「横領する」
という言葉は、我々の日常生活では滅多に使われません。
新聞記事やテレビ・ラジオのニュースで見聞きする類の言葉です。
元々は
「押領」
という言葉で、岩波書店 広辞苑では
「むりやりに奪うこと。力ずくで取ること。」
となっています。
「平家物語」の中でも使われているそうです。
それが転じて「横領」となり、広辞苑では
「他人または公共のものを不法に奪うこと。横取り。」
と説明されています。
この「横領する」、英語では何と言うのでしょうか?
一つ目は、野球などでよく使われる!
大修館書店 ジーニアス和英辞典で「横領する」を調べると、五つの単語が載っています。
まず一つ目は
convert[kənvˈɚːt(米国英語), kənvˈəːt(英国英語)]
です。
「〈人を〉〜(宗教・主義などに)転向させる」
という意味を持ちます。
日本では、プロ野球やサッカーなどで選手を別のポジションでプレーさせる時に
「〜をショートからセンターへコンバートする」
などと表現されます。
しかし、
「〈公金・動産など〉を横領する」
という意味でも用いられます。
「convert the club’s money to one’s(own)use」(クラブの金を私用に使う)
という用例が載っています。
二つ目は、一番よく目にする!
二つ目は、
embezzle[embézl(米国英語), ɪˈmbezʌl(英国英語)]
です。
「[会社・基金等から]〈金など〉を使い込む、横領[着服]する」
という意味です。
個人的には、この「embezzle」が一番よく用いられている印象があります。
三つ目と四つ目は、綴りがほとんど同じ!
三つ目は、
appropriate[əpróʊprièɪt(米国英語), əprˈəʊprièɪt(英国英語)]
です。
「〜を(不法に)私用に供する、〜を盗む、着服する」
という意味を持ちます。
「appropriate a great deal of government money for one’s own use」(多額の公金を横領する)
という用例があります。
そして四つ目は、appropriateの語頭に「mis −」を付けただけの
misappropriate
です。
「〜を着服する、横領する」
という意味です。
名詞形の misappropriation は、まさしく
「業務上横領」
と訳されます。
五つ目は、初めて目にする単語!
最後の五つ目は、
usurp[jʊsˈɚːp(米国英語), jʊzˈəːp(英国英語)]
です。
「〈領地・財産など〉を占有する、権限なしに用いる」
となっています。
私は今まで、この「usurp」を全く知りませんでした。
今回初めて知った英単語です。
最後に・・・。
私が実際に、英語の文章やニュースなどで
「横領する」の意味で見聞きした
のは、embezzle と misappropriate だけです。
ただ、私自身はこうした言葉を知らなくても、全く困りません。
というのも、大きなお金を扱える地位に就いておらず、扱う権限もないからです。
テレビのニュースなどで、政治家や公務員、会社役員などが巨額の業務上横領で逮捕されているのを見て
「いつか、税金や公金を食い物にできる地位に就きたい・・・。」
とボンクラなことを考えている人間には、そんな機会は一生訪れないでしょう・・・。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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