人間は「忘れる生き物」であるとよく言われます。
ちょっと人生訓めいた意味でも使われますが、大脳生理学的にも「ほとんどの記憶は長く続かない」ことは証明されています。
しかし、この記事をお読みの貴方にも、
「何でこんな事を今でも覚えているんだろう?」
と自分でも思うような昔の記憶が残っているのではないでしょうか?
子供の頃の悲しい記憶、恐ろしい記憶がずっと残っている
「トラウマ」
は、一般的に広く認知されています。
ただ、ほとんどの場合はそこまで重いものではなく、よくあるのは
「子供の頃に読んだ怪奇マンガが怖かった!」
「祖父母の家で聞いた昔ばなしを30年経っても鮮明に覚えている。」
という程度の話です。
今回お話しする私の記憶も、約42年前のあるテレビドラマに関するものです。
テレビっ子だった小学生時代。ある日曜日の夜・・・。
当時小学生だった私は、学校から帰って来て、その後遊びに行く予定がなければ、宿題に取り掛かり夕食前には終わらせていました。
特に勉強が好きだからという理由ではありませんでした(笑)。
夕食時以降の午後7時~9時台(場合によっては10時以降も)は、テレビを観たかったというのが正直なところです。
宿題が残っていると落ち着いて観られませんし、観終わってからやるとなっても、その頃にはやる気が出ません。
ある日曜日の夜、
「明日からまた学校だな・・・。」
と少し憂鬱になりながらテレビを観ていました。
宿題は済ませ、風呂や歯磨きも終え、あと1時間くらいしたら寝ようかなと思っているうちに、午後9時になりました。
人気の『日曜洋画劇場』ではなく、裏番組を観ることに・・・。
当時の日曜夜9時と言えば、テレビ朝日系の
「日曜洋画劇場」
が一番の人気だったと記憶しています。
他のチャンネルの裏番組で、これを上回る視聴率の番組はなかったのではないでしょうか。
ただ、私の家では毎週「日曜洋画劇場」を観ているわけではありませんでした。
その日も両親、私とも特別観たい作品ではなかったので、他のチャンネルの番組を観ることにしました。
テレビ画面の中では、日本のドラマが放送されていました。
息子を誘拐された両親と誘拐犯の、電話越しの攻防!
両親と一人息子の三人家族が出ていましたが、その息子が誘拐されてしまうという、サスペンスドラマのようでした。
連続ドラマではありませんでした。
事細かに覚えてはいませんが、両親の元へ誘拐犯から電話がかかって来て、身代金を要求されるシーンがありました。
両親は、息子の安全を懇願するのはもちろん、息子に薬を飲ませて欲しいとしきりに訴えていました。
その薬を一定時間ごとに飲ませないと、大変なことになると、犯人に必死で懇願します。
誘拐犯はとにかく身代金を手に入れることに執心していて、両親の訴えをあまり真剣に受け止めてはいません。
両親と誘拐犯の電話越しの攻防は、当時の私にもある程度印象に残っています。
そしてラストは・・・。
小学生には衝撃のラスト!記憶は薄れても恐怖は残り・・・。
ネタバレ防止のため、これ以上は書かないことにします。
ラストの展開が、小学生には衝撃でした。
そして、その映像が当時の私にはショッキングでした。
今になって思い起こすと、ラストもメチャクチャ怖いというほどではなく、映像もそう怖くはありません。
しかしその当時はとにかく怖くて、以後もしばらくは思い出すだけで恐ろしさが込み上げてきたのです。
ただ、番組名や出演者など詳しいことは、全く覚えていませんでした。
「あの番組、怖かったよな・・・。」
という思い出が残り続けただけで、それも時間の経過と共に段々薄れていきました・・・。
記憶の断片をネットに入力し検索すると、詳細が判明した!
昨年の秋頃だったでしょうか。
ある時ふと、そのドラマのことを思い出しました。
そして、覚えている断片的な情報をキーワードとして入力し、ネット検索してみました。
すると、それらしきドラマの情報が載っているサイトがいくつか見つかりました。
中身を読んでみて、
「そうそう、この話!」
と心の中で叫びました。
原作は小松左京、脚本は佐々木守!出演者も豪華な顔ぶれ!
そのドラマのタイトルは
「危険な誘拐」。
フジテレビ系列で1978年(昭和53年)~1979年(昭和54年)(途中休止もあった)に放送されていた
「日曜恐怖シリーズ」
という一話完結のホラードラマシリーズがあり、その中の一話でした。
日曜日の21:00~21:54の枠で、私の記憶とも一致します。
原作は、SF小説界の大御所だった故・小松左京さん。
そして脚本は「怪奇大作戦」、「シルバー仮面」、「刑事くん」などの作品で知られる故・佐々木守さん。
子供の頃にはもちろんそうした情報も、御両人のことも知りませんでした。
そんな大物が関わっていた作品だと知って、ビックリしたほどです。
妻役は鰐淵晴子さん。
夫役は立川光貴(たちかわ みつたか。現:立川三貴)さん。
この立川さんは、1983年(昭和58年)~1984年(昭和59年)にテレビ放送された
「怪人二十面相と少年探偵団」
で二十面相を怪演なさっていました。
改めて、非常に豪華な面々が携わったドラマだったのだと知りました。
最後に・・・。
人間の記憶とは不思議なものです。
必死に覚えようとしてもなかなか記憶に定着しない事柄もあれば、覚える気が全くないのに簡単に暗記できてしまう事柄もあります。
ただ、よく考えてみると、このブログで取り上げる懐かしマンガ・ドラマ・テレビ番組などのネタは、生きていく上では全く不要なのに、なぜか今でも心に残っています。
学校の勉強にこの能力が発揮されていたら、私の人生は全く違う方向に進んでいたかもしれません・・・。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
興味がございましたら、こちらもお読みください。
今回ご紹介する映画「セッション9」(原題:Session 9)は、2001年(平成13年)公開のアメリカ映画です。著名な監督の作品ではなく、ハリウッドスターが多数揃っている大作でもありません。そのため、日本公[…]