今回ご紹介する映画
「蘇える金狼」
は、1979年(昭和54年)に公開された日本映画です。
原作はハードボイルド小説の巨匠、大藪春彦さん(故人)。
主演は、今や伝説の俳優である松田優作さん(故人)。
監督は村川透さん。
そして製作総指揮は角川春樹さん。
何とも豪華な組み合わせです。
現在もDVDは購入・レンタル可能です。
優作さんの映画代表作の一つに挙げられます。
平凡なサラリーマンが、会社乗っ取りを画策して暗躍する!
主人公の朝倉哲也は、夜間大学を卒業後に中堅企業の「東和油脂」に入社。
経理部で勤務する、平凡なサラリーマンです。
しかし、それは表の顔。
朝倉は、会社の幹部たちが会社を食い物にして、利益を貪っている実態を掴んでいました。
自分も何とかして経営陣の仲間入りし、あわよくば会社を乗っ取ってやろうと画策を始めます。
同僚たちには秘密でボクシングジムに通い、プロデビューを勧められるほどの腕前に達しました。
また、銃器の扱いにも習熟しました。
軍資金を得るため、朝倉は銀行の現金輸送車を襲撃し、現金1億円を手に入れます。
しかし、奪った紙幣の番号は銀行により控えられていて、そのままでは使うことができません。
そんなヤバい金、いわゆる「ホット・マネー」を一旦麻薬のヘロインに換えるため、朝倉は大物市会議員の磯川に接触します。
実は磯川は、市会議員の職にありながら、地元の裏社会で麻薬の元締めを務めていたのです。
一方、重役たちと一緒に私腹を肥やしている、経理部の小泉部長の愛人・京子に近付き恋仲になります。
そして、小泉や会社の情報を入手しようとします・・・。
優作の演技も凄いが、共演者たちもくせ者揃い!
これ以上はネタバレ防止のため書かないでおきます。
簡潔に言えば、巨大な野望を持つ男が、企業という巨大組織を相手にたった一人で闘い、のし上がっていこうとする話です。
主演の優作さんが頭脳明晰で非情な主人公を熱演なさっており、アクションシーンでもキレの良い動きを披露しています。
銃を使う動作をカッコよく見せるため、ハワイで射撃場に通い詰め猛特訓したという逸話も残っています。
優作さんの演技も見所の一つですが、他の出演者たちも有名・無名を問わずクセの強い役者、つまり
「濃い役者」
が勢揃いしているのです。
メインキャストだけでも、濃過ぎてお腹一杯!
朝倉が所属する経理部の小泉部長役に、悪役・敵役の名人ともいうべき
成田三樹夫さん(故人)。
その腹心の金子次長役に、「刑事コロンボ」の吹き替えで有名な
小池朝雄さん(故人)。
この二人が自分の職場のツートップだったら辞表を書きたくなります(笑)。
そして東和油脂の清水社長を演じるのは、これまた個性派のベテラン
佐藤慶さん(故人)。
東和油脂内部の不正をネタに会社を恐喝する桜井に、サニー千葉こと
千葉真一さん。
その叔父で政財界の黒幕である鈴本光明に、ヤクザ映画など多数の作品で悪役を演じた
安部徹さん(故人)。
東和油脂に雇われた興信所の所長、石井役には「怪奇大作戦」や「傷だらけの天使」などで知られる
怪優、岸田森さん(故人)。
本作のヒロインで、小泉部長の愛人・京子を演じるのは、当時27歳の
風吹ジュンさん。
ここまで列挙した面々だけで、もうお腹一杯になってしまうほどの「濃さ」です。
いずれも主演の優作さんに引けを取らない個性派の役者ばかりなので、優作さんが浮き上がってしまうこともなく、作品のバランスが保たれています。
あの人たちも、チョイ役で出演していた!
他にも、優作さんの文学座の同期で盟友の一人だった
山西道広さん、
悪役及びグルメ番組・旅番組で活躍なさった
阿藤海(後に阿藤快)さん(故人)、
朝倉の同僚役でブレイク前の
岩城滉一さん
といった面々が、チョイ役ではありますが登場しています。
最後に・・・。
ちなみに、「蘇える金狼」は1998年(平成10年)に別キャスト・スタッフで映画化、翌1999年(平成11年)にテレビドラマ化(香取慎吾さん主演)されています。
しかし、出演者の「濃さ」に関しては、1979年の映画版が断トツです。
2時間を超える長さですが、全く飽きることがなく、ダレる場面もありません。
映画の最初から最後まで、ドップリ入り込めます。
是非ご覧いただきたい作品です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。