人になりました。

私も見学のため、カバン持ちとして付いて行きました。

簡裁の待合室に入ると、長いソファーが何列か並んでおり、予想よりかなり多くの人たちが座っていました。

訴訟の開始時間は、大体30 分ごとに区切られています。

例えば午前10時からの裁判は、何組かがまとめて予約されています(もちろん法廷は別々で、担当の書記官も付きます)。

「何組も同じ時間に行ったら、裁判所の事務の方も大変なのでは?」

という疑問が出ても当然です。

ところが民事裁判では、被告が出廷しないことが日常茶飯事です。

その場合、欠席裁判として自動的に原告の勝訴が確定します。

そのため、多くの裁判はあっという間に終わってしまいます。

 

原告の中には、被告っぽい雰囲気の人も・・・。

私は先輩と一緒に待っている間、周囲の人たちを観察することにしました。

さすがに私服の人こそいませんでしたが、同じスーツ姿でも人によって、雰囲気が大きく異なっていました。

間違いなく

銀行系の金融会社の人

と分かる人もいれば、Vシネマに出て来そうな

やさぐれた雰囲気の人

もいました。

順番が来ると、裁判所の職員が会社名を呼んでくれます。

「やさぐれ系」の人は大抵サラ金、それも街金の社員でした。

また、若くてちょっとチャラい感じの人は、多くが信販会社あるいは携帯キャリアの社員でした。

皆いずれも原告側の訴訟代理人ですが、被告でもおかしくないオーラを漂わせている人もいました・・・。

 

スポンサードリンク

 

やって来た被告は、ジャンパーのポケットに・・・。

被告の人は個人名で呼ばれていました。

私が行った日の10:30の回では、どの事件の被告も出廷していませんでした。

5分ほど経った頃、一人の中年男性が待合室に入って来ました。

ジャンパーにジーンズという出で立ちです。

「この人は被告だな・・・。」

と、心の中で呟きました。

「あの〜、○✕ですけど・・・。」

と、男性は裁判所の職員に告げました。

「事件番号はお分かりですか?」

と職員。

「ちょっと待ってください・・・。」

男性は、ジャンパーの左ポケットをまさぐり始めました。

 

八つ折りにされていたのは・・・。

男性がポケットから取り出したのは、少し大きめの紙を折り畳んだものでした。

男性は、1回・・・2回・・・3回と紙を広げて、やっと元の大きさにしました。

3回折った、つまり八つ折りにしていたのです。

「え〜と、○✕△□号です。」

男性が八つ折りにしてジャンパーのポケットに入れていたのは、何と

「訴状」

だったのです・・・。

「原告の方は、先ほど入室されました。ご案内します。」

と、簡裁の職員は男性を別室に連れて行きました。

先輩曰く

「あの人、多重債務者だろうな。もう裁判慣れしてるから、訴状が届いても全然ビビったりしてないだろう。」

とのこと。

確かに、生まれて初めて裁判所から訴状が届いたら、八つ折りにしてポケットに入れることはできないはずです。

「世の中には、強者(つわもの)がいるものだ・・・。」

と思いました。

 

最後に・・・。

その後、債権回収の仕事をしていく中で、多くの多重債務者と出会ってきました。

もちろん、プレッシャーから心身にストレスを抱えている人も、数多くいました。

しかし中には、全く債務のことを気に留めていないような人も時折います。

面談の際、他社から起こされた裁判の訴状を2〜3通持参して、

「大変なんですよ〜。」

と半笑いで見せてくれる人がいました。

振り返ってみると、簡易裁判所に来る人は、原告も被告もキャラの立った

「クセが強いんじゃ〜!」

という感じの人が多いようです・・・。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

こちらも興味がありましたら、是非お読みください。

関連記事

債権回収の仕事で、無担保債権と有担保債権の回収では、有担保債権の回収の方が圧倒的にやりやすいです。不動産を担保に取っていると、いざとなれば任意売却または競売で売却させ、いくらかのまとまった金額を回収できます。それまでの交渉に[…]

腕組みするスーツ姿の男性
関連記事

「簡易裁判所」と言われても、多くの方々にはピンと来ないはずです。裁判所の組織上は、地方裁判所の下に位置します。しかし、数の上では地方裁判所(本庁、支部合わせて全国に253ヵ所)家庭裁判所(本庁、支部、[…]

大垣簡易裁判所