21世紀の若者世代には全く実感がないでしょうが、日本にも
「高度成長期」
という絶好調の時代がありました。
それを支えたのが、日本国民の勤勉性と言われました。
現在、一部では
「日本人は働かなくなった。」
と語られますが、それでもまだ日本人の
「労働時間」
は長いです。
働き過ぎ解消に『プレミアムフライデー』・・・?
残念ながら、それがいわゆる
「生産性」
に結び付かず、平均賃金も増えません。
「低賃金かつ長時間労働」
という、先進国に似つかわしくない状況が、長期間続いています。
そうした状況を打破すべく、ある政策が打ち出されていたことを、皆様は覚えておいででしょうか?
「プレミアムフライデー」
が存在していたことを・・・。
厳密に言えば、まだ存在しています。
しかし日本社会からは、ほぼ完全に
「なかったこと」
扱いされています・・・。
余暇推進のため、官民一体でブチ上げたのだが・・・。
簡単に説明しますと、「プレミアムフライデー」とは、
毎月最終金曜日は午後3時を退社時間
とし、従業員が余暇を有効活用できるよう、企業や従業員に推奨するキャンペーンの名称です。
経済産業省と経団連が提唱しました。
そして、大手広告代理店の博報堂が事務局を受託。
ちょうど、前の首相が○○の一つ覚えのように唱えていた
「働き方改悪」
もとい
「働き方改革」
と連動するようなタイミングでした。
「日本人は働き過ぎ。月末の金曜日くらい、仕事を早じまいして好きな事に時間を使おうよ。」
という趣旨で、2017年(平成29年)2月24日(金曜日)よりスタートしました。
官民がタッグを組んだ、結構大がかりなキャンペーンでした。
しかし、結果は皆様もお分かりの通り、壮大なスケールの
「しくじり政策」
となりました・・・。
月末の金曜日は、毎月の締めでどこも超多忙!
そもそも月の最終金曜日と言えば、ほとんどの企業が
「月末の締め」
に追われて大忙しの時期です。
毎月のノルマを達成すべく、必死で駆け回る人たちがあちこちに見られます。
そういう事情を、見事なまでに無視していたとしか思えません。
少なくとも経団連に加入しているような企業で、
「月末の金曜日は、午後3時で社員を帰らせよう!」
と言われて賛成する会社など、ある訳がありません。
なぜ経団連や博報堂が、その点を指摘しなかったのでしょうか?
日本企業の9割超は中小企業。早帰りの余裕などない!
また、百歩譲って大手企業なら、そうした余裕もあるかもしれません。
しかし、日本の企業の90%超は中小企業です。
プレミアムフライデーを導入する余裕など、全くない会社がほとんどでしょう。
この時点で既に、プレミアムフライデーは失敗を約束されていたと言えます。
強制力なしのキャンペーン、効果の程は・・・。
そして、プレミアムフライデーは強制力を持つ法律でも何でもありませんでした。
あくまでもキャンペーンに過ぎず、各企業への呼び掛けに留まりました。
飲食業界や小売業界は、当初は
「プレミアムフライデー」割引キャンペーン
などを実施し、売上増に期待を寄せていました。
ところが、月末の金曜日に早帰りする人が増えるはずもありません。
一部の喫茶・飲食店チェーンなどでは、数%程度の売上増加があったそうです。
しかし、大多数の飲食・小売関連企業には、ほぼ効果ゼロ・・・。
マスコミでも盛り上がらず。企業の協力も進まず・・・。
マスコミでも、スタート直後は大々的に報じられました。
しかし、3ヶ月ほどが過ぎると、プレミアムフライデーの「プ」の字も言わなくなりました。
インターネットニュースの過去記事などを見てみると、スタートしてしばらく経っても、企業の協力は全く進まなかったことが伝えられています。
飲食業界でも、割引キャンペーンを終了する企業が多かったとのことです。
ひっそりと続いてはいたのだが・・・。
それでも、プレミアムフライデーのキャンペーン自体は終了せず、人知れずひっそりと続いていました。
そんな中、2020年(令和2年)初頭から、
「新型コロナウイルス」
が世界中を混乱に陥れました。
日本の人々の記憶の中から、プレミアムフライデーは消え去ったに等しい状況となりました。
同年の夏には、飲食・観光・運輸業界を救済するため、
「GO TO キャンペーン」
が実施されました。
プレミアムフライデーへの、とどめの一撃でした。
しかし、このGO TO キャンペーンも現在は事実上ストップしており、政府・与党の「黒歴史」の一部です・・・。
しくじり度合いでは、プレミアムフライデーの完勝?
しかし、
「しくじり度合い」
の観点から見れば、プレミアムフライデーがGO TOキャンペーンをはるかに上回っていると思います。
思い切りスベったスケールの大きさ
一度もブームを起こせなかったパワーのなさ
「封印」されたに近い印象の薄さ・・・
どれを取っても、プレミアムフライデーの完勝(?)です。
ここまでしくじれること自体、一種の爽やかさすら感じさせます。
最後に・・・。
このブログでは、
「しくじりドリンク」
「しくじりマンガ」
「しくじり映画」
などの記事を多数書いています。
今回は満を持して(笑)、プレミアムフライデーをご紹介することができました。
「寝た子を起こす」
ネタが多いのが、このブログの大きな特徴です・・・。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。