「ジョジョの奇妙な冒険」というマンガについては、読んだことはなくてもタイトルは知っているという方が多いはずです。
荒木飛呂彦先生が、「週刊少年ジャンプ」(集英社)で1987年(昭和62年)から連載を開始し、2005年(平成17年)からは同じ集英社の「ウルトラジャンプ」で引き続き連載中という、超長期に渡る作品です。
2016年12月には、単行本の累計発行部数が1億冊を突破しました!
しかし、荒木先生の作品には、他にも面白い作品があります。
「魔少年ビーティー」と「バオー来訪者」です。
魔少年ビーティーとは?
荒木先生の初めての連載作品が「魔少年ビーティー」です。
「週刊少年ジャンプ」1983年42号から51号まで、10話掲載されました。
主人公のビーティー(作中では本名は明かされません)は、両親と離れて祖母と二人で大きな屋敷に暮らしています。祖母も、正体不明の謎の人です。
謎だらけの少年で、頭脳明晰かつ手品、トリック、心理学に長けています。
盗みなどの犯罪も躊躇なくやってのけますが、自分なりの正義感や友情も持ち合わせています。
転校先の学校で、麦刈公一と出会い、親友となります。
公一は平凡な少年で、常識人です。ビーティーを不良たちから助けようしたことがきっかけで、ビーティーと仲良くなります。
「魔少年ビーティー」は、公一の独白形式になっており、公一はいわば狂言回しのような役割です。
コナン・ドイルが生み出した世界的名探偵「シャーロック・ホームズ」の親友、医師の「ワトスン博士」のような立場でもあります。
ビーティーと公一は、色々な事件に巻き込まれ(ビーティーが事件を起こし、公一が仕方なく行動を共にする場合もあります)、ビーティーの知恵と機転で立ち向かっていきます。
藤子不二夫Ⓐマンガに激似のエピソードあり!
個々のストーリーの詳細は省略しますが、全10話のうち
「おじさんX事件」は、藤子不二雄Ⓐ先生の「ブラック商会変奇郎」のエピソード、「そばかすの不気味少年事件」は、同じく藤子Ⓐ先生の「魔太郎がくる!」のヤドカリ一家のエピソードが元ネタだと断言できます。
藤子ファンで上記二作を読んだことのある人なら、すぐ分かります。
もちろん荒木先生のテイストもふんだんに入っていますので、パクリだと批判するつもりは毛頭ありません。
ただ、荒木先生は絶対に「魔太郎」と「変奇郎」の愛読者だったと思います。
バオー来訪者とは?
「バオー来訪者」は、1984年(昭和59年)45号から翌1985年(昭和60年)11号まで、17話が連載されました。
主人公の「橋沢育朗」は、秘密組織「ドレス」によって生物兵器の実験台にされ、体内に寄生虫「バオー」を宿されました。しかし、列車で研究所へ移送される途中に、アクシデントにより眠りから目覚めてしまいます。
アクシデントの原因となった少女「スミレ」と一緒に、育朗は列車から脱出。「ドレス」の放つ刺客たちから追われます。
育朗が生命の危機に陥ると、宿主である育朗のアドレナリンをバオーが感知し、育朗の肉体を強靭化し外見も変化させます。そして、武装現象(アームド・フェノメノン)を発動させるのです。
育朗がバオーにより変身した姿は、正統派のヒーローっぽい外見ではないのですが、どことなく格好良いです。荒木先生独特のセンスが表れています。
両腕から刀のような物が生え、敵を切り裂くなど、生物兵器としての能力が次々と出現します。
「ドレス」の科学者、霞の目博士が放つ刺客も、サイボーグや超能力者などの強者揃いです。
育朗と一緒に逃避行を続けるスミレは孤児院育ち。予知能力の素質を持っていたため、「ドレス」に引き取られました。
自動書記やコックリさんなど、割とベタな手法を用いて予知します。
物語終盤に登場する六助じいさんと奥さんも、キーパーソンです。
ラストは、後の続編を予感させるものでしたが、荒木先生には続編執筆の考えはなかったそうです。
最後に・・・。
「魔少年ビーティー」も「バオー来訪者」も、短期連載となりましたが、決してダメな作品ではありません。現代の読者が読んでも面白いはずです。荒木先生の才能がしっかり表に出ています。
しかし、独特のテイストが、当時の少年誌には合わなかったと思います。
「バオー来訪者」の終了から2年近くが経過して、「ジョジョの奇妙な冒険」の連載が始まりました。
個人的には良い作品だと思いましたが、正直な所、短命に終わると思っていました。30年を超えるシリーズになるとは、夢にも思いませんでした。
「ジョジョ」シリーズは愛読しているが、「ビーティー」や「バオー」は読んだことがないという方は、是非ご一読ください。
単行本及び電子書籍で購入できます。
上記の藤子不二雄Ⓐ先生の(元ネタ?)作品も購入可能です。
各エピソードの収録巻は不明です。申し訳ありません。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。