「水戸黄門」
をご存知ない方は、日本でどれくらいいらっしゃるでしょうか?
もしかすると、小学生くらいだと
「知らない。誰?」
となるのかもしれません。
大抵の方々がご存知なのは、通算40年超にわたりテレビで放送されてきた、時代劇ドラマでしょう。
メインキャストは、名優や二枚目ばかり!
徳川幕府で副将軍を務めた
水戸光圀(実在した人物)
が、お供の助さんと格さん(二人とも実は水戸藩のエリート武士)と共に日本各地を旅して回ります。
そして、民衆を苦しめて私腹を肥やす、悪代官や悪徳商人などを退治していく
「勧善懲悪」
ストーリーです(もちろんフィクションですが・・・)。
「水戸のご老公」水戸光圀役は、
東野英治郎さん
西村晃さん
佐野浅夫さん
石坂浩二さん
里見浩太朗さん(若い頃は助さんを演じていました)
など、名だたる名優たちが演じていました。
助さんと格さんも、若手〜中堅の
正統派二枚目俳優
たちが務めてきました。
『TBS系の月曜日夜8時』が大多数の印象だが・・・。
最初にも書きましたが、大多数の方々の「水戸黄門」に対する印象と言えば、
毎週月曜日の夜8時からTBS系で放送されていた
パナソニック(昔は「松下電器」、「ナショナル」)の一社提供
というものでしょう。
ところで、皆様はご存知でしょうか?
「水戸黄門」のアニメ版が放送されていたことを・・・。
TBSではなく、現在のテレビ東京で放送されていた!
その名も
「まんが水戸黄門」。
1981年(昭和56年)9月3日〜1982年(昭和57年)7月15日まで、全46話が放送されました。
放送局は「東京12チャンネル」。
現在の
「テレビ東京」
であり、放送開始から2ヶ月目の1981年10月に、今の局名に変わりました。
毎週木曜日19:00〜19:30の枠で放送されていました。
当時の「テレ東」はUHF(懐かしい響き・・・)系のマイナー局で、全国に系列局はありませんでした。
そのため、東京圏以外の地方では、それぞれの地方のローカル局で放送されていました。
関西地方では、兵庫県の「サンテレビ」で放送されていたそうですが、1982年(昭和57年)3月に、大阪にUHFテレビ局
「テレビ大阪」
が開局。
「テレ東」の系列局(テレビ大阪の隣は、日本経済新聞大阪本社)
だったので、「まんが水戸黄門」はサンテレビ→テレビ大阪へと放送局が変更されています。
ドラマ版とは、設定がかなり違う!
肝心の内容ですが、黄門様と助さん、格さんが日本中を旅するのはドラマ版と同じです。
しかしアニメ版では、
「風車の弥七」も
「うっかり八兵衛」
も出て来ません。
アニメ版で旅を共にするのは、
孤児で忍者の子供「捨丸」と、冤罪を被せられ行方不明となった父親を探す娘「お琴」です(お琴は途中で父親と再開、長崎へ帰ります。その後は浪速商人の娘「お夏」が同行)。
そして、捨丸の仲間と言うべき、犬の「鈍兵衛」もいます。
ドラマ版のファンだった方々の中には
「何でうっかり八兵衛が出て来ないんだ?おかしいじゃないか!」
とお怒りの方もいらっしゃるかも(笑)。
助さんと格さんも、アニメ版では変わった特徴あり!
そして、助さんと格さんの描き方も、ドラマ版とは大きく異なっています。
助さんは剣の達人ですが、ドラマ版では全く聞いたことのない
「七ツ星一刀流」
という流派なのです。
そして、特撮ヒーローのように
「流星十文字斬り」
「葵三ツ葉返し」
といった必殺技を持っています・・・。
一方、格さんは巨漢で怪力の持ち主となっています。
助さんと違い、剣はほぼ使いません。
悪人たちと素手で戦っている最中、黄門様から白たすきを投げられます。
それを受け取って身に着けると、より一層パワーアップします。
「力だすき」
という、これまた謎のアイテムです。
戦う前から着けておく方が合理的なのですが・・・。
『カルト』感全開だが、約1年放送が続いた・・・。
ここまでお読みいただき、どのようなご感想をお持ちでしょうか?
「カルト風味」
を思い切り撒き散らしている、文字通りの
「異色作」
です。
しかし、全46 話ということは、1年近く放送が続いたことになります。
この手の作品には珍しく、
「途中打ち切り」
の憂き目にも遭わず、ゴールまで完走したのです。
本放送を観た記憶あり。アニメ雑誌にも載っていた?
私は、この作品の本放送を2回ほど観た記憶があります。
普段は間違いなく他の番組を観ていたはずです。
おそらく野球中継か何かの関係で、たまたま「まんが水戸黄門」にチャンネルを合わせてしまったのかも・・・。
当時は「アニメディア」や「アニメージュ」などのアニメ雑誌をよく読んでいたのですが、そうした雑誌に宣伝記事が出ていたようにも思います。
そうした経緯からか、大人になっても「まんが水戸黄門」の記憶は、うっすらと残っていました。
テレビ番組で取り上げられるまで、忘れ去られていた・・・。
しかし世間では、カルト作品どころか
「存在しなかった」
かのように扱われていたそうです。
2004年(平成16年)に、当時人気だったテレビ番組
「トリビアの泉」(フジテレビ系)
で「まんが水戸黄門」が取り上げられ、番組内でも大きな驚きをもって受けとめられたとのことです。
私は「トリビアの泉」を全く観たことがなかったのですが、先日Wikipediaでそのことを知り、大変驚きました。
また、インターネットで検索すると、DVD−BOXも発売されており、今年2021年(令和3年)にはBlu−rayディスクも発売されたとか。
CSでも再放送。主題歌は超大物たちが制作!
実は2000年代後期頃に、CS衛星放送の
「時代劇チャンネル」
などで「まんが水戸黄門」は再放送されていました。
私もケーブルテレビで何回か観ました。
その際に、初めてオープニングをきちんと観ました。
オープニング曲のタイトルは
「ザ・チャンバラ」・・・。
何ともシュールな曲名です。
しかし、
作詞は荒木とよひささん
作曲は故・土持城夫さん
編曲は故・羽田健太郎さん
という、超一流の方々による曲でした。
曲名に似合わず、実はカッコいい曲なのです。
YouTubeでは、アニメのオープニングとレコードの音声がアップロードされています。
エンディング曲の
「ビューティフルモーニング」(時代劇には不似合いな曲名ですが)
も、荒木さん作詞、羽田さん作曲・編曲です。
羽田さんは、番組中の音楽も担当なさっていました。
最後に・・・。
ここまでお読みいただければお分かりのことと思いますが、
「まんが水戸黄門」
は間違いなく
「カルトアニメ」
です。
しかし、音楽には超豪華メンバーが集結したという、何とも不思議な作品です。
今後、CSやケーブルテレビで再放送がなされた際には、是非一度ご覧いただきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。