現代っ子は「恐怖マンガ」を読まないからひ弱い?

このブログでは、

「恐怖マンガ」あるいは「怪奇マンガ」

に関する記事を多数書いています。

楳図かずお先生

つのだじろう先生

山岸凉子先生

日野日出志先生

といった、マンガ界の大御所の作品ばかりです。

ただ、どれも1970〜1980年代に発表されたものです。

カテゴリーとしては、

「懐かしマンガ」

とも分類できます。

平成以降の作品は一つも紹介していません。

 

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社会人になり、雑誌からコミックスへ・・・。

その理由の一つはただ単に私が

「マンガをあまり読まなくなった」

からです。

大学を卒業して社会人となってからは、週刊・月刊のマンガ誌を買わなくなりました。

面白そうな作品は、コミックスで読むようになりました。

そのため、恐怖・怪奇もので面白い作品があっても、読み逃してしまっているはずです。

 

恐怖・怪奇マンガ自体が、一気に減少していった!

そしてもう一つの理由は、

「恐怖・怪奇マンガそのものが少なくなった」

ということです。

元号が昭和から平成に変わった1990年代が、恐怖・怪奇マンガの減少が大きく進んだ時代だと、個人的には思います。

1980年代以降、少年誌では恐怖・怪奇マンガの数がめっきり減りました。

当時10代のマンガ好き少年だった私は、そのことを実感していました。

楳図先生やつのだ先生は、成年誌や女性誌に活躍の場を移されていました。

少女誌では、まだまだ恐怖・怪奇ものの作品が、連載や読み切りで掲載されていました。

しかし1990年代になると、少女誌でもメジャーな雑誌からは、恐怖・怪奇マンガが姿を消していったと記憶しています。

例外と言えば、「学校の怪談」系の作品くらいでしょうか。

朝日ソノラマの月刊誌「ハロウィン」のような、恐怖・怪奇マンガ専門誌が、受け皿となっていた印象があります。

 

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1970年代のような爆発的ブームは起きず・・・。

成年向け・女性向けのマンガ誌でも、恐怖・怪奇もの作品の本数は減少。

ヒット作も少なくなりました。

伊藤潤二先生

御茶漬海苔先生

などの鬼才も、たとえば「少年マガジン」や「りぼん」などの超メジャー誌で連載なさることはありませんでした。

恐怖・怪奇マンガファンからは熱烈に支持されましたが、普段マンガとは無縁の人々をも巻き込むような

社会現象的なブーム

には至りませんでした。

 

実話怪談やJホラーは市民権を得たが・・・。

21世紀に入っても、その傾向は止まりませんでした。

マンガ界の外側では、1990年代終盤から

「実話怪談」

「Jホラー映画」

のブームが起こり始めました。

殊に実話怪談は、現在ジリ貧の出版業界において、一定の部数を見込める

「一大産業」

に成長しました。

ところがマンガ界では、その波に上手く乗っかることができませんでした。

マニア向けのカルト的人気を誇るマンガ家は、令和の世にも存在します。

しかし、第二の楳図先生やつのだ先生は現れていません。

 

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現代っ子には、『トラウママンガ体験』がない?

そのため、平成生まれの人々には、子供の頃に恐怖・怪奇マンガを読む体験のなかった人が多いです。

親に買ってもらったマンガ雑誌

親戚の家で従兄姉から借りたコミックス

の内容が怖過ぎて、その日の夜なかなか眠れなかった・・・という経験のない人も多いでしょう。

そうした

「トラウママンガ体験」

がないまま育つことが、果たして良いことなのか?と、個人的には疑問に思っています。

幼少期にそういった体験をしておくことは、自我の形成にプラスになると感じます。

 

学習帳や『はだしのゲン』にも影響が!

数年前までの一時期、小学生の定番ノート

「ジャポニカ学習帳」

の表紙に、カマキリやバッタなど一部の写真を使わないようになったことが、話題となりました。

そうした措置の理由が、

「昆虫のアップの写真を見ると、怖がる子供がいる。」

という、信じ難いものでした・・・。

また、反戦マンガの不朽の名作

「はだしのゲン」

が、一部地方自治体の図書館・学校の図書室から撤去された際も、一部の意見は同様でした。

「原爆投下後の描写に過激な部分があり、読んだ子供にトラウマを与える恐れがある。」・・・。

これも、正直呆れてしまう意見です。

原爆の残忍さ、戦争の悲惨さを訴える作品なのですから、描写がリアルで怖いのは当然です。

小学生くらいの子供が「はだしのゲン」を読んだ後、2〜3日夜眠れなくなるのは、作者の故・中沢啓治さんのメッセージをきちんと受け止めた証です。

「子供が怖がるから、本棚から撤去しよう。」

などという意見は、子供をバカにしているのと同じです。

 

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無駄な『忖度』は、子供への『免疫』を奪う!

大人の過剰かつ的外れな「忖度」が、子供たちにとってプラスになるどころか、むしろマイナスになっていると言わざるを得ません。

怖いもの、気持ち悪いもの、心を乱すもの

から遮断されて育った子供たちは、その後の人生でその類の体験をした時、冷静に対処できなくなるのではないでしょうか?

なるべく早いうちに、恐怖・怪奇マンガという

「実害のないトラウマ」

を体験することで、多少なりとも生きる上での

「免疫」

を得られると思います。

 

最後に・・・。

大きくなって社会に出ると、恐怖・怪奇マンガよりもはるかに怖くて不条理な、数々の出来事に直面します。

「幽霊や妖怪より、生きてる人間の方がよっぽど恐ろしい・・・。」

と思うこともしばしばあります。

私自身、そう思いながらも今までやって来られたのは、子供の頃に様々な場面で恐怖・怪奇マンガを読み、眠れる夜を何度も繰り返したおかげではないか?と考えています。

令和の少年・少女マンガ誌は、とびきり怖いマンガをドシドシ掲載していくべきだと、声を大にして訴えたいです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。