2021年(令和3年)8月現在の日本は
「コロナ不況」
の真っ只中にあると言っても、差し支えないでしょう。
日経平均株価はそれなりの水準を保っており、輸出企業やIT企業の一部は業績回復傾向にあります。
しかし実体経済は、そうした数字とはかなりかけ離れています。
内需関連企業、特に飲食・観光業は回復の兆しも見えません。
官民挙げての融資拡大で、倒産件数は抑制・・・。
倒産件数や破産・民事再生などの申立件数も、じわじわと増えつつあります。
それでも、過去の不景気ほどの多さにはまだ至っていません。
昨年2020年(令和2年)の春以降、国の後押し及び圧力により、金融機関の貸出残高は大きく増加しました。
「晴れの日に傘を貸し、雨の日に取り上げる」
と言われるのが金融機関ですが、コロナ禍においては金を貸さざるを得なかったということでしょうか。
それに伴い、全国の信用保証協会の保証付融資も激増。
都道府県によっては、昨年春からの3ヶ月ほどで例年の1年分に近い保証申込を受けた協会もあったそうです。
また、日本政策金融公庫(昔の「国金」)の融資残高も同様に急増。
昨年度は官民挙げて
「金融崩壊」
「倒産ドミノ」
を阻止しようと躍起になっていました。
『融資』は『給付』ではない!一年経ったが・・・。
経営危機に陥り、資金繰りに窮していた個人事業主・法人は相当多かったでしょう。
様々な緊急・特別融資のおかげで、当座の窮地を脱せた所も多かったはずです。
ただ、それでメデタシメデタシとは行きません。
「融資」
はあくまでもお金を
「借りる」
ことであり、給付金のように
「もらえる」
わけではありません。
当たり前の話ですが、
「借りた金は返す」
必要があります。
昨年の段階では、我々日本国民の大部分が
「一年くらい経てば、世の中もある程度元に戻ってるんじゃ?」
と、多少楽観的な考えでした。
融資の際も、一年間ほどは返済猶予や利払いのみ、といった措置が取られることがほとんどだったはずです。
昨年の経済状況では、それもやむを得ない妥当な措置でした。
さらなる猶予延長、追加融資は困難!
ところが、一年経過しても日本の世の中はほとんど元には戻っていません。
政府が今だに
「緊急事態宣言」
を出し続けていることが、
「世の中は元には戻ってませんよ。」
という宣言でもあります。
返済そのものや元金返済猶予の期間が終われば、当然通常の返済が求められます。
さすがに再度の猶予措置延長はないでしょう。
もう一年延ばしたところで、翌年には日本社会が元に戻っている保証など、どこにもありません。
現在は
五輪 → コロナ再拡大 → 大雨災害
と大きな出来事が続き、マスコミの報道はそっちにばかり行っています。
しかし、コロナ特別融資という
「痛み止め」
の効果はもうすぐ切れます。
この一年で経営を完全に立て直せた個人事業主・法人はどれだけあるのでしょうか?
まだ痛みが続いている所にも、さらに痛み止めを与える余裕はなくなりかけています。
融資審査は甘かったはず。これから破綻先は増加する!
昨年の特別融資でも、1990年代末(1997〜1998年頃)と同様に、保証協会や日本政策金融公庫は、よほどの問題(不正案件や税金滞納など)がなければ保証や融資を出していたはずです。
そうしなければ、殺到する案件を処理するのは無理だったでしょう。
民間金融機関も、普段よりはかなり審査を甘くしたはず。
早ければ今年の秋頃から倒産などによる回収不能、すなわち
「焦げ付き」
が表面化してくるのではないでしょうか。
実質的に終わった『ゾンビ企業』が多数出現?
この一年で業況がどうしようもなく悪化した企業もあれば、既にコロナ前から瀕死の状態だった企業もかなり混じっているでしょう。
例え大手でも、飲食や観光・運輸関連では、事実上
「死んでいる」
企業も散見されます。
にもかかわらず営業を継続している
「ゾンビ企業」
が、これから明らかになっていくと思います。
中小零細企業・事業主の場合、そう長くは「ゾンビ企業」のままではいられません。
そのうち動きが止まります。
ゾンビ企業が恐ろしいのは、普通の倒産よりもはるかに大きな被害を取引先や債権者(金融機関など)に与える点です。
そして、商売とは無縁の一般国民も、自分たちの預金や税金を原資として貸し出されたお金が回収されないことで、被害者の仲間入りをしてしまうのです。
損失の穴埋めは、国民がさせられる!
「東京2020」(2021年に開催されました・・・)
に費やされた約3兆円もドエラい金額ですが、今後
「貸し倒れ」
になる金額も、さらにドエラい金額になるでしょう。
そうした損失の穴埋めを、国や財務省はまたも我々国民から
「税金」
という形で巻き上げるつもりでしょう。
消費税については、一部マスコミで
「現行の10%から15%に引き上げられる」
可能性が取り沙汰されています。
ドサクサに紛れて
「コロナ復興税」
「五輪連帯税」
のような訳の分からない税金が増えそうな、嫌な予感がします。
「会社や店舗は、どこも大変だよな〜。」
と、テレビ・新聞やネットのニュースを他人事として認識している人たちも、間接的にゾンビ企業の後始末をさせられることになるかも・・・。
最後に・・・。
しかし、最も厄介なのは、もはや日本の統治能力をほぼ失っているにもかかわらず、あれこれと口先だけの空虚な指示・お願いを出してくる
「ゾンビ政権」
や一部都道府県(東京や大阪など)の
「ゾンビ行政」
です。
彼らは自分たちが政治的にはもう
「死んでいる」
ことを、全く分かっていないのでしょう・・・。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。